先日、大学病院の口腔外科で親知らずとその前の大臼歯の2本を同時に抜歯し、抜歯後3 日間に渡り上顎洞の洗浄を行っていただきました。



悠長な内容で恐縮ですが、初日から順を追って受診結果をお伝えしたいと存じます。



  初日 抜歯と上顎洞の洗浄


診察台(歯科用ユニット)に座り、先ずは手術同意書に基づき、CT画像を見ながら研修医さんから抜歯の術式とそれに伴うリスク説明を受けます。



手術術式  :  右上7、8番抜歯術

リスク   :  腫脹、上顎洞穿孔からの術後感染等



説明が終わるや否や看護師さんが慣れた手つきで心電図の電極パッド、血圧計のカフと酸素飽和度測定器(SpO2)を付けてモニターのセッティングを始めます。



ピコピコ点滅するモニターを指差しながら、🐻「親知らずの抜歯の際はこのような装置を付けるのですか。」と研修医さんに確認すれば、



👩‍⚕『たまに付ける患者さんはいます。ケースバイケースですね〜。では麻酔をしま〜す。』と、答えになっていないような答えではぐらかされます。



どんなケースだと付けるのか興味がありましたが、大して大事なことでもないため一旦忘れることにします。



麻酔が効くまでしばしの待機・・・





抜歯


👨‍⚕『前回の受診日からの3週間で何か変化はありましたか。』と、医師。



🐻「上顎洞の痛みは次第に和らぎました。今は頬あたりに若干の違和感が残るぐらいです。」と答えると、



👨‍⚕『それは良かった。上顎洞内の膿は少なくなっているかもしれませんね。』



👨‍⚕『重症筋無力症の主治医、直近で治療を受けた歯科医院の歯科医、虚血性心筋症で経過観察中の病院の循環器内科医等との調整は終わっています。心電図等は念のため付けさせてください。』



複数の持病があるため心電図等を付けたとのこと。

先程の疑問が晴れました。



👨‍⚕『では予定通りに抜歯を行います。親知らず、その前の大臼歯の順に抜きます。』と、医師。



根だけが残っていた親知らずがあっという間に抜けて、少々手こずりながらその前の大臼歯の抜歯と、抜歯後上顎に見つかった嚢胞(歯根あたりの膿の塊)の切除が終わると・・・



👨‍⚕『やはり親知らずを抜くと、上顎洞に貫通していました。親知らずを抜いた後の穴は上顎洞の洗浄のためしばらく残しますが、その前の大臼歯は貫通していないため縫合します。』と、医師。





上顎洞の洗浄


👨‍⚕『先ず親知らずを抜いて出来た穴から注射器で膿を吸い出して、その後、上顎洞内に生理食塩水を注入して洗浄します。』



(⬆毎回ですが画像はお借りしました。)



注射器を入れるも上手く膿が吸えず、直ぐに洗浄が始まります。



👨‍⚕『目視出来る範囲に膿はありませんが、上顎洞に生理食塩水を注入してみます。では、始めます。』と医師が言った途端、親知らずを抜いた後のポッカリ開いた穴にチューブを入れて生理食塩水を水鉄砲の如く注ぎ入れます。



入れた穴からジャブジャブ漏れますが、助手の方は吸引する素振りすら見せません。



仰向けで診察台に横たわっているため少々血なまぐさい生理食塩水が口内に溜まり出して、しまいにはゴホゴホしながら溺れそうになっていると、



👨‍⚕『意外と膿が出てますね〜。生理食塩水は飲み込んでも大丈夫ですよ。』と、ニコニコしながらここぞとばかりに容赦なく注入を加速する医師。



🐻「色々混じっているけど大丈夫?」と、一瞬躊躇しましたが、膿混じり血液混じり(たぶん)の生理食塩水をゴクゴク飲んで呼吸を整えます。(ゲフッ!)



👨‍⚕『洗浄が終わりました。明日と明後日も洗浄をしますがよろしいですか。』



断る理由が無いため「お願いします」と伝えると、



👨‍⚕『感染リスクを改めてご説明すれば、重症筋無力症(MG)の治療で服用しているステロドと免疫抑制剤の影響で、抜歯後の感染リスクが他の方より高いことを理解してください。』



👨‍⚕『MG主治医に確認を取り了解を得た、MGへの影響が少ないペニシリン系の抗生剤を処方します。感染防止のため忘れずに服用してください。何かご質問はありますか。』と、医師。



⬇今回処方されたペニシリン系抗生剤です。1日3回、毎食後1錠服用します。



生理食塩水をガブガブ飲み込んで気持ちが悪く、早く終わることだけに集中していたこともあり、🐻「何もありません」と答えると、👨‍⚕『また明日!』と颯爽と診察室を出る医師。



忙しいらしく、何時もながらの速攻です。



その後研修医さんから出血が止まらなかった時の処置の仕方等の説明を受けた後診察室を後にしました。





  抜歯の翌日 上顎洞の洗浄


👨‍⚕『昨日はどうでした?』と、医師。



🐻「麻酔が切れても抜歯跡はさほど痛みませんでしたが、夜になると上顎洞に痛みを感じました。我慢出来る痛みのため鎮痛剤は服用していません。」



👨‍⚕『判りました。では、昨日に続き上顎洞の洗浄を行います。昨日とは異なり今日は座ったままの姿勢で、シリンジで上顎洞に生理食塩水を入れて圧をかけ、上顎洞内にある膿を自然口(上顎洞と鼻腔を繋ぐ穴)を通じて鼻腔側に押し出すようにして洗浄します。』



👨‍⚕『大半は鼻の穴から流れ出ますが、喉にも若干流れると思います。その際は昨日同様、飲み込んでください。』



いざ注入用の管を挿入しようにも親知らずを抜いた後の穴がなかなか見つかりません。



👨‍⚕『親知らずを抜歯した後の穴が見つかりません。傷の治りが想定より早いですね。それはそれで良いのですが、このように洗浄出来なくなるという弊害があります。』



一度診察台を横にして当たりをつけてから座った体勢に戻します。



👨‍⚕『あ、ここですね。傷口に触るため少し痛いですよ〜』と言った途端、塞がりかけた傷口がメリッとこじ開けられたかと思うと管がスルスルと奥まで入り、勢い良く生理食塩水が上顎洞に流れ込んで来ます。



👨‍⚕『今日は圧をかけるので痛いですよ〜』と、またまた痛みの予告をいただきましたが、こればかりは本当に痛く、まるで上顎洞炎の最盛期のような激しい痛みを右頬に感じます。



しばらく痛みを我慢していると、医師の予告通りに鼻の穴から血で赤く濁った生理食塩水がチョロチョロ流れ出て、何度か繰り返すと次第に色が透明に近くなるのが素人の私でも判ります。



⬇私が持つトレイに流れ落ちます。



👨‍⚕『明日も洗浄します。明日の様子を見て来週も洗浄が必要かを考えます。しばらく抗生剤を服用していただき、1ヵ月後を目安に上顎洞のCTを撮って、その後どうするか判断します。では、お大事に。』と言うと、今日も足早に診察室を出る医師。



明日も治りかけた傷口をメリッとこじ開けて、圧をかけながら洗浄するかと思うと憂鬱な気分になりましたが、あと数回で終わるかと思えば少しばかり気も晴れました。





  抜歯の翌々日 上顎洞の洗浄


👨‍⚕『昨日はどうでした?』と、医師。



🐻「昨日に引き続き夜になると上顎洞に痛みを感じました。日増しに痛みが強まっているような気がします。我慢出来る痛みのため鎮痛剤は服用しませんでした。他は特に変わったことはありません。」



👨‍⚕『そうですか。それでは上顎洞の洗浄をしましょう。今日も昨日同様、座ったまま洗浄します。』



👨‍⚕『やはり傷の治りが早いですね。傷口に触るため少し痛いですよ〜』と、今日も親知らずを抜いた後の、塞がりかけた傷口がメリッとこじ開けられ、傷口を擦るようにして管が奥まで入って来ます。



昨日同様、生理食塩水が上顎洞に流れ込んで来ますが上顎洞と鼻道を繋ぐ穴の通りが悪く、一向に鼻の穴や喉に生理食塩水が流れません。



昨日のように鼻の穴からチョロチョロ流れ出ないため、上顎洞と鼻道を繋ぐ穴が詰まっているような感じです。



そのため逃げ道が抜歯後の穴に限られることから生理食塩水が昨日以上に上顎洞を圧迫して、痛みが増します。



親知らずの抜いた後の穴、注入した穴から逆流して口内に溜まった生理食塩水を何度も吐き出しながら、そして痛みで体が硬直しながら、



これでもかと医師が圧をかけて生理食塩水を注入したところ、最後にチョロっと鼻道に流れたところで医師も諦め今日のミッションは終了しました。



👨‍⚕『逆流して出てきた生理食塩水を見ても、比較的綺麗なため上顎洞の炎症は治まったようです。では来週受診していただき傷口を確認させてください。抜歯後の穴が塞がっていなければ洗浄したいと思います。では、お大事に。』



一先ず一区切りがついたことから医師にお礼を伝え診察室を後にしました。



上顎洞炎が再燃しないことを祈りつつ・・・





  雑感


今後は上顎洞炎が再燃しないかが鍵ですが、結果が出るまでしばらく時間がかかりそうです。


上顎洞の洗浄が始まってから日増しに痛みが増して来ており、上顎洞と鼻道を繋ぐ穴が詰まっているのが気になるところですが、処方された抗生剤で治まるのを期待するしかありません。


一応1ヵ月後にCT検査を受けることになっており、上顎洞炎が再燃していなければそこで終了となり、仮に再燃していれば院内紹介で耳鼻咽喉科に引き継がれると思われます。


上顎洞炎の手術は避けたく、このまま治まってほしいところです。


頑張れ抗生剤!





話しは変わって、先にご報告した通り、重症筋無力症(MG)の主治医から指示を受け、MGに影響の少ないペニシリン系抗生剤を選択したとの説明が口腔外科医よりありました。


抗生剤・抗菌剤の変遷

 ①ペニシリン系抗生剤・・・・MG影響なし

 ②マクロライド系抗生剤・・・MG影響あり

 ③キノロン系抗菌剤・・・・・MG影響あり

 ④マクロライド系抗生剤・・・MG影響あり

 ⑤ペニシリン系抗生剤・・・・MG影響なし


※①〜④は耳鼻咽喉科医院、⑤は大学病院の口腔外科で処方されたものです。



マクロライド系抗生剤とキノロン系抗菌剤はMGに影響があるため、『他に選択肢が無い場合に限り慎重投与する』と医療従事者向け資料には記載されており、やはりそうだったのかと納得した次第です。



関連する情報として、以前、火傷の治療で皮膚科を受診した際、抗生剤とMGで服用中の免疫抑制剤との間にも相性があると皮膚科医が言っていたのを思い出しました。



抗菌剤と免疫抑制剤との相性があると皮膚科で指摘された時の記事です。



MGと抗生剤との相性、抗生剤と免疫抑制剤との相性など、素人には判らない世界がまだまだあります。


次回の受診時にでもMGと薬の相性などMG主治医に確認したいと思いますが、薬の相性は普段から個人的にも気を付けて行きたいと思います。



今回は上顎洞炎になり色々勉強させていただきました。ただ、このような勉強はあまりしたくはありませんが・・・



長文、駄文で失礼いたしました。



では、皆様もどうぞご自愛ください。





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