
(その1からの続き)
株というものは全くワケの分からないものでした。
ワケの分からない用語とワケの分からない理論が交錯し、高校の社会科で政治経済を選択していたにも関わらず、全くワケの分からないまま最初の1ヶ月は過ぎていきました。当然、5万円あった資産は気がつくと4万6千円に減っていました。
「狼は生きろ、豚は死ねってそういうことなんだな…」
と夜中に焼酎を飲みながらしみじみ思いました。
弱者が強者からとことん奪い取られる世界。羊水まみれの産まれたてトレーダーが、足をガックガクさせながらしみじみ思いました。やめときゃ良かったな糞が、と思いました。
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当時の自分は、ダイヤモンドZAi先生の言う通りに買ってもサッパリ儲かりませんでした。
「ダイヤモンド」ときて、「ザイ」ですよ。いかにも儲かりそうじゃないですか。当然最強の武器だと思って装備したら、呪われていた感じです。
当時、景気のいい話が毎日毎日相場を駆け巡っていました。自分1人だけが負けているようで悔しかった。もう悔しくて、銭が減るのが哀しくて、調子のいい週刊誌の見出しを見るたびに陰鬱な気持ちになっていました。思いつくままに色々な手法を試し、運良く当たることもあれば時に撃沈し資産は行ったり来たり。ただ、当時の相場状況を考えれば完全に負け組なのは明らかでした。
そして株を初めてから2ヶ月、とある超低位株にヤケクソで現物全ツッパした自分がそこにいました。
確か、運良くトレンドの大波に乗り、あっという間に4倍近くまで上がったと思います。小便を漏らしそうになりながら利確ボタンを押したのを覚えています。
5万ちょいだった口座が20万になっていました。
そしてその興奮醒めやらぬまま、気がつくとカードキャッシングで限度額いっぱいの50万円を借り、全額入金していました。
もう、完全に頭がおかしくなっていました。