《トリビアNo.92》春を告げる「メロウド漁」-メロウドって何?- | いっきゅう会がゆく~宮城マスター検定1級合格者のブログ~

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 宮城県でメロウドと呼ばれる魚がいます。正式な和名は「イカナゴ」。スズキ目ワニギス亜目イカナゴ科に属し体長20㎝程度までになる細長い魚です。沿岸部に棲む主に動物性プランクトンを食する小魚で、大きな群れで回遊します。天敵はサバやカツオといった小魚を食べる魚で海鳥も捕食します。イカナゴは漢字だと「玉筋魚」と書きます。イカナゴの幼魚は「コウナゴ」。佃煮などで利用される魚としてこちらの方が有名です。

 「メロウド」は漢字で表すと「女郎人」。幼魚のコウナゴは漢字で「小女子」。小さな女の子が成長し「女郎人」と呼ばれる方がしっくりきませんか?「女郎」(メロウ)は「野郎」(ヤロウ)の対称語で女を表します。転じて宮城県の方言では小学校高学年から中学生ぐらいの男の子を「ヤロッコ」(野郎っこ)女の子を「メロッコ」(女郎っこ)と言います。1938年に発刊された「仙臺の方言」(土井八枝著)にも掲載されています。
 メロウドといったら「すくい網」漁です。大型魚に追われたメロウドの群れが海面に集まり、それを空から海鳥の群れが襲います。この現象を「鳥山」といいますが漁師さんたちはこの鳥山をめざして船を進め、海面に追いつめられたメロウドを二本の丸太棒を交差させた網で一挙にすくい上げます。

  【すくい網漁(図解)平成元年 (平成元年3月発刊「宮城の伝統的漁具漁法Ⅱ」より)】

 この漁は仙台湾における春の風物詩でしたが、近年不漁が続き、水揚げがゼロの年もあります。仙台湾のメロウド漁が復活することを祈ります。

 

(執筆:斗田浜 仁)