「 咳

 

            加 藤 高 穂

 

   咳咳咳胸がらんどう風抜けて

 

   咳はげし闇に火の粉を吐くが如

 

   青玉の砕け散るごと咳き込みぬ

 

 この十年来、程度の差はあるものの、風邪でもないのに咳に悩まされてきた。少しでも空気が変わると、立て続けに咳が出始め、止まらなくなる。人中では勿論、礼拝中に讃美歌を歌っていると、突然、咳の発作が始まったりして、周りの方への迷惑は極まりない。

 その間、友人から薬草を入れた自家製の酒を贈って頂いたり、主治医の先生に吸入の薬を貰ったり、大﨑完治兄から「内科医の井上仁人先生が、咳に効く秘伝の薬を持っておられる」と教わり、その妙薬を調合して頂いたりもした。実際、その時々に効果があり、咳もぴたりと止まった。

 しかし、薬効がある間は温和しくしていた咳も、時が経つと、再びお出ましになる。そこで呼吸器専門の医師に、心肺機能やら何やらと詳しく診て貰ったところ、呼吸器の機能は47歳程度だと、めでたい言葉を得た。喘息ではないらしい。

 それでも相変わらず咳は出る。原因は分からない。少なくとも若い日にはなかった事なので、あまり嬉しくはないが、年の功(?)ということにしておこう。

 序でながら、昨年末、不注意から追突事故を起こし、相手の方に通院11日間の腰痛という、怪我を負わせて仕舞った。初めてのことだったが、これを機に車の運転も卒業することにした。

 年と共に、今まで見えなかった景色が見えるようになってゆく。新たに開ける世界を、喜び迎えたい。

〔2018.1.20.〕