それぞれの球詩
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私の球詩

球詩1 【僕の野球】
《中学生時代9》


「はい?何か用ですか?」

「志水君の足の具合はどうだい?」


「大した事は無いですよ。それより、お宅どなたさんですか?」


「ああ~ごめん。私~~学院高校のスカウトの者だよ。監督さんいる?」


(マジかよ・・。超名門高校じゃないか!?)


「ああ、まだベンチにいますよ。」


「ありがとう。君の2年後も楽しみにしているよ。」

「は・はい!ありがとうございます!!」


「おう!メシもっと食って体重増やしゃ、球速くなんぞ。」


スカウトのイメージが崩れたような気がする・・。

イメージ1小汚いオッサン

イメージ2スーツでビシっと


イメージ3高校やチームの帽子を被っている。


まさか2年後、また僕の目の前にこの人が現れるとは思わなかった。


その日から3食の食事は茶碗からどんぶりになった。

プロテインも飲みだした。

運動後と寝る前に。


腕立て伏せと腹筋は1日200回に増やした。


週3でささ身を食べ、シーチキンを食べ、玉子の白身を食べ、豆乳を飲んだ。


同時にスナック菓子、炭酸を我慢した。


県総体。僕は出番も無く高揚西は一回戦敗退。
志水さんが打たれる最悪な形で敗けた。


僕の初めての県総体は早々に幕を閉じた。


続く
この話に出てくる人物名、学校名は全て仮名です。

私の球詩

球詩1 【僕の野球】
《中学生時代7》


高揚西は順調に勝ち進み、いよいよ決勝戦となった。

僕はこの大会、初戦と3回戦に僕は先発した。


3回戦は5回まで投げ、ヒットは5本打たれものの無失点に抑えた。


この試合嬉しかったのは2打席目に僕がホームランを打った。


ランニングホームランは打った事はあるけど、サク越えは初めてだ。


あとの2回は渡会さんがきっちり締めた。


そして決勝。
「9番ピッチャー志水!」

ついに決勝戦で志水さんがマウンドに上がった。


ビデオを回す中年のおじさんがちらほら・・。


(間違いない!高校のスカウトと敵上視察の奴だ!)

自分には関係ないけど。
なんかニヤけてしまった。

今大会、初登板の志水さんは速球とキレのあるカーブで三振の山を築く。


僕は2回からブルペンに入ったものの、志水さんの出来に安心していた。


しかし、5回。志水さんの打席でアクシデントが起こった。


サードゴロを打ち、一塁ベースを踏み損ない、志水さんは足を吊ってしまった。

相手との点差は6点あったので志水さんは退くようだ。


「ピッチャー・・!」


僕が指名された。
渡会さんや神楽さんではない。僕だ。





「8対0で高揚西の勝ち!互いに礼!」


僕は2回をきっちり抑えた。奪三振2個のオマケ付き。


高揚西は高揚市1位で県大会出場を決めた。


球場を後にしようとすると1人の中年男性が駆け寄ってきた。


「君ぃ!ちょっといいかな?」


続く
この話に出てくる人物名、学校名は全て仮名です。

私の球詩

球詩1 【僕の野球】
《中学生時代6》


翌日、外はどしゃ降りの雨。
連絡網が来て練習は中止となり午前11時まで二度寝しようかなぁ~と部屋に戻ろうとすると・・。 


「ヒロ買い物行かない?」

母さんが口を開いた。


「何を買うんだよ?」


「スパイクは買ったけどグローブは替えて無いでしょ」


僕は小学校のグローブをそのまま使っていた。
母なりに気を遣ってくれたのだろう。



郊外のスポーツ店に行くとそこはグローブがゴロゴロ展示されていた。
野球をしている人ならウィンドーショッピングで2時間は簡単に過ぎてしまうだろう。


母はアンダーシャツや練習用のユニフォームのコーナーへ。


僕はグラブのコーナーに行った。


ミズノ、ゼット、ローリングス、SSK他にも沢山あった。


「へぇ~幾つもあるのねぇ・・。しかも高いわね。」

母がグラブコーナーにやってきた。
手にはアンダーシャツ3枚、練習用ユニフォームが3セット、アンダーストッキングが3枚と沢山買ってくれるようだ。


「母さん。いいよ。グローブは。そんなに買ったら高いよ・・。」


「そんな事気にしなくていいの!そのかわり、しっかり練習するのよ。」


「分かった。じゃあ、外野用グラブ!ビューリーグのにする。」


僕は1万4千円のグラブを手に取った。


「あんた。ピッチャーじゃないの!?ピッチャー用を買いなさい!」


「母さん・・。俺は次期ピッチャーじゃないよ。昨日はたまたま投げただけだし。」


「あのね。昨日、部長先生に挨拶して来たの。そしたら、あんたは今後ピッチャーとして使うって。」


凄く嬉しかった。またマウンドに上がれるんだ!と・・。


そして僕はミズノの松坂モデルを手に取った。


本日の買い物4万円。


4万円という金額は二十歳になった僕には重みが分かる。


あの時、母に照れくさくてありがとうと言えなかった・・。


今、すげー後悔してる。


続く
この話に出てくる人物名、学校名は全て仮名です。