ビートルズの名曲の中でも、静かに心を包んでくれるような「Good Night」という曲が、私はとても好きです。

美しいオーケストラの音色と、優しく語りかけるような歌声…。まるで夢の中へいざなってくれるような、あたたかな1曲です。


この曲が収録されているのは、通称『ホワイト・アルバム(The Beatles)』。アルバムのラストを飾るこの曲が、ジョン・レノンが息子ジュリアンのために書いた子守唄だったと知ったとき、私はその背景に驚きと、切なさのようなものを感じました。


もっと驚いたのは、この曲のボーカルを担当しているのがジョンではなく、リンゴ・スターだということ。

ジュリアンのために書いた曲を、自分では歌わなかった——それは、いったいなぜだったのか。


調べていくと、当時ジョンはすでにヨーコ・オノと親密な関係になっていて、家庭は少しずつ崩れていく最中にあったようです。

ジュリアンとの間にあった微妙な距離や、父としての複雑な感情。

もしかしたら、“自分が歌うより、リンゴの優しい声のほうが、ジュリアンの眠りをそっと包んでくれる”

——そんな思いがあったのかもしれません。


それとも、もはや自分には歌う資格がないと、心のどこかで感じていたのか…。


「Good Night」は、ただの美しい子守唄ではなく、ジョン・レノンの父としての葛藤や、愛の形がにじむ、深い1曲だと思います。

優しい旋律の裏側にある、静かな感情の波を、今夜もそっと聴いています。