進撃の巨人   #74   唯一の救い





☆前のお話は → 「第60話~第73話 あらすじまとめ」

★1期 → 「進撃の巨人 第 1話~第25話」

★2期 → 「進撃の巨人 第26話~第37話」

★3期 → 「進撃の巨人 第38話~第59話」



「よく見ておけジーク。これが私たちの住むレベリオ区だ」



「世界と比べれば鳥かごみたいに小さい。私たちはここからどこにも行けずに死ぬまでここで暮らさなきゃいけない。ジーク、お前はここから出たいと思わないか?」
「うん...でたい」



清掃員は一家がエルディア人とわかると態度を急変させ水をかける。
「な、何を!? 私たちは外出許可を取っているのですよ」
「俺はこの塔の清掃員で汚れを落とすのが仕事だ。俺の職場を汚しやがったな。悪魔め!! 殺戮の限りを尽くした悪魔の末裔が! またガキ作って繁殖しやがって!! 」



「よく覚えておけよジーク...これが外の世界だ...この世界が嫌なら変えなければならない」



「ジーク...お前がみんなを救うんだ」



「この子供たちの中から私の後継者を?」
「ええ。ひとり選ばれます」
「ひとり遅れている子がいるが...あの子は?」
「あぁ...またイェーガーか...他の子はみんな幼くも必死に名誉マーレ人の称号を得ようと務めているのに奴にはその気概が...どうも見受けられない。まったく何をしにここにいるのやら」



「訓練はどうだ? ジーク」
「...すごく大変」
「そうか...でもお前なら、きっと戦士になれる」
「あなたには特別な力があるんだからね」
「何よりお父さんとお母さんの子なんだからな」
「うん」



両親は社交ダンスに行くと言って祖父母にジークを預けてエルディア復権派の集会へ。
「社交ダンスクラブなんて、ジークが寂しがっているぞ」
「でも僕はレベリオの健康を守りたいんだ」
「いつかきっと私たちのやってきたことをジークはわかってくれますよ」



「これが1200年前に起きた『ラーゴの惨劇』大都市ラーゴはこの日のうちに消滅し進攻を続けた巨人によって『モンテの惨害』と『ヴァレの惨禍』が繰り広げられ何十万ものマーレ人がエルディア帝国に殺された。さらにラーゴから何とか逃れた難民は道なき荒野を彷徨った。しかしエルディア帝国はその退路に巨人を仕掛け、夜明けと共に起き上がった巨人によってマーレ人は...」



「うん、わかった。人がいっぱい死んだんでしょ」
「お父さんは...ちゃんと正しい歴史を教えているか?」
「エルディア人はマーレ人にひどいことをしたから僕たちはここで償わなくちゃいけないって」
「ジークは...戦士になってマーレのために戦いたいのか?」
「うん...僕は...戦士になりたい...」



(>_<)



学校の帰りにボールで遊んでいる親子を見かけたジーク。
「お父さん! 今日は早く終わったんだ。だから...」
「おお、そうか。じゃあ、たくさん勉強できるな」
「...うん」



「つまり『ラーゴの惨劇』は存在しなかったんだ。『モンテの惨害』も『ヴァレの惨禍』もすべてマーレに都合のいい作り話に過ぎない。古代よりエルディア人にそのような残虐な文化や風習はなく何より...」
「始祖ユミル様がそのようなことを望まないので、ありえない」
「その通りだ。わかってきたなジーク」
「うん」



「やる気のない者は去れ。マーレは祖国にすべてを捧げる覚悟のある者を求めているのだ。お前のようなエルディア人に我が国の巨人を委ねられるわけがないだろう」



「オーイ、そこの君。そのボール、投げてくれないか?」



「ハハッ。まだ小さいのにやるじゃないか」
「...ナイスキャッチ。壁相手も飽きたところだ。ちょっとおじさんに付き合ってくれないか?」



「赤い腕章!? あなたは...!?」
「君たちが目指す『マーレの戦士』だ。もっとも私の『獣の巨人』は、あまり戦争の役に立たないから、ここで球遊びなんかしてるんだけど」
「トム・クサヴァーだ。本業は巨人学の研究者だ。ほら、君の名前は?」



「ジーク・イェーガーです」
「...ジーク。どうも君は筋がいいな。きっとピッチャーに向いてるぞ」



「ただいま! お父さん今日ね...」



「どうなってるんだ、グライス。ジークを戦士にできなければ計画は失敗だぞ」
「だが、フクロウが言うには巨人の継承者選びに介入するにはジーク自身が好成績を残さないと...」



「わかっている...もうこんなチャンス100年待ったって来ないってことは...」
「でも...まだジークにも可能性は残っているんでしょ?」
「あぁ...そうだとも。ジークなら...」



「あ...ごめんなさい...」



「ジーク。お前ならできる!! 父さんと母さんの子供なんだからな!!」



「お前はマーレに必要ないと言ったはずだが...? なぜここにいる?」
「マーレへの忠誠を示しエルディアの罪を償うためです。公開訓練に参加させてください...!!」



両親が見に来ている公開訓練でも、ひとり皆からかなり遅れてしまうジーク。



「何をしているイェーガー!! 走れ!! 走らんか!!」



「クソッこんなはずじゃ...!!」
「そんなこと言わないで!! あの子は一生懸命がんばったでしょ!!」
「...だがあれじゃ...!! 到底戦士にはなれない!!」



「ハハハ。この間は散々だったな」
「笑いごとじゃないよ。あれからずっと雑用係をやらされて...もう僕はおしまいだ...」
「そんなに戦士になりたいようには見えなかったがなぁ」
「...ならなきゃいけないんだ。なのに...全然ダメだった...」
「無理もない。君は戦士なんて馬鹿らしかったんだ。マーレのために寿命を縮め他国を侵略するなんて馬鹿らしくてやってられないよな」
「...クサヴァーさんは...何で戦士に?」



「巨人の謎を知りたかったからさ。私は研究者だからね。すべては始祖ユミルが『何か』と接触したことから始まるらしいが私はその時に起きたことを知りたいんだ。寿命を縮めてでも巨人の記憶を探ろうと思うほどにね。そんなことだから戦争じゃからっきしの役立たずだ。だが巨人の神秘の前に憎しみや争いもくだらないよ」



「だから、この戦争ごっこに付き合ってられない私たちは似た者同士で、この世界じゃ珍しいまともな者なのさ。フフフ...」



(これでよかったんだ...ずっと収容区から出られなくたって生きてさえいれば...)



「ついに尻尾を掴んだぞ。エルディア復権派とか名乗っていやがるらしい」
「今回はかなりの規模だぞ。フクロウとかいう内通者が組織している」
「すでにいくつか目星は付いている」
「あとは証拠を揃えていけば...」
「...時間の問題だ」



「お父さん...お母さん...もう...危ない事はしないで...見つかったら、みんな楽園送りなんだよ? 悪魔の島に送られて...みんな巨人に...」



「お前は今まで父さんから何を学んだんだ? 誰かが立ち上がらない限り、みんなずっとこの狭い壁の中で惨めに死んでいくんだぞ?」
「そうよ。これはあなたやエルディア人みんなの未来のための戦いだって言ったでしょ?」



「そのためなら...僕はフェイおばさんみたいになってもいいの?」
「ジーク!! そもそも...フェイが殺されたのは!!...この世界が狂っているからだ!! もう誰もフェイのような目に遭わせないためには戦わなくてはいけない!! 強いエルディアをマーレから取り返し!! 当たり前の権利を勝ち取るんだ!!」





「何てことだ!! 親が復権派だったなんて...このままじゃ...親族全員『楽園送り』に...」



「クサヴァーさん...キャッチボールしてくれてありがとう...巨人になっても時々思い出すからね」



「告発なさい!! もう...これしかない。自らマーレ当局に告発することでマーレに忠誠を示せば君と祖父母は助かるはずだ」
「そんな...!! できないよ...!!」



「ジーク...君は両親からひどいことをされた。勝手に見放し、ちっとも君のことを気にかけなかった...」



「君を...愛さなかった...ジーク...君は悪くない」



「君は賢くて...」



「...いい子だ」



「...もう少し手加減してくれよ、ジーク」



「あーもう年寄りにはきついかー」
まだそんな歳じゃと言いながら咳き込むクサヴァー。
「もうすぐ...継承の任期を終える頃だ」
「...そうだね」



「年寄りにもなれなかったが、研究に打ち込めたことに後悔はない。最後に集大成を発表できそうだ」
「へーどんなことがわかったの?」
「『始祖の巨人』が『ユミルの民』にもたらした様々な影響について」
「あぁ、記憶を操作するとかいうあれ?」
「記憶どころじゃない。体の構造も変えてしまうことができるんだ」



「600年ほど前、世界の人口が激減するほどの疫病が猛威をふるった時代があった。しかし、ある日を境にエルディア帝国からその病は消滅した。当時の王が『始祖の巨人』の力で『ユミルの民』の体の設計図を書き換えたんだよ」
「まさに私たち『ユミルの民』は、どこにいようと『始祖の巨人』の一部のようなものなんだ。どうだ? 怖いだろ」



「...じゃあさ...『始祖の巨人』なら『ユミルの民』が子供を産めなくすることもできるのかな...もしこれ以上『ユミルの民』が生まれてこなければ...100年後にはこの世から巨人は消滅している。もう世界は巨人の脅威に怯えたり苦しめられたりせずに済む」
「...何より...そもそも僕らは生まれてこなければ苦しまなくてよかったんだ」



「話してなかったけど私には家族がいたんだ。若く愚かだった私は腕章を外しエルディア人であることを隠したまま妻と暮らし子を作った。妻はマーレ人だった。しかし...いつまでも騙し通せるわけもなく私がエルディア人だと知った妻は自分と息子の喉を裂いて死んだ。私が戦士になった理由は贅沢な自殺の方法に飛びついたに過ぎない」



「だが、この13年間は...巨人の研究に没頭し...君と出会い...キャッチボールをして...楽しかった」



「無き息子を君に求め...巨人の力で自分の罪から逃れようとした...私なんてこの世に生まれてこなければ...」



「『獣の巨人』は俺が継承する。マーレのためじゃない。始祖奪還計画を成功させ世界を救ってみせるよ」
「世界の人々を巨人の恐怖から解き放ち、エルディア人を苦しみから解放するんだ!!」



「これはマーレに伝えていない情報なんだが...『不戦の契り』を打ち破る方法だ。図らずともジーク...それは君だからこそ可能になる。『王家の血を引く巨人』であれば『始祖の巨人』の継承者と接触することにより、その能力を引き出すことができるはずだ...しかし、力を使えるのは君じゃない。決定権は始祖の保有者に委ねられる。言わば君の役割は鍵だ」



「誰か信頼できる者に始祖を託すんだ。私たちの『安楽死計画』を理解してくれる誰かに」



「君ならきっと見つけられる...私はいつでも見守っているからな...ジーク」



「見つけてみせるよ...父さん」



「エレン...イェーガーだと?」



「はい...エレンは『始祖の巨人』の保有者です。そしてエレンの生まれ育ったシガンシナ区の家の地下室には...何か重大な情報があるとのことでした」
「その...エレンから父親の話を...何か聞いたか?」
「たしか...今は行方不明で医者をやってたと聞きました」



「何てことだ...あの父親は生きていた。エレン...俺たちは被害者だ...お前はあの父親に洗脳されている」



「いつか必ず救い出してやるからな」



「...少し父親と似てきたようだ...まずはエレン、俺の話に応じてここまで来てくれてありがとう。俺の考えはイェレナから聞いた通り...エルディア人安楽死計画に賛同してくれるのか?』」



「4年前...あることをきっかけに親父の記憶が開いた。親父が壁の王家一家を皆殺しにしたときの記憶だ。まだ小さな子供たちを虫みたいに潰して回った...感触も残ってる...その子たちが生きていれば『始祖の巨人』は王家の手に渡り『不戦の契り』に縛られたまま俺たち壁内人類は心中を迫られただろう。子供たちの死が俺たちを生かした」
「...そうか。父親は正しかった...そう思ったのか?」



「いいや...親父は間違ってる。そして...その親父に育てられた俺も間違いだった。エルディア人が生まれてこなければ、この街の住民も、これから俺たちの計画に巻き込まれて死ぬことはなかった。この世に生まれないこと...これ以上の救済はない」



「俺はやる。俺の手で巨人が支配した二千年の歴史にケリをつける。その日を迎えるまで進み続ける。そうだろ? 兄さん」



「あぁ...その通りだ。やろう。固い握手でも交わしたいところだが、まあ...今、俺たちが接触するのはマズいよな...」



「代わりにこれを受け取ってくれ。エレン。必ずみんなを救ってあげよう」



「唯一の救い...エルディアの...安楽死」



「何つった? 安楽死? お前はこれから臭ぇ巨人の口の中で自分の体が咀嚼される音を聞きながら死ぬわけだが...お前にしちゃあ随分と安らかな死に方だろ? 奪った仲間たちの命に比べてみれば」



「奪ってない...救ってやったんだ。そいつらから生まれてくる命を...この残酷な世界から...そうだろ?」
「...また足が延びて来たみてぇだな...」
「クサヴァーさん!! 見ててくれよ!!」





★次回 「天地」

  進撃の巨人   #73   暴悪





☆前のお話は → 「第60話~第72話 あらすじまとめ」

★1期 → 「進撃の巨人 第 1話~第25話」

★2期 → 「進撃の巨人 第26話~第37話」

★3期 → 「進撃の巨人 第38話~第59話」

☆ニコロが働くレストランでの話の続き。アルミンがガビに「...殺す殺すって君はそればっかりだね。誰かとそっくりだ」と言ったところに、その誰かさんがぬるっと現れて、話がしたくて来たと言い出したところから。



「静かに話したい...エルディアの問題を解決するのに争いは無用だ。ハンジさんたちなら大丈夫。ここから移動してもらっただけだ」



「エレン...君と話したかったのは僕らの方さ。どうして単独でマーレ襲撃に至る選択をしたのか...」



「...本当にジークやイェレナに懐柔されてしまったのか...」



「俺は自由だ」
「...え?...」
「俺が何をしようと、何を選ぼうと、それは俺の自由意志が選択したものだ」
「イェレナと密会した後の行動も、エレンの自由意志なの?」
「そうだ」



「いいえ。あなたは操られている。あなたは敵国とはいえ関係のない人々や子供を巻き込むような人じゃない。そして誰よりも私たちを思い大切にしてきた...そうでしょ。あの山小屋で私を助けてくれたのは...マフラーを巻いてくれたのは...あなたが優しいからでしょ?」
「手はテーブルの上に置けと言っただろ」



「俺はレベリオでジークと話をした。兄弟水入らずでな。ジークは巨人についてマーレが知っている以上の知識を手にしている」
「アルミン。お前はまだアニのところに通っているだろ。それは本当にお前の意識か? 」
「!!...なッ、何を...!?」
「記憶が人を形成するのなら、お前の一部はベルトルトになっちまったんだよ。敵国兵に恋心を抱く。敵国兵にな。アルミン、お前の脳はベルトルトにやられちまった。敵に操られているのはお前の方だろうが」
「エレン、あなたは...」
「ミカサ、お前もだ」



「アッカーマン一族はエルディアの王を守る意図で設計されたんだよ。あの時お前は、死に直面する極限状態の中で俺の命令を聞いた『戦え』と。その瞬間お前の本能が目を覚ましたんだろう。偶然、俺を護衛すべき宿主だと錯覚したことでな」
「違う」
「違う? 何がだ?」
「偶然...じゃない...」



「あなただから...エレンだから...私は強くなれた。それは、あなただから...」
「力に目覚めたアッカーマンは突発性の頭痛を起こすことがよくあったらしい。本来の自分が宿主の護衛を強いられることに抵抗を覚えることで生じるらしいが心当たりは?」
「...ない」
「要するに、本来の自分を失いただ命令に従うために作られた一族。つまりは奴隷だ」
「やめろ、エレン」
「俺がこの世で一番嫌いなものがわかるか? 不自由なやつだよ。もしくは家畜だ」
「エレン」
「そいつを見ただけでムカムカしてしょうがなかった。その理由がやっとわかったよ。何の疑問も抱かずただ命令に従うだけの奴隷が見るに堪えなかった」
「俺はガキの頃からずっと、ミカサ、お前が大嫌いだった」
(原作の「嫌い」が「大嫌い」になってる~(/_;))



「エレン!! よくもミカサを!!」
「...ミカサ?」
「...お前はただそうやって、アッカーマンの血が反応するままに生きてきた」



「ち...違う...」
「お前はただ、それだけだ」





「なあ、アルミン。お前とは昔からケンカしたことなかったよな。何でかわかるか?...お前と俺じゃケンカになんねぇからだよ」



「...もう...やめて」
「最初に言った通り、お前らがジークの居場所を教えるってんなら、俺たちは争う必要はねぇ。だから大人しく付いてこい」
「連れて行け。サシャを殺したガキもだ」



「...それで? 結局何が...言いたかったんだよ...? ミカサを傷つけることが君が求めた自由か...? ...どっちだよ。クソ野郎に屈した奴隷は...」
「ッ...誰が...奴隷だ...行くぞ」
「どこに?」



「始まりの地。シガンシナ区へ」



「冗談じゃねぇ。巨人に食わせるべきクソ野郎は他にいる...ジークの『獣』を他のやつに移す。イェーガー派とかいうのを一人でも捕らえて巨人にしジークを食わせてやれ。エレンが本当にジークに操られているのか知らんがジークさえ失っちまえば連中はおしまいだ。ピクシスにそう伝えろ。行け」
「本気ですか兵長...」
「やつの手足でももいでおけば、じいさんも腹くくるだろ」



「読書は楽しいか?」
「面白いよ。7回も読んだ割には」
「俺たちの会話が気になって集中できなかっただろ」
「7回も読んだ本に熱中しろってか? ところでワインはもう残ってないのか?」
「ひと月もここにいるんだぞ。一滴も残ってねぇよ」
「まったく...ひでぇ拷問を考えるもんだ...」
「読書を続けろ」
「了解だボス」



(ピクシスの返答がどうであろうと奴を切る。完全武装の兵士が30名。この森を上から囲んでいる。獣の巨人になろうと奴に逃げる術はない。やはり髭面野郎は俺たちの敵だった。それが判明した時点で人質に手足をつけとく理由はねぇよな)



(...長かった。エルヴィン...あの日の誓いをようやく果たせそうだ。お前たちの死には意味があった。それをようやく証明できる)



ジークが走り出して、



叫ぶ。





兵士たちが巨人化して落ちてくる...





「何だ...」「一瞬、体が痺れて...」「俺も」「俺もだ...」
 アンカ「え...? 私は何とも」
ピクシス「...」



ナイルたち憲兵も。



ファルコ「体中に電気が流れたような...」



ジーク「お別れだ兵長。部下思いのあんたのことだ。多少大きくなったぐらいで何にも悪くない部下を切り殺したりなんかしないよな?」



「ワインだと...? どうして任務中に酒がいる?」
「兵長。これは憲兵の連中しか飲めなかったマーレ産の希少なやつなんですよ」
「少しくらい楽しみがないと...」
「紅茶があるだろ...めんどくせぇな...いいだろう。持っていけ」



「...ジークの脊髄液がワインに...いつから仕込まれていやがった...体が硬直する予兆はなかった。嘘だったから?」
「クソッ、速えぇ...動きが普通じゃねぇ。これもジークの仕業か...」





「...バリス...」



「まだ...そこにいるのか...お前ら...」


 
「決別だ。お互いを信じることができなかった。全世界の戦力がもうじき、この島に集結してしまう。それがどういうことか、わかっていない」



「自分たちには力がある。時間がある。選択肢がある。そう勘違いしてしまったことが...リヴァイ...あんたの過ちだ...まあ、俺の真意を話したところで...わかりっこないだろうがな...」



「なあ、エレン...俺たちにしか、わからないよな」



「この森を抜ければ、すぐお前の元だ...しかし、ちゃんと場所と時間を覚えているんだろうな。エレン」







「何だよぉお。もおおお。またかよぉおぉぉおおおお」





「どこだ? どこに行った? リヴァイ」
「お前の可愛い部下たちはどうした!? まさか殺したのか!? 可哀想に!!」



「枝...」
「必死だな。髭面野郎。お前は大人しく読書する以外なかったのに...」



「何で勘違いしちまったんだ。俺から逃げられるって。部下を巨人にしたからって、俺が仲間を殺せないと思ったのか?」



「俺たちがどれだけ仲間を殺してきたか知らねぇだろうに」







「よぉ、髭面。てめぇ、臭ぇし汚ねぇし、不細工じゃねぇか。クソが。まあ...殺しゃしねぇから安心しろよ。すぐにはな」



「知っての通りザックレー総統が殺された今、兵団内やこの壁内の情勢は不安定な状況にある。だが貴様ら訓練兵には関係のないことだ。109期訓練兵団は予定通り巨人襲撃時のシガンシナ区防衛訓練を行う」



「わかったのか?」
「は、はい」

「今さら剣で巨人のうなじを斬りつける練習なんてな...」
「もう巨人なんて襲ってこねぇだろ」
「敵は壁外の人間なんだぞ」
「それよか、もっと銃火器の訓練して『エルディア軍』を作らなきゃいけないって親父も言ってた」



「時代はとっくに変わったってのに、もう古いんだよ。シャーディス教官は」
「エルディアに希望があるとしたら、イェーガー派が国の実権を握ることだ」
「な...! スルマ...聞こえるぞ」
「でも、みんなそう思っているだろ?」
「みんなエレン・イェーガーにエルディアを導いてもらいたいはずだ。非情な決断も下せるような強い指導者に」



「...な!? ハンジ!?」
「お久しぶりです。教官殿。突然ですが、この兵団支部は我々が占拠しました。イェーガー派? とか言われている我々が」



「これより我々の指示に従い動いてもらいます」
「イェーガー派...」
「身の程をよくわきまえているようだな。フロック...銃口でも向けない限り貴様らのような小便小僧など誰も相手にしないと考えているのなら、それは確かだ」





「フロック!?」
「外した...とりあえず足でも撃って話を早くしようと思ったんですが...」
「話とは何だ」
「いや、あなたには関係ありません。頭の固さしか取り柄のない老人なんて不要なんですよ」



「これからは、訓練兵諸君!! 君たちの時代だ!!」



「我々イェーガー派は、現在滅亡の危機にあるエルディアを救うために心臓を捧げると誓った!! それはこの古い兵団組織のためではなく、この島に住む民のためにだ!! このまま時代遅れの兵団に従属していては、なす術もなく外の世界の敵に蹂躙されるのみだ!!」
「今、君たちに問う!! 君たちは何者だ!? 我らエルディアの指導者エレン・イェーガーと共に生きる者か!? それとも、ここにいるキース・シャーディスと共に古い慣習と心中する者か!?」



「エルディアの未来のために心臓を捧げます!!」



「よし! 君たちの覚悟を見せてもらおう! シャーディス教官を足腰立たなくなるまで痛めつけろ!!」
「...え」
「これこそが我々が淘汰すべき悪習そのものだ!! 粛清してみせよ!!それができない者は牢屋に入ってもらう!!」
「なッ...!?」



「いいかげんにしろフロック!! バカなマネはよせ!!」
「ハンジ。ヒヨッコ共が何人かかってきたところで相手にならん」



「よくやった。君たち全員を歓迎しよう」



「じゃあ...案内してもらいましょうか。ジークの拘留地まで...ハンジ団長...おい...行くぞ」



「目が覚めたか? オイ、待て。動くんじゃない。雷槍の信管を繋ぐワイヤーを、お前の首にくくってある。ヘタに動いたらお前は腹から爆発して少なくとも二つになるだろう」



「こうなると死なねぇってのも難儀だな...同情なんかしねぇが...」



「お、俺の...眼鏡は...どこ...だ?」
「あ? 知るかよ。もうお前に眼鏡なんか必要ねぇよ」



「いいぞ、ジーク。いい球を投げるようになったな」



「将来は野球選手になるか?」



「...だめだよ、クサヴァーさん。僕には...使命が...あるから」

★次回 「唯一の救い」
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ときめきが続く、お花の定期便bloomee(ブルーミー)

 

ポストに花が届く 『ブルーミー』 体験プランの花を飾ってみました。

 

 

☆今週の花は、アネモネ、プバリア、ニゲラ、センニチコウ。花瓶は一輪挿しにしました。

 

☆プバリア (背の高い方の白い花)は蕾もたくさんあるし、アネモネ (右のうっすら赤くなった蕾) も咲くまで数日かかりそうなので結構たのしめそう。センニチコウはドライフラワーにもなるかな。

 

☆リビングに飾りました。可愛らしい花で気持ちも明るくなるような気がしました。

 

 

☆この箱に入ってポスト投函されてました。届くのはわかってたけど、ちょっと嬉しい。

 

 

☆箱の後ろはこんな感じ。開けて取り出して飾るだけ。

 

☆消費税、送料込みの1回分の花のお値段です。

体験プラン      825円 (花  500円 3本以上)  ポスト投函

レギュラープラン 1,265円 (花  800円 4本以上)  ポスト投函

プレミアムプラン 1.870円 (花 1,200円 5本以上)  手渡し

 

出荷回数規定 → 毎週または隔週お届けで4回以上

スキップ機能   → 不在の時など事前スキップ可

品質保証制度 → 傷んだ花が届いた場合、新しい花を再度送るか次回分が無料

webマイページ → 花の履歴 (名前) 確認ができる

 

☆ポストに花が届くって折れたりしないのかと少し心配したけど、しっかりした箱で問題なく届きました。専用の箱はタテ30センチくらいなので中に入っている花はそんなに長くはないです。一輪挿しやコップにちょこっと飾る花ですね。

 

☆体験プランは花500円分で少ないけど、これってある意味すごく魅力的。私は花屋さんでお供えの花と玄関の花を購入するけど、少しでいいかなと思っても、500円分とか好きな花3本とかは買いにくい。おまかせで2000円分とかなので月に1回か2回の購入だけど、毎週または隔週で違う花を楽しめるのもいいかもしれない。

 

☆花を買いに行く時間があまりない方には特におすすめ。私は時間はないこともないけど、花やさんが遠い。スーパーマーケットの入り口付近にもあったりするけど、山ほど食料品を買ったりすると、花は次回でいいかなとかなったりする。今は買い物に行くのも控えたりすることもあるしね。ポスト投函の体験・レギュラープランなら配達の人とも接触しない。

 

☆こんなご時世だからというのもあるけど、花は一輪でも癒される気がするね。それと知らない間にポストにお花が届いているのって、想像以上にワクワク感がある。何が入っているかまったくわからないのもいいね。今回の花も私だったらたぶんチョイスしないであろう色の花もあって逆に新鮮な感じでした。

 

☆初回無料のキャンペーンなどもあるようです。手軽に花のある暮らしを始めてみるのもいいかも。

  進撃の巨人   #72   森の子ら






☆前のお話は → 「第60話~第71話 あらすじまとめ」

★1期 → 「進撃の巨人 第 1話~第25話」

★2期 → 「進撃の巨人 第26話~第37話」

★3期 → 「進撃の巨人 第38話~第59話」



「ガス兵器というものだ」



「そのガスは俺の脊髄液を含む」



「そいつをわずかでも吸ったユミルの民は直後に硬直。体の自由が奪われ意識を失う」



「あとは俺が命令するだけで『道』を通じて巨人の力が座標に送り込まれる」



「だからその村の巨人は俺の命令どおりに動くってわけだ」



「その村じゃない、『ラガコ村』だ。お前が皆殺しにした村の名前だろ。覚えておけ。クソ髭」



「ああ。俺だって避けたかったさ。だが、やらなければ俺の真意がエルディア復権にあるとバレてこの島に希望をもたらすことは叶わなかっただろう...って同じ事をこの島に上陸してすぐに話したよなあ。なぜ何度も聞き返す?」



「お前が耳カスほどの罪悪感も覚えちゃいねえってことがよくわかる。本当にエルディアを救うつもりなのか知らねえが当の人命に興味がねえのは確かだ」
「お前モテねえだろう。勝手に人の気持ちをわかった気になるなよ」
「わかるさ...モテたことくらい...ある」



「あーあ、そうかい。それで、俺とエレンが会って実験を開始するのはいつだ?」
「決めるのは俺じゃねぇ。本部の命令を待っている」
「いつまでも時間があると思っているなら間違いだと伝えろ」
「それだけは同じ意見だ」



「リヴァイ兵長...」
「何? それは本当なのか?...」



「どげんしたかミア。けそけそしてから」 (*けそけそ→落ち着きがない)
「えっと、いや...」
「緊張しすぎだよミア」
「まったく、どこの田舎から出て来たんだよ」



「カヤ。本当にこんなところにマーレの捕虜が働いてるの?」
「本当だから堂々としててよ。兵士もよく利用するところなの」



「マーレ人の知り合いができるだけでも心強いよ」



「ブラウスさん。ようこそいらしてくださいました」
「お招きいただき、ありがとうね」



「これはまた...賑やかな人数ですね」
「一緒に暮らす家族と来たよ。せっかくタダなんやし。悪いね」
「いえ。今日はお任せください。さあ、どうぞ」



「あの人がブラウスさんを招いたマーレ人のニコロさん。あの人を頼ってみて」
「ブラウスさんは兵士でもないのに何でここに招待されたの?」
「お姉ちゃんはブラウスさんの娘で兵士だったの。お墓に来てくれたニコロさんがお姉ちゃんに食べてもらうはずだった料理をふるまわせてほしいって」



「私、ふたりは恋人同士だったと思ってるけどね」



「うまい。こんなうまい料理は初めてだ...」



「まだまだ。メインはこんなもんじゃないぞ」
「ニコロ。お前に客だぞ」
「えっ、こんな時に誰が?」



「調査兵団」



「お前らか。どうした急用か? 俺は今、大事なお客さんの相手で忙しいんだ」
「ああ。もちろん仕事に戻ってかまわないよ。ただ後で話をさせてもらいたいだけなんだ」
「話? いったい何だ?」
「なんか、ほら、あるだろう。悩みとかさ...」



「義勇兵が拘束された件だ。聞き取り調査に協力してくれ」
「ああ。わかった」



「とりあえず、ここで待っててくれ」



「どうせ憲兵様御用達だろ」
「これは...兵団内で噂のワインか。何でも上官たちしか飲めねえって話らしいけど...」
「何だと。俺たちも調査兵団では上官だろ?」
「ああ。俺たちだって、おいしい思いしたっていいだろ。ちょっとくらい...」



「勝手にさわるな」
「何だよ、ニコロ。ちょっとふざけただけじゃねえか。大げさだな。おい」
「これは、エルディア人にはもったいない代物なんだよ」



「ニコロ。お前まだそんなこと言ってんのか。何人だとかどうとか関係ねえだろ酒に」
「さわんなエルディア人。なれなれしいんだよ。ちょっと親しくしたぐらいで...」
「そういうてめえは何様なんだよ。お前の立場は?」



「捕虜の分際でってか。これでおあいこだな。エルディア人」



「どうしたんだ。あいつ...」
「クソ。わけわかんねえよ」



「今だ」
「うっ、お腹が痛い」
「大丈夫かい? ベン」
「何かあたったのかもしれんぞ」
「トイレに行けば助かるかもしれない」
「私もお兄ちゃんを助けられるかもしれない」
カヤ (がんばって)



「何だ。トイレはこっちじゃないよ」
「トイレに用はありません。ニコロさん」
「私たちはマーレから来ました。戦士候補生です」
「この島にはもうじき世界中の軍隊からなる大攻勢が仕掛けられると思われます」
「それまで、どうか耐えてください。そしてこのことを仲間のマーレ人に伝えてください」



「ちょっと...待ってくれ。どうして戦士候補生がここにいるんだ?」
「レベリオ区が島の悪魔どもに奇襲を受けたんです。私たちは退却する敵の飛行船に飛び乗ったまま、この島に上陸しました」



「はっ...誰か、殺したか?...女の兵士を...」



「はい。仕留めました。ですがまだ数匹駆除した程度。私たちの故郷を蹂躙した報復はこれからです...」



「ガビ、待て」
「私たちは卑怯な悪魔どもには絶対に負けません」
「おい、ガビ、よせ」
「何よ」
「お前が殺したのか...」



「お前がサシャを殺したのか」



ニコロがワインを振り上げガビを庇ったファルコが負傷。



ニコロはガビを一発殴りブラウスさんらのところへ。



「ニコロ君。ベンとミアに何を?」



「サシャを殺したのはこいつです。あなたの娘さんの命を奪いました。まだガキですが厳しく訓練されたマーレの兵士です。マーレから退却する飛行船の中でこいつがあなたの娘を、サシャを撃ったんです」
「娘...」



「ブラウスさん。どうぞ。あなたが殺さないなら俺が殺しますが、かまいませんね」





「大変だ。来てくれ、みんな」
「サシャを撃ったガキ...どういうことだ。ニコロ。そいつは逃亡中と聞いていたが...お前、何しようとしてんだよ。おい」
「寄るな。下がれ。ただサシャの仇をうつだけだ。そこを動くな」



「やめて。ファルコは違うの」
「このボウズはお前の何だ。お前を庇ってこうなったよな。お前の大事な人か...俺にも大事な人がいた。エルディア人だ。悪魔の末裔だ。だが彼女は誰よりも俺の料理をうまそうに食った。このクソみてぇな戦争から俺を救ってくれたんだ...人を喜ばせる料理を作るのが本当の俺なんだと教えてくれた...それがサシャ・ブラウス。お前に奪われた彼女の名前だ」



「私だって大事な人たちを殺された。そのサシャ・ブラウスに撃ち殺された。だから報復してやった。先に殺したのはそっちだ」
「知るかよ。どっちが先とか...」
「目を覚まして。あなたはマーレの兵士でしょ。きっと、その悪魔の女に惑わされてる。悪魔なんかに負けないで」



「ニコロ君。包丁を渡しなさい...さあ」



「そこまでです。ブラウスさん。刃物を置いてください」
「サシャは狩人やった」
「はい?」



「こめぇ頃から弓を教えて森ん獣を射て殺して食うてきた。それが俺らの生き方やったからや。けど同じ生き方が続けられん時代が来ることはわかっとったからサシャを森から外に行かした。んで...世界は繋がり兵士になったサシャは...よそん土地に攻め入り人を撃ち人に撃たれた」



「結局...森を出たつもりが、世界は命ん奪い合いを続ける巨大な森ん中やったんや...サシャが殺されたんは...森を彷徨うたからやと思っとる。せめて子供たちは、この森から出してやらんといかん。そうやないと、また同じところをぐるぐる回るだけやろう...」



「だから、過去の罪や憎しみを背負うのは我々大人の責任や」



「ニコロさん。ベンを放しなさい」



「よし、リサ。ゆっくり動かすんじゃ」
「はい」



「ミア。大丈夫か?」
「本当に私が憎くないの?」





「カヤ...」



「よくも、お姉ちゃんを...人殺し。友だちだと思ってたのに...」









「すっかりメインがさめちまったな...ハンジさん。そのガキの口をゆすいでやってくれ。あのワインが入っちまった...もう手遅れだと思うけど...」
「あのワインには何が入っていたの?」
「たぶん、ジークの脊髄液だ」





「ザックレーが殺された?」
「はい。今、壁内は実質的にイェーガー派によって支配されています。すべてはジークがエレンやイェレナを介して実行した一連の工作ではないかと考えられています」
「それで?」
「近く、イェーガー派の要求通りエレンをジークの元まで案内する手はずとなっております」
「ピクシスがおとなしく従うって?」
「お察しの通り、あくまでも司令は堅実な構えです...」
「エレンを他のやつに食わせるつもりなんだな。俺たちの手で」
「...そうです」



「エレンの命を何度も救った。その度に何人もの仲間が死んだ。それが人類が生き残る希望だと信じて...」



「そう。信じた結果がこのザマだ。まるでひでえ冗談だ。俺たちが見てた希望てのはいったい何だったんだ...あの死闘の結果がこの茶番だと?...ふざけるな。冗談じゃねえ。巨人に食わせるべきクソ野郎は他にいる」



「どういうことだ。ワインにジークの脊髄液が入ったって?」
「確証はない。ただ、このワインは第1回調査船から大量に積まれていた」



「短期の調査船には不要な酒と量だった。そして俺がここで料理人としての立場が安定してきた頃になって、このワインを兵団組織高官らに優先してふるまうよう言われたんだ」



「誰からだ?」
「...イェレナだ。俺の知る限りじゃ、あいつだけが、そう働きかけてた。他の義勇兵はわからないが...」



「ぼ、僕は何のことだか...初耳です」



「でもおかしいだろ。ジークの脊髄液を飲んだエルディア人は硬直するんだろ」
「ジークがそう言っただけだ。誰もその現場を見たわけじゃないから確かめようがない。だけど、たった一言で済むその嘘の効果は絶大だ。『硬直』という前兆が見られなければ脊髄液を盛られたという発想すらしない」



「いや、でも、それは、お前がそう思っただけなんだろ?」
「ああ。確証はない。でもマーレ兵なら知っている。ジークの脊髄液が今までどんな使われ方をしたのか...10年ほど前、マーレは敵国の首都を一晩で落とした。何百もの巨人が街中に湧いて出たからだ...そんなことでも企んでなきゃ、何であの怪しいワインを兵団のお偉方に飲ませなきゃいけないのか俺にはわかんねぇけどな」
 「お前...さっき俺からあのワインを取り上げたのは俺たちを守るためか?」
 「さあ...何をやってんだろな俺は。 悪魔の島を調査して世界を救うつもりが...こんなことバラしちまったら長生きなんてできないだろうに...」



 「でもブラウスさん。 あなたみたいには、 まだ俺はなれないけど、 これがせめてもの償いになれば...」



 「子供を殺すなんて...どうかしてました」



 「ニコロ君...」



 「何で私を守ったの?」
 「別に理由があったわけじゃない」
 「あんたたちの大切な仲間を殺したのは私。 看守を石でめった打ちにしたのも私。 ファルコは違うから殺すのは私だけでいいでしょう」



 「殺さないよ」
 「私を殺したくて仕方ないんでしょ」
 「殺したくないよ。 もう、 殺す殺すって君はそればっかりだね。 誰かとそっくりだ」









 「ハンジ団長」
 「フロック」
 「会えてよかった。 あなたはジークの居場所を知っているはずです。 そこまで道案内をしてもらいます」
 「いや。 我々は君たちと争うつもりはないんだが」



 「その申し出は断りました。 我々は兵団と交渉しない」
 「それは何でかな」
 「エレンの判断です。 ピクシス司令は我々に島の命運を委ねるような賭けはしない」



 「我々を道案内する道中でエレンから始祖を奪う算段を立てるのに今ごろ大忙しでしょう」



 「妄想が過ぎるよ。 それとも駐屯兵団内にいるお仲間がそう告げ口してきたのかな」



 「聞けば何でも答えてくれるほどの親切な部下に見えますか? それか、 あなたの部下ではないと示すべきでしょうか。 そうなる前にご同行を」



 「クソ。 何で俺たちがここにいることが...」
 「...グリーズ。 まさかお前が。 イェレナの差し金か?」
 「ニコロ。 お前はエルディア人に入れ込み過ぎだ。 いつかこうなる日が来る気がしてな。 彼らとの連絡手段を教えなくて正解だった」



 「フロック。 聞くんだ。 私たちは仲間同士で争い合ってる場合じゃない。 ジークの脊髄液が混入したワインが兵団内でふるまわれた。 我々はジークの計画に踊らされているんだよ」



 「だとしても、 バカな憲兵どもがデカいバカになるだけでしょう。もういいですか」



 「...憲兵団が飲まされたとは言ってないぞ。 まさか、 あんたたち、 ワインのことを知ってたの?」
 「店内ではお静かにお願いいたします」



 「先に行くぞ」
 「ああ」



 「今の声...フロックたちと来たの?」



 「ああ...お前らと話がしたくてな」

★次回 「暴悪」

  進撃の巨人   #71   導く者





☆前のお話は → 「第60話~第70話 あらすじまとめ」

★1期 → 「進撃の巨人 第 1話~第25話」

★2期 → 「進撃の巨人 第26話~第37話」

★3期 → 「進撃の巨人 第38話~第59話」





「コラ。お客さん、その子はおさわり厳禁なんですけど」



「違うんだ、ヒッチ。これは...巨人の記憶っていうのは接触がきっかけになることが多くあって...何か重大な情報が手に入るかもしれなくて...決して疚しいことを考えていたわけじゃないんだよ」
「そりゃ男の子だもん。アニの重大な情報が気になるのもわかるわ」
「ひぃ。僕が悪かったから入場禁止だけはどうか...」



「そんな事しないってよ。アニも話し相手が私だけじゃ退屈でしょ。まったく、あんたは...寝てるだけなのに何でモテるのさ」



「あの子に熱を上げるのもいいけど、世間がどうなってるのかわかってるの? これ読んで」



「兵団が権力に固執するあまりエレン・イェーガーを不当に拘束...兵団への疑念が過熱している...」
「兵団は民衆が満足いく回答なにも言ってくれないしね」
「かと言ってジークの存在や地鳴らしの件を明かすわけには...」



「エルディアを救えるのはエレンだけだ」
「食い殺された国民の無念を晴らせるのはイェーガーだけだ」



「これは...」
「兵団本部全域を民衆が取り囲んでいるんだって...」



「おい、ヒッチ。お前も手を貸せ」
「うっ。仕事が増えるよ...」



「アルミン」
「ミカサ。よかった。無事に来れたんだね」
「うん。ようやくもらった時間を無駄にできない。急ごう」



「調査兵団の新兵?...」



「何であの子たちが本部に?」



「私はあの日エレンに会いに行きました。今まで黙ってきたことをお詫びします。これでは義勇兵が拘束されるのも無理ありません」
「またえらくしおらしいのお」



「私は思っていた。あなた方は世界を知らない。このまま議論を先送りにし続けていけば手遅れになると。危機感を覚えていたのはエレンも同じでした」
「それで、エレン自らマーレの中枢に潜伏し兵団を動かすように助言なさったか」
「そんなことは言ってません。ただ兵政権にはっぱをかける必要があるとは申しました」
「それだけかのう。危険を冒してまで密会するからには具体性のある取り決めを交わすものじゃろう」
「おっしゃる通り公の場であっても我々は彼との面会を申し出ることすら叶わない立場でした」
「それでも密会に踏み切ったかいもありエレンの誘導に成功しジークが望んだとおりの結果を得たわけじゃな」



「そんな事では意味がありません。私はただエレン・イェーガーに私を知ってほしかっただけで...」



「いえ。我々にとってエレンの持つ始祖はマーレを打ち砕く望みなのです。彼は我々が望んだとおりマーレに大損害を与えました。いえ、想像以上です。彼はたったひとりで我々を長年苦しめてきたマーレに天罰を下したのです。それほどの器の持主である彼が始祖を宿しているという事実。ピクシス司令。今、我々が目にしているものが何かおわかりですか? 我々は歴史が変わる瞬間に立ち会っているのです。ふたりの兄弟によって世界は生まれ変わります。私はそれを彼らの近くで見ていたいだけなのです」
「つまりエレンと密会した真の目的は好奇心であると?」
「そうなります。他の義勇兵は私が密会したことを誰も知りません。すべては私の軽率な行為。あなた方を欺いたのは事実です。私の行動はすべてエルディアを思ってのこと...」



「わしもそう信じたい。エレンと交わした会話のすべてお聞かせ願おう。うまい嘘のつき方を知っとるか。時折、事実を混ぜてしゃべることじゃ」





「まったく。この期に及んで我々を疑うなんて正直、失望しましたよ。俺たちは仲間でしょう? この3年間、共に汗を流して培った鉄道も貿易もこの島を豊かにしたはずです。俺たちはエルディアに尽くしたのに...はぁ~」



「すまない。10か月前の鉄道開通式から、こんなことになるとは...」
「まったくですよ。皆でエルディアの未来を誓い合ったのに」
「...えっ、イェレナがエレンと密会したことを認めた?...本当ですか?」
「本当に知らなかった?」
「知りませんでしたよ。本当に」



「うん。本当に知らなかったと見える。私にはね」
「イェレナが...」
「イェレナがそんなことするわけない。とは言わないんだね。彼女ならやりかねないと思っているから?」



「そんなことは...」
「順序は正しくないが君たちを拘束しなくてはいけない理由ができた。イェレナについて知っていることはすべて話すんだ。我々の今後のためにも」



「知っての通り我々義勇兵を組織したのはイェレナです。最初は互いに疑心暗鬼になり、うまくまとまらなかった。その度に彼女は自ら手を汚すことでジークさんや組織への忠義を示してきました」



「寝食を共にした友であっても、こちらを疑ったマーレ人はすべて事故死として葬った。俺たちもそれがマーレに奪われた祖国のためだと信じることで乗り切ったんです」



「変だな。彼女が兵政権に反発してまでマーレ兵の人権を譲らなかった。そこまでマーレ人に容赦のなかったイェレナが...この島で...よし、私について来てくれ。オニャンコポン」
「えっ...」



「ハンジは相変わらず飛び回っているらしいな」
「はい。確かめないといけないことがあると」
「ああ。義勇兵ひとり連れ回すことを許可したが君たちとエレンを面会させることはできない」
「どうしてでしょうか」
「義勇兵とエレンの接触が明らかになったからだ。エレンは義勇兵と密会したことをひた隠しにして今回のマーレ強襲劇に及んだ」



「現在は密会を企てた首謀者や関係者への調査が続いている」



「エレンは今回の発覚を受けて以降、黙秘したままだ。彼が単独で過ごしたマーレでの時間についても依然として空白のまま。おそらくエレンはジークに操られていると我々は見ている」



「他ならぬ君たちだから話したが、くれぐれも内密に頼む」
「エレンが...そんな...」



「エレンは、どうなりますか?」



「それは?」
「ん? 何でもない。置き場に困った物を先ほど新兵に運ばせたんだ」



「しかし総統。エレンが黙秘するのでしたら、なおのこと僕たちふたりがお役に立つのではないでしょうか。確実にエレンから真意を聞き出せるとは申しませんが試して損はないはずです」
「事態はより慎重を期す。話は以上だ」



「なぜ...アルミンの言う通り損はないはずなのに...どうしてダメなの?」



「考えられるとしたら兵政権はすでにエレンを見限っているのかもしれない」





「失礼します」



「もしそうだとしたら、始祖の継承者選びが始まっている」



「あの部屋の会話を聞いて来る」
「待ってよ。ミカサ」
「大丈夫。バレないようにできる」
「今、兵規違反を犯しちゃまずいよ」
「状況がこうなった以上は兵団の方針をいち早く知る必要がある。何があっても私はエレンを...」











「アルミン。ケガは?」
「...大丈夫」



「あんたたち、無事なの?」
「ヒッチ。何があったの?」
「いきなり総統の部屋が...」
「総統は?」



総統...( -人-)



「心臓を捧げよ。俺たちの怒りが届いたんだ。今こそ戦う時だ...」





「心臓を捧げよ。心臓を捧げよ...」



「ザックレー総統の私物である特注のイス。これに爆弾が仕掛けられていたと見ている。総統を含む4名の兵士が犠牲となった。犯人もその目的も不明」



「彼なら一日中、私と一緒にいたし義勇兵は全員軟禁中だ」
「では他に考えられる勢力は?」



「あのイスは新兵に運ばせたと総統は申しておりました」
「どこの新兵だ」
「総統は新兵とだけ。しかし僕とミカサは総統の部屋を訪れる前に本部から立ち去る新兵を見ました。調査兵団です」



「調査兵団といえばエレンの情報を外に漏らして懲罰を受けた者どもがいると聞いたが。まさか...」



「緊急事態です。エレン・イェーガーが地下牢から脱走しました」





「...総動員して捜索するんだ...」



「いったい何が起こっているの?...」















「多いな。何人いる?」



「ここにいる者以外にも俺たちの味方は兵団内に潜んでいる。ダリス・ザックレーを爆弾で吹き飛ばした者もいる。このエルディア帝国を救えるのはお前しかいない。エレン・イェーガー」



「大丈夫だよミカサ。エレンならわかってくれる。話し合えばきっと...わかってくれる...」



「ジークの居場所を特定する」





「フロック・フォルスターを含め100名あまりの兵士が檻の中から看守ごと姿を消した。そのすべての兵がエレンの脱獄と同時に離反をしたと見られる。総統の殺害もやつらの仕業と見て間違いない」



「やつらでは困るな。反兵団破壊工作組織イェーガー派と呼称しよう。そしてイェーガー派の目的は...わかるかハンジ」
「ジークとエレンの接触を果たすことがすべてだろう。そしてエレンを中心とした兵団組織の変革。総統の殺害は彼らの強い意志を示している」



「今回、直接の引き金となったのは兵団がエレンから始祖を移そうと画策していたからだ。我々に何のしらせもなく」
「しらせていればどうなるかぐらい見当がついたさ。何よりイェーガー派の多くは調査兵団からだという。どう責任を取るつもりだハンジ団長」
「いくらでも処分は受ける。しかし今、私が兵団を退くことより無責任なことはない。それにイェーガー派はまだ、どの兵団にどれだけ潜んでいるかわからないだろ」



「そうだな。俺の目の前にいるかもしれない。今お前らが自爆しても不思議じゃない」
「ローグ。バカなことを言うな」
「どうやって証明する? それができない以上は、お前ら調査兵団を野放しにしておくわけにはいかない」



「よさぬか。客人の前であるぞ。仲間同士でいがみ合うより先に、やるべき事があるだろう。ハンジ、ジークの拘留場所を知るものは?」
「現地で監視にあたるリヴァイと30名の兵士。そして補給と連絡を受け持つ3名。あとは私だけだ」
「ならば、その3名をここへ。ナイル、女王の住処は安全か?」
「限られた者しか知りませんが、今一度確認します」
「エレンがまず狙うは、ジークとの接触。そしてヒストリア女王。まずはこのふたつの守りを万全の物とせよ」

「了解」



「ピクシス司令。総統を失った今、我々を束ね統率することができるのは、あなただけです。何か今後の展望はございますか?」



「うむ。これはもう、わしらの負けじゃ。エレンに降参しよう。兵団内部に敵を抱えといてはどうにもならんが、仮に徹底して敵をあぶり出すにしても、どれだけの血が流れることか。そんな愚行に費やす時間はどこにもない。多くの兵に兵団を見限る決断をさせた...我々の敗因はこれに尽きる」



「そんな。総統らを殺した連中に頭を下げるおつもりですか?」
「ザックレーとの付き合いは長い。革命に生き革命に敗れるなら、やつも本望じゃろう。何より、4名の死者はその弔いの代償にエルディア国の崩壊を望んではいないだろう」
「それではイェーガー兄弟に服従するおつもりですか?」
「服従ではない。イェーガー派にジークの居場所を教えることを条件に交渉を図る。我々は従来通り地鳴らしの実験を見守り、これにエルディアの存続を委ねる」



「但し、我々の親玉を殺された件を、ここに不問とする。これで数百人、数千人の同志が殺し合わずに済むのなら...安かろう」
「それでは各員、取り掛かれ」
「了解」



「指令殿」
「たいへん見苦しいものをお見せしましたのう」



「いいえ。どの国も通った道です」
「あなた方の安全も絶対とは言えませんな。どうか事態の収拾まで港でお過ごしくだされ」
「はい。私どももエルディア国の勝利を心より願っております」



「ミカサ様。何かありましたら、すぐに私どもの船までお逃げください」
「キヨミ様のお心遣い感謝いたします。しかしながら私はエルディア人ですので生まれ育ったこの島の行く末を見守りたいと思います。どうか私のことはお気になさらずに」



「何をおっしゃいますか。私どもがここに来たのは、あなた様のために...」
「地下資源がなくてもですか? この国の主導権を握るのが誰であろうと地鳴らしさえ成功すれば、というお立場ですよね」
「ええ。地鳴らしの力が本物でなければヒィズル本国からははしごを外されることでしょう。これまでの交渉は水泡と帰しアズマビト家は最後を迎えましょう」
「でしたら、なおさら頼るわけにはいきません」



「激動の時代の中でアズマビト家は変じてきました。今や金勘定にあさましい女狐の汚名がとどろく始末と成り果てました。ただ、ミカサ様の母君が残された一族の誇りまで失ったわけではございません。この国がどうなろうと、あなた様だけはお守りいたします」



「まさか総統を殺したエレンに協力するなんてな」
「まだエレンがやったと決まったわけじゃない」
「声が大きいぞミカサ。俺たちはイェーガー派じゃねえのかって疑われてんだぞ」



「実際どうなんだよミカサ。おまえは?」
「私とアルミンはあの爆発に巻き込まれるところだったと言った。これでもわからないのか」
「はあ?」
「やめるんだ...」



「ピクシス司令の言う通り兵団内での争いは自滅でしかない」
「ではすべてはエレンとジークに委ねることに問題はないとお考えですか?」



「いいや。それはよくない。この状況を踏まえた上でジークやイェレナによって仕掛けられた保険が効果を発揮してきている。そして保険は他にもまだあると考えるべきだ。私たちはこれ以上無様に翻弄される前にジークの思惑を明らかにしよう。もちろん私の早とちりならそれでいいんだけど」
「何かあてがあるんですか?」
「彼女が守ったマーレ人捕虜の労働環境が怪しい...」



「例えば、レストランとか...」



「すごい建物」
「こんなとこ初めてだ...」
「よかったなあ、お前たち」
「今日は、うんと食うときなさいよ」









「チッ。兵団のやつら騒々しいな」





★次回 「森の子ら」