「初 湯」

            加 藤 高 穂

 

   日の射して湯気のかゞやふ初湯かな

 

   泳ぐなと叱られをるも初湯かな

 

 今でこそ風呂のない家庭は珍しいものの、子供の頃はむしろ風呂のある家庭の方が珍しかった。そのため、町のあちらこちらに銭湯があり、冬休みなどは銭湯が開くのを見計らって、子供同士、誘い合って出掛けたりしていた。

 するとたちまち、銭湯は悪童どもの恰好の遊び場となる。浴槽と浴槽に通じる穴を潜ってすり抜けたり、誰が一番長く潜っておれるかを競ったり、飛び込んだりと、プールもどきの遊び場と化してしまう。それも束の間、番台のおばさんや一番風呂を楽しみにやって来たおじさんから、「コラッ、やめんか!」と厳しい叱責の声が飛んできた。思えば、こうして悪ガキたちも、入浴のマナー等、知らず知らずの内に教わっていたのだろう。