スタジオライフの舞台、『なのはな』の感想です。
沢山の間違いとネタバレ、激しい私見をお許し下さい。
台詞と順序は不正確です。
ご容赦下さい。
(2011年の震災後のフクシマの物語です)
小学6年生の女の子、ナホは、原発事故によって故郷に住めなくなりました。
ナホは今、家族と一緒に、フクシマ県内の避難先で暮らしています。
(←ナホ役は、松本慎也さんと、関戸博一さんのダブルキャストです)
そんなある日、フクシマテレビに、地元出身の歌手、石田音寿(おんじゅ、明石隼汰さん)が出演しました。
(←音寿さんは、金髪でロックファッションの男性です。
そして曲に合わせて、二人のバックダンサーが踊ります。
ダンサー1役は、千葉健玖さんと、宇佐見 輝さんのダブルキャストです。
ダンサー2役は、鈴木宏明さんのシングルキャストです。
ケン&ヒロと、アキ&ヒロです。
そして、テレビ局の若いAD(牛島祥太さん)が、一生懸命に誠実に仕事をしていました)
ナホの家族は、知り合いが出演していることに驚き、テレビの前に集まります。
お祖父さん(倉本 徹さん)「ありゃ、石田のガキじゃないか?!」
お父さん(船戸慎士さん)「石田の末の弟だ!
音寿だ!」
そのとき、ナホのお兄さんの学(ガク、中学生)が現れました。
参考書を持ち、ヘッドフォンをはめた学は、盛り上がる家族を冷めた目で見て、すぐに立ち去ろうとします。
(←賢い学役は、宇佐見 輝さんと、千葉健玖さんのダブルキャストです。
・宇佐見学+松本ナホです。
・千葉学+関戸ナホです)
すると、お祖父さんが、明るく学の耳からヘッドフォンを抜いて、テレビの前に座らせました。
お祖父さん「学ちゃーん!
ヽ(*^▽^*)ノ」
学はしぶしぶ、みんなと一緒にテレビを見ます。
そして音寿は、『ALARA Song』を歌い始めました。
(←『ALARA~』の作詞は、萩尾望都さんです。
作曲は、音寿役の明石隼汰さんです。
音寿は、舞台の右側で客席正面を向いて、ギターを弾きながらロックな曲、『アララ・ソング』を歌います。
その後ろで、ダンサー達が踊っています。
一方、ナホ一家は、舞台の左側に座り、客席正面を向くことで、テレビ画面を見つめています)
やがて、音寿の金髪を
『チャラチャラして、なんだ!』
と、あきれていたお祖父さんも、家族のみんなも、テレビに釘付けになりました。
音寿『アララ アララ アララ アララ♪
言い訳なんかしなくていい
アララ アララ アララ アララ♪
土下座なんかしなくていい
全部元に戻してほしい♪』
音寿は、原発事故によって失われた日常を返して欲しいと、真摯に歌います。
お祖父さん「なんだ?
アララって?」
学は説明します。
『アララ』は、環境省のホームページで読んだ、『ALARA原則』のことだと。
それは、放射能によってもたらされる利益が、損害よりもプラスになったとき、最小限の被爆に抑えて利用する、というものでした。
お祖父さん「なんだ、そりゃ?!
滅茶苦茶じゃないか!!」
経済的な利益を優先し、被爆する人々をないがしろにした原則に、お祖父さんは、驚きあきれて叫びます。
そのとき、自分の無力さに打ちのめされて、虚無的になっていた学に、真っ当な怒りが込み上げてきました。
学は今、参考書もスマホも置いて、憤りながらテレビに見いっています。
(←成績優秀な学は、将来は、東京の大学に進学する予定です。
宇佐見学は、最初は、上京したら被災を忘れようとして、『何もなかったような日常』に適応してしまいそうな雰囲気がありました。
しかし、次の曲『やめない』を聞きながら、再び参考書を手に取る宇佐見学は、自分の知性を社会を良くするために使う、決意をしたように思えました。
そして、東北の悲しみを体現しているような千葉学からは、傷つきながらも、決して理不尽な現実から逃げない強さを感じました。
千葉さんは東京出身ですのに、本物の東北人に見えました)
やがて次の曲、『やめない』が始まります。
(←バラードである『やめない』は、明石さんが、萩尾望都さんの傑作漫画、『残酷な神が支配する』の主人公であるジェルミに想いを寄せて作った曲です)
音寿『うらんだら負けだ
ひどい仕事を ひどい社会を ひどい神を
(中略)
笑う力は まだあるはずだ
愛せる人は まだいるはずだ
だから受け止めるんだ♪』
そのとき、床に胡座をかいていたお父さん(船戸慎士さん)が、ボックスに座ったお母さん(仲原裕之さん)の膝に触れました。
お母さんは、優しく微笑んで、夫の手の上に両手を重ねると、『大丈夫』と励ますように何度もさすります。
すると、お父さんは泣き出し、首に巻いた白いタオルで顔を拭いました。
(←私見ですが、婿養子であるお父さんは、肉親と生まれ故郷を失った妻と、伴侶を亡くした義父を気遣い、自分の悲しみよりも、家族を守ることを優先させていたのだと思います。
しかし『やめない』を聴いたとき、ずっと頑張っていたお父さんの感情は決壊し、初めて泣くことが出来ました。
そのとき、夫を労るお母さんが、本当に愛情深くて優しくて、夫婦の信頼を感じました)
やがてお祖父さんは、ずっと否認していた妻(若林健吾さん)の死を実感し、両手で顔を覆って泣き出します。
ナホ「じーちゃん…」
そしてナホは、慈しむように、お祖父さんの背中をしっかりと抱きしめます。
このときナホは、自分のことだけではなく、他者の悲しみに寄り添う人に成長しました。
(←私見ですが、震災の直後に、娯楽が不謹慎だと自粛する空気があったことを知りました。
(←私は、電気も電波も新聞も来ない被災地にいたため、リアルタイムでは分かりませんでした)
ですが、この作品では、エンターテイメントが生きる力になることを、力強く表現していたと思います)
・場面は変わります。
ナホは、夢の中で再び、チェルノブイリの暗い森に来ていました。
しかし、以前は怯えて泣いていたナホは、今、チェルノブイリ原発事故の炎を毅然と見つめています。
そのとき、夢の中ので出会った、ウクライナの女の子が現れました。
(←女の子役は、伊藤清之さんと、松本慎也さんのダブルキャストです。
伊藤女の子+松本ナホです。
松本女の子+関戸ナホです。
女の子は、金髪を三つ編みにして、麦わら帽子を被っています。
12~13歳くらいの美少女です)
いつも女の子は、過去のチェルノブイリから、舞台の右側に立てられたゲートを通って来ました。
しかし音寿の歌の後には、ゲートは、舞台上から無くなっています。
そしてナホは、真っ直ぐに女の子に向き合いました。
すると女の子は、箱のような形の、お祖母さんの種まき器を首から下げています。
ナホ「…あなたのこと、写真で見たよ。
お人形、持ってたね…」
ナホのお祖母さんは、友達の看護師の藤川さん(藤原啓児さん)が、94年にウクライナの病院に渡ったとき、被爆した子供たちのために、沢山の手作りのお人形を託したのです。
そして夢の中の女の子は、当時、お祖母さんから贈られたお人形を抱きしめて、写真の中で微笑んでいました。
しかし女の子は、今も当時の写真と同じ、少女の姿をしています。
やがて女の子は、種まき器の横のハンドルを回して、舞台上を歩きます。
すると、彼女の歩いた地面に、黄色に輝くなのはなが広がりました。
(←舞台の背景は、萩尾望都さんのお描きになった、モノクロのなのはな畑の絵です。
女の子が種を蒔くと、その背景の花々が、少しずつ暖かい黄色に染まります)
その後、女の子は、ナホに向き合い、種まき器を差し出しました。
ナホは、それをしっかりと受け取ります。
今、ナホには、女の子が伝えたかったことが分かったのです。
ナホ「あなたは…。
チェルノブイリにいる私だね?
私は、フクシマにいるあなた…」
すると、津波で亡くなったお祖母さんが現れて、ナホに優しく微笑みます。
そのときナホは、女の子とお祖母さんから、『次の世代のために、世界を終わらせない』という、志を受け継ぎました。
・やがてナホが夢から覚めると、避難指定区域にある実家に一時帰宅したお祖父さんが、種まき器を持ち帰っていました。
お母さん「でも、畑も無いのに…」
困惑するお母さんに、ナホは明るく答えます。
ナホ「私が使う!
(故郷に)帰ったら、また牛を飼って。
ヤギを飼って。
チーズも作る。
沢山、なのはなを植えよう。
ね、お祖父ちゃん!」
ナホは、どれほど長い時間がかかっても、少しずつ土から汚染を除去するなのはなのように、未来を諦めません。
そしてナホが微笑むと、灰色だった空が青空に変わります。
やがてナホの言葉に、家族のみんなも、喪失の中から、新しい未来を見つめ始めました。
最後に、登場人物全員で、『なのはな』を歌います。
(←『なのはな』の作詞は、萩尾望都さんと、明石隼汰さんと、倉田 淳さんです。
作曲は、明石隼汰さんです)
全員『なのはな なのはな
世界が終わらないように
なのはな なのはな
世界が次の世代に続くように
種をまこう
(中略)
きっと歩き出せる
あなたの「なのはな」を見つけたら♪』
お祖父さんは、お祖母さんと微笑み合い、慈しむように彼女が首に巻いた手拭いに触れていました。
そして人々の上には、白い雲が浮かんだ、美しい青空が広がっていました。
以上です。
最後に、自分の運命に向き合い、笑顔で手を繋いで走り去る、ナホと女の子がいとおしかったです。
素晴らしい作品を観劇できて幸せでした。
更新に大変に時間が空いてしまい、申し訳ありません。
読んで下さって本当にありがとうございます。