【テーマ・りか】
今宵の月は
大きく明るく
いつもより少しだけ
わたしたちのそばで
耀いているそうです
雨上がりの夜空に
明るく輝く月が浮かんでいて
そんなわけはないと
わかっているのに
まるで月はわたしだけを
照らしているような
恥ずかしいくらい大胆な
錯覚をしてしまいます
その錯覚は
わたしのなかに
ここではないどこかへ
行きたがっているわたしが
存在していることを
やんわりと教えながら
ふんわりと誘って来るのです
いつもより少しだけ
力強い引力で
いつもより少しだけ
明るいひかりで
てをさしのべて来るのです
いつもわたしのなかに
すっかり収まっている
別のわたしを
今夜限りは少しだけ
そこではないどこかへ
行ってもいいのだと
誘って来るのです
ふと錯覚から
気を取り戻したとき
わたしは思います
月とわたし
どちらが錯覚なのだろう
夢と現実
どちらが錯覚なのだろう
わたしたちは
無防備に未知にさらされたとき
それを錯覚と呼ぶけれど
錯覚なくて本当の感覚に
気づく術があるだろうか
非日常なくて日常に
夢なくして現実に
月なくして夜に
ここではないどこかなくてここに
気づく術があるだろうか
わたしでない誰かなくて
わたしに気づく術が
あるだろうか
あの月は本当は
うんと遠くにあると知っているのに
ほら
手が届きそうです
今宵の月は
大きく明るく
いつもより少しだけ
わたしたちのそばで
耀いているそうです
雨上がりの夜空に
明るく輝く月が浮かんでいて
そんなわけはないと
わかっているのに
まるで月はわたしだけを
照らしているような
恥ずかしいくらい大胆な
錯覚をしてしまいます
その錯覚は
わたしのなかに
ここではないどこかへ
行きたがっているわたしが
存在していることを
やんわりと教えながら
ふんわりと誘って来るのです
いつもより少しだけ
力強い引力で
いつもより少しだけ
明るいひかりで
てをさしのべて来るのです
いつもわたしのなかに
すっかり収まっている
別のわたしを
今夜限りは少しだけ
そこではないどこかへ
行ってもいいのだと
誘って来るのです
ふと錯覚から
気を取り戻したとき
わたしは思います
月とわたし
どちらが錯覚なのだろう
夢と現実
どちらが錯覚なのだろう
わたしたちは
無防備に未知にさらされたとき
それを錯覚と呼ぶけれど
錯覚なくて本当の感覚に
気づく術があるだろうか
非日常なくて日常に
夢なくして現実に
月なくして夜に
ここではないどこかなくてここに
気づく術があるだろうか
わたしでない誰かなくて
わたしに気づく術が
あるだろうか
あの月は本当は
うんと遠くにあると知っているのに
ほら
手が届きそうです