「上伊場野里芋」は幻のさといもです。大崎市三本木町上伊場野だけで栽培されているさといもで、自家用として栽培している方が多く、販売用として出荷している農家は多くありません。
宮城県を含め東北地方で栽培されているさといものほとんどは「土垂」(どだれ)という品種です。茎の色が緑色の孫芋まで収穫する里芋で、収穫量の多い品種です。一方、上伊場野里芋は茎の色が黒に近い紫で孫芋が少なく子芋を中心に収穫するさといもで、収穫量は土垂よりやや劣りますが、ねっとりした食感を持ち煮くずれしにくいという特長があります。
このさといもと良く似たさといもが岩手県北上市で栽培されています。北上市二子地区を中心に栽培されている「二子いも」です。上伊場野里芋同様、黒紫の茎で子芋を中心に収穫するさといもで、最北の産地として有名です。
(上段:上伊場野里芋 下段:二子いも)
この二種に関係性はないのでしょうか?北上市二子地区は戦国武将・和賀氏の居城・二子城があった場所です。1600年(慶長5)、関ヶ原の戦いの隙をついて、奥州仕置で取り上げられた領地を奪還しようと和賀忠親は、南部氏に戦いを挑みますが、大軍の前に破れ伏見の徳川家康のもとに送られる途中に仙台領で自刃します。しかし、和賀忠親の子・義弘は伊達政宗の庇護のもと伊場野地区に屋敷を構えます。今でも大崎市三本木伊場野には和賀氏の屋敷跡があります。
二子地区で食べていた美味しいさといもが忘れられなくて、伊場野まで持ってきたのでしょうか?不思議です。
上伊場野里芋は秋になると大崎市三本木地区を中心に販売されていますが、量が少ないため非常に手に入れにくいさといもです。購入したい場合はSNSなどで販売イベントをチェックしてみて下さい。
(執筆:斗田浜 仁)



