敬老の日に母と私は、祖母(90歳)にLINEでビデオ電話をした。
毎年必ずする決まりになっている訳では無いが、祖母は昨年末に転倒して同時に3ヶ所骨折し、入院していたのだ。
今は退院して、九州の長男夫婦の家に住んでいる。
母が
「どうしているか敬老の日に電話しよう」
と言ったのだ。
ビデオ電話がつながると、祖母が前掛けをして座っている姿が映し出された。
朝ご飯前とのことだった。
母が、
「入れ歯は入れてる?」
と聞いた。祖母が、
「入れちょるよ。歯医者で直してもらったから良ぅなった。」
「入れ歯が合うようになってよかったね。外出て歩いてる?」
「お〜、〇〇を使って歩いちょるよ。」
「そう、それは良いことだね。」
と話はここでひとしきり終わったのだが、祖母が何を使って歩いているのか聞き取れなかった。後で母に確認したら、
「私も聞こえなかったけど、前から使ってる歩行器でしょ!?」
と言っていた。しかし、
(3ヶ所骨折した後でまだ同じ歩行器で歩いてるのかな?歩いてたら凄いリハビリ頑張ったんだな。)
と思った。
次に私が、
「重大発表があります!」
と言った。祖母に伝えたいことがあったのだ。
が、言った直後に、
(彼氏が出来ました!とか結婚します!って言うと思われちゃうかな?)
と急に気持ちが焦り、すぐに
「お母さんが酒まんじゅうを成功させました!」
と畳み掛けるように言い終えた。
そんな私の焦りは考えすぎだったようで、
「できたんね!?」
と祖母は普通に酒まんじゅうに食い付いた(笑)
すると母が、
「かぁちゃん、実はズルしたんよ。」
と話に入ってきた。
「ポットつこぅたんか?」
「ポットは臭くなるから使わんけど、種にイースト入れて、粉にベーキングパウダー入れたんよ。」
「みんなやっちょるよ。」
私(…えっ!?この間のは純粋な酒まんじゅうじゃなかったの!?ってか、昔からみんなイーストやら入れてたの!?)
と、私の中では衝撃だった。なんだか騙されたような…
「純粋な酒まんじゅうは難しいよ」
と母が言っていた。
ここで母が話題を変えた。
「この間水族館(相模川ふれあい科学館)行ってきて、アオダイショウを触ったのよ!メタリック(?)だったのよ…かあちゃん、アオダイショウと言えば、覚えちょる?」
「あ〜覚えちょる、あん時な、〇〇して✕✕して、まだ子供だったな、むげねぇことしちまった。」
とすぐに返事があった。
『〇〇して✕✕して』のところが早口の方言で聞き取れなかったので、後で母に内容を聞いた。
半世紀以上前、母が小学生の時、トイレの手すりに掛かっていたタオルで手を拭いたら、タオル越しに棒のようなものを掴んだそうだ。そしたらそこからヘビが出てきたのだそうだ。
母はビックリして、
「父ちゃん!!」
と叫んだら、父ちゃん(私の祖父)が殺虫剤で殺したか追い出したかしたらしい。
途中で父も顔を出し、画面に向かっておのおの話していたら、
母が、
「もう母ちゃん疲れたでしょ!?顔が怖くなってる。」
と言った。正直私にはお年寄りの怖い顔の変化は分からなかったが、いつの間にか祖母は右手に茶わんを持っていた。
返事もないので、母の考えが当たりのようだったので、お開きになった。
「ありがとな〜。」
と言った祖母は笑顔だった。
ほんの10分ぐらいだったけど、
気分が良かった。