夜更け、机の上でコーヒーがぬるくなる。

画面には、さっきまで躊躇していた申し込みフォーム。

指は送信ボタンの上で止まったまま、ほんの数ミリだけ震えている。

「行きたい」——胸の奥で小さく灯る声。

「でも、うまくいかなかったら?」——頭の中でどんどん増殖する声。

この二つが同時にやってくるとき、人は不思議なくらい静かになる。

外側は静かでも、内側では嵐みたいに風が吹いている。

思い出す。

何度も、同じ場所で立ち止まってきたことを。

最初に仕事を独りで引き受けた日。

「できるの?」と聞かれて、笑顔で頷いたあと、帰り道で足が震えた。

初めて値上げをした日。

送信ボタンを押して、心臓の鼓動で画面が揺れて見えた。

新しい講座の構想を人前で話した日。

言葉が出てこなくなって、ひと呼吸の長さが永遠に感じられた。

結果だけ見れば、「やってよかった」で終わる出来事たち。

でもその中身は、いつも同じだった。

——“やりたい”と“こわい”が同時に来て、

それでも片方だけを選ばず、ふたりとも連れて歩いたということ。

「やりたい」は、すすっと前に出る。

「こわい」は、肩を引き戻す。


その引き合いの真ん中で、呼吸だけを確かめる。

今の私にできる最小の一歩は、どのサイズだろう。

全力疾走じゃなくていい。

靴ひもを結び直すくらいでもいい。

“いまの私”に正直な速度でいい。

ふと、思い浮かぶ顔がある。

いつも応援してくれる人。

厳しいことを言ってくれた人。

そして、過去の私。


何度も諦めそうになりながら、それでも続ける道を選んできた、

ちょっと不器用で、ちょっと勇敢な、あの人。

「怖さがあるのは、ダメだからじゃない。

大事にしたいものが、ちゃんとあるからだよ。」

胸の真ん中に、やわらかい熱が灯る。

失敗のシミュレーションも、誰かの顔色も、完璧じゃない企画も、

全部いったん脇に置く。

いまはただ——私が選びたい方向に体を向け直す

それだけで、世界は一度、静かに並び直す。

送信ボタンを押した。


何もドラマチックな音は鳴らない。

でも、心のどこかで小さく「カチッ」とスイッチが入る音がした。

それは、未来の私がずっと探していた音に、とてもよく似ていた。

もし今あなたが、同じ夜を過ごしているなら。

“やりたい”も“こわい”も、どちらも否定しなくていい。

ふたりとも手をつないだまま、ほんの半歩だけ前へ。

その半歩が、明日には道になっているから。


✍️ 今日の問いジャーナル

  • いま、胸の奥で小さく灯っている「やりたい」は何?
  • 【書き込み】________________
  • そのすぐ横にいる「こわい」は、何を守ろうとしている?
  • 【書き込み】________________
  • 今夜の半歩は?(フォームを開く/1行書く/1人にだけ伝える…
  • 【書き込み】________________
  • 半年前の自分に一行メッセージを送るとしたら?
  • 【書き込み】________________


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  • 「ふたりを連れて歩いた」エピソード(やりたい&こわい)
  • 半歩を出したあとの体の変化(呼吸/肩の力/眠りの深さ など)

——あなたの物語が、誰かの“半歩”の合図になります。

このトーンでタイトル画像(文字小さめ・宇宙ブルー)も用意できます。