駐車場に着いて、深呼吸を繰り返しおこなっても、動悸は緩和せず、脈拍も波打つようにドクドクしてる感がある。
この頃、仕事でのことだが、学生が「脈拍測定」の実習を学生同士で行っていたが、「脈がなーい」「脈がわからへーん」「脈が触れへん」と、言っていた学生に今のアタシのこの脈を測らせたい、脈が波打つのがすぐわかるよな、と、楽しくなることを妄想しながら「落ち着け、落ち着け」と、自分に言い聞かせた。
が、
余計になんか、もぅ、初めて教壇に立った時の様に脚も震えてくるし。
いのぶと義家を訪れる時も、動悸はしていたがその段ではない。
とりあえず、イメージトレーニング。
義家の玄関から入るか、勝手口から入るか、みーはいつも勝手口から出入りしていたが、アタシはとよから「玄関から入るんやで」と言われていたもので、玄関からしか入ったことがない。
みーは勝手口、うさは玄関、から。ここに他人の距離がある。
いつもの様に玄関から入って行こう。
玄関を開けたら、何ゆうたらええんやろ?ヽ(;´Д`)ノ
いのぶと訪れる時は「こんにちわ」やけども。
「ごめんくださいませ」か?
「おじゃまさせていただきます」か?
いつもの様に「こんにちわ」か?しっくりくるか。
じゃあ、とよの顔を見たらなんて言うんよ。
「大変でしたね、如何ですか?ご不自由でしょう」と、体調伺いか?
それとも、「罰が当たっとんじゃ、ざまーみろ」か?ヾ(^▽^)ノ
その様なことをイメージトレーニングしていると、少しずつ落ち着いてきた。
脚の震えも治まった。
脈拍も84回/分
ヘンな汗はひいてきた。
動悸はまだ続いている。
もぉ~、ここまで来たら腹をくくって、さぁ~、出陣よ!
駐車場から義家に行くまでの数分間で、表情筋を酷使して笑顔も作り、義家の玄関引き戸を開けて、大きい声で、
「こんにちわ、うさです」(^O^)/
「うさちゃんか、お母さんすぐに動かれんさかいに、入ってきてや」
「お邪魔します」
とよは居間にある小さーいダイニングテーブル用の椅子に左脚を乗せて、腰掛けていた。
ギプスはしていない。母ちゃんの聞き間違いやったか。
サポーターを装着している。
骨折はしてないようだ。
「うさちゃん、なんで来てくれたんや、お母さん、びっくりしたわ」
「お義父さんから電話がかかってきまして、母が様子を見に行きなさい、と言いましたもので、伺いました」
「お義父さんに、あんたたちには言ったらあかんで、言うとったんやけどな、そうかぁ、すまんな」
「どうされたんですか、側溝に落ちられたと伺いましたが」
「そうや、奥さんたちと立ち話してる時に踏み外したんや、ただな、膝を痛めとるさかいに、サポーターで固定してるんや、動けんことはないんやけどな、病院からはなるだけ脚を使わんように言われとるだけや」
「そうですか、お義父さんは動けないと言われていました」
「もぉ、大げさにゆうたんやろうな」
姑と長男嫁が対話することは初めてのことで、キャッチボールのような対話ではなく、ぎこちなく、沈黙があったりと、アタシの表情筋も引きつってるのがわかるし、アタシもだがとよもなんか、緊張しているような感がしていた。
でも、とよは長男嫁の訪問を嬉しかったようで、
「うさちゃんな、そこにコーヒーもあるさかいに自分で入れて飲みや」
「うさちゃん、マミがもって来たお菓子があるさかいに食べへんか」
「うさちゃん、野菜をもって帰らんか」
と、うさちゃん、うさちゃん、と言っていた。
「マミさんも、とらさんもご存知なのですか?」
「マミは来てくれてるで、とらにはゆうてないんや、この頃は滅多にけーへんさかいな」
「そうですか」
みーから絶縁をさせられてからは、それまでのようにとらも頻回に義家には行ってないんや。
とよと話しているところに、色ぼけがどこからか帰ってきた。パチンコか!?
「お義父さん、また、キャッシングしてパチンコに行かれたんじゃないでしょうね」とは、聞けずにいた。
色ぼけがアタシに、
「お前たちが墓参りに来たからな、帰る時にお母さんが見送ったやろ、その後、おばさん達としゃべっとって、後ずさりしたら側溝に落ちたんや」
とよが「あんたは、そんなこと言わんでもええことや」
えっ、Σ(゚д゚;)「アタシたちがお墓参りに来たから怪我した」と言うとる!?
言い換えれば『お前達がお墓参りに来なければ、怪我はしなかった』の解釈にもとれる。
色ぼけが言うことや、気にせんでおこう、と、思っても腹が立った。
まずは、「うささん、よー来てくれたな、すまんな」と、言われんか!?と。
(-""-;)
晩御飯のおかずはマミがもってきていると言ったので、洗濯物を畳み、
「他になにか用事はないですか」と、お伺いをたてたが、遠慮もあるんだろう、
「もうええさかいに、暗くならんうちに帰り、気をつけて帰るんやで」(^▽^)
「有難うございます」
義家の縁からは、駐車場と道路が見えるので、アタシが自動車に乗って走行するまでとよは立って、ずーーと手を振っていた。(^-^)/笑顔で。
帰りの自動車の中では、記事にしたようなぼけとよから嫌な思いをさせられたことを、想起しながらもアタシを受け入れてもらったみたいで、嬉しくなっていた。
o(^-^)o
いのぶが仕事から帰って来て、一連のことを話し色ぼけから言われたことも言いあげた。
いのぶはとよの様子伺いをするのに義家に電話をかけて、
「お母さんも一緒に墓参りに行った後に、けがするとは罰があたっとんと違うか」
と、いのぶが言っていた。
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