朝から、頭の中がにぎやかだ。

メールの返信、今日中に送りたい資料、

夕方までに終わらせたい家事。

そのどれにも、同じラベルが貼られていく。

「ちゃんとしなきゃ。ちゃんとやらなきゃ。」

気づけば息が浅くなって、

まだ何も始まっていないのに、

一日の体力を半分くらい使ったような感覚になる。

「ちゃんとしなきゃ」という声は、

本来とても優秀な“警備員”だ。

約束を守ること。

人を待たせないこと。

迷惑をかけないようにすること。

そんな誠実さをずっと守ってくれてきた。

だからこそ、私たちは

簡単にはその声を無視できない。

けれど、ときどきこの警備員は、

仕事熱心になりすぎる。

・5分の誤差も許さない

・一度決めた予定は絶対に変更してはいけない

・疲れていても、元気なふりをしておくべき

…そんなふうに、ルールを

いつのまにか“命令”に変えてしまう。

本当は「今日は体力がギリギリ」って知っている。

本当は「この一件だけ、締切を相談したい」って思っている。

本当は「今夜は早く休んだ方がいい」って分かっている。

それでも、“ちゃんとしなきゃ”の声が

前のめりに立ちはだかって、

心の中の会議はいつも多数決で決まってしまう。


今日提案したいのは、

この“警備員”をクビにすることではなくて、

「一日だけ、椅子に座ってもらう」こと。

「今日だけは、完璧な警備じゃなくていいよ。」

「入口を全部見張らなくていいから、

ここだけ見ていてもらえる?」

そんなふうに、仕事の範囲を

少しだけ狭くしてみる。

たとえば――

・メールの返信は“全部”じゃなく、3通だけにする

・資料は「7割版」を先に共有して、修正はあとで

・家事は最低限にして、今日は“早く寝る”を最優先にする

これらはサボりではなく、

**今の自分を守るための「調整」**だ。


不思議なことに、「全部ちゃんと」から

「ここだけちゃんと」に変えると、

心の中でスペースが生まれてくる。

そのスペースに、

少しだけ遊び心や、深呼吸できる時間が入り込んでくる。

そして一日が終わるころ、

「全部はできなかったけれど、

大事なところは守れたな」と思える自分がいる。

“ちゃんとしなきゃ”の声は、

敵ではなく、長年一緒に生きてきた相棒だ。

だからこそ、たまには

「今日はここまでで大丈夫」と

こちらから境界線を引いてもいい。

それは、

自分の仕事や人間関係を投げ出すことではなく、

これからも長く走り続けるための、

ペース配分を取り戻す行為なのかもしれない。


✍️ 今日の問いジャーナル

1️⃣ 最近、「ちゃんとしなきゃ」と自分を追い込んでしまった場面はどこですか?

そのとき、本当はどうしたかったですか?

2️⃣ 今日はその中からひとつだけ選んで、

「ここだけちゃんと」「ここだけ緩める」に分けてみましょう。

・ここだけちゃんと守りたいこと:

・ここは少し緩めても大丈夫そうなこと:

3️⃣ “警備員の自分”に向けて、一行メッセージを書くとしたら?

(例)「いつも守ってくれてありがとう。今日は半日だけ、休憩しててね。」


🌱 感想シェア

  • 「ちゃんとしなきゃ」と思いすぎて苦しくなったエピソード
  • 「ここだけちゃんと」に絞ってみたら、どんな変化があったか
  • 自分の“ペース配分”に気づいた瞬間

など、気づいたことがあれば、

一言でもシェアしてもらえたらうれしいです。