母ちゃんからの電話を受けて、お向かいのお宅を出て家に戻ってきていると、母ちゃんが門に立って、アタシを待っていた。
アタシの顔を見ると、大きな地声で「お父さんから電話がかかってきとうちゃもん」
母ちゃんに「もぅ、大きな声で恥ずかしか」と、キツく言ったものの、
「あんたたちがお墓参りに行ったけん、2日前にお母さんの側溝に落ちて怪我をしとんしゃあと、足ばせっこうで固めとんしゃるけん、動かれんとげなぁ」
我知らずで、しゃべる、しゃべる。(;-_-)=3
「せっこう」?ギブスのことか。
骨折したか?
「そうなぁ、だけん、何て言いんしゃったと?」
「『うささんに言うといてください』って言いよんしゃったと」
「アタシたちが、お墓参りに行ったことと、側溝に落ちたことと、どう関係があるとねぇ」
「知らんばってん、お父さんは、そう言いよんしゃったたい、様子見に行かなぁいかんばい」
電話での方言での通話だから、お互いに話が通じていないよなぁ。
(=_=;)
「ほっといたらよかと」
「あんしゃん(長男)の嫁やけん、見に行かなぁくさぁ」
「妹が行くやろうけん、行かんでよかと」
「行かなぁ、くさぁ」
母ちゃんの『行きない』VSアタシの『行かん』が、しばらく続いたが、もうねぇ、みーの母親のお悔やみの電話をはよ、かけろ、と言った時の様にしつこい。
駆けつけないといけないものか、義家に電話しても、でーへん。
「はよ、行きんしゃい」
「晩御飯作って持って行きんしゃい」
「まだ、行かんとな、はよ、行きなれんか」
イラッ(-"-;)
母ちゃんが来てる時に、なんで怪我するかなぁ、と、思いつつも、
アタシの根負け。
義家を独りで訪れるのは、結婚してから初めての事で、走行してから10分も経っていないのに、自動車の中では動悸がしてきて、ハンドルを握る手には汗が滲んでくるのがわかるし、このまま引き返そうか。
アタシに『西園家の人たちは鬼ばかり』と言う、長男嫁の同僚とは別の、長男嫁の同僚が、ご主人サマのご実家に向かう自動車の中で、胃が痛くなり、ご主人サマに引き返して欲しいと訴えても、「おかんが、楽しみにしているから」と、言われるご主人サマと自動車の中で揉めて、「お義母さんと私とどっちをとるねん、命がけや」と、言いながら自動車のドアを開けようとして、ご主人サマに止められ自宅に戻った、と、言う話を思い出していた。
どこかで時間を潰して、帰ろうかなぁ、母ちゃんは明日九州に帰るし、適当にごまかしとったらええし。
(-"-;)
こんなことになるとは、予測もしておらず、イメージトレーニングもしていないし、『もう~、どうしよう~』と、義家への訪問からどうにかして逃れないか、の策を考えながらも、結婚して以来、初めて『長男の嫁』を頼って貰えたことへの、嬉しさの感情も芽生えて、ヘンなココロだった。
義家に着くまでの1時間の距離で、3度もコンビニに寄りコーヒーを購入し、その都度、深呼吸をした。
義家に段々近づくごとに、心拍数が上昇してくるのがわかり、1時間30分弱で町営住宅の駐車場に着いた。
自分で脈拍を測って120回/分。
アタシは乳児かと思いながらも、
中々、自動車から降りれず、深呼吸をしても動悸は治まらず、しばらく自動車の中にいた。
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