『毒コブラ座』
ご存じでしょうか?
とんねるずのコントの中でも名作として知られている作品です。
1991年~2000年、苗場で毎年開催されていた『とんねるずのコントinなえば』で上演されたコント。
私は残念ながら(以前ブログにも書いたけど)、’91年、’92年の2回しか行ってないのでこのコントを生で見てません。
正直、動画サイトでたまたま見つけて見たのが去年の9月ごろでした
私のとんねるずスイッチがONになるきっかけになったものの一つです。
初めて見た時、号泣でした
コントなんだけど、途中からそんなことすら忘れてしまう。
脚本もいいし、笑いのエッセンスも秀逸。
でも、何が一番素晴らしいかって、2人の演技力、これに尽きる。
セリフ回し、間、そして切ない表情。
胸が締め付けられて苦しくなります。
まだご覧になってない方には是非見てほしいです。
できればコメントはOFFにして、じっくりと。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5025185
40分程の長編ですので、時間のある時にどうぞ。
(携帯からはムリかも・・・)
以下、若干ネタバレ(注意)
少し長くなります。
コント『毒コブラ座』開演。
憲さんが演じるのは劇団員の白鳥君。
裁縫が得意で、人形長に密かに想いを寄せている。
しかし、「団員同士の恋愛は禁止だ」というのが人形長の口癖。
その度とても切なくなる白鳥君なのでした。
クマのヘンリーとウサギさん。
劇の練習をする人形長と白鳥君。
人形長の腕をマッサージしている時、フと手に触れてしまい…
白鳥 「人形長の手って、キレイなんですね…」
恥らいながらそう言う白鳥君…いえ、憲さんがホントにカワイイ
人形劇開演の前に、気持ちを込める2人。
熊のヘンリーとウサギさんのお話です。
劇終了後、主催者に「貧乏くさい」と言われ激高する人形長。
白鳥君がそんな人形長の手を引っ張って行く。
白鳥君は、以前在団していて今は赤サソリ座団員の石原に、「毒コブラ座はもう古い。赤サソリ座においで」と誘われていることを打ち明ける。
白鳥 「毒コブラ座が潰れて、人形長と離れ離れになるの、イヤなんですっ」
切ない顔でそう訴える白鳥君。
一瞬言葉に詰まる人形長。
しかし・…。
人形長 「これは…これはルールだっ。何だかんだ言われたって、オレはオレのやり方を変えるつもりはないっ」
そう言い切って去っていく人形長を何も言えずに見送る白鳥君。
赤サソリ座の石原に「僕は人生のパートナーとして君を考えている」と打ち明けられるが、
白鳥 「もう一日だけ待って下さい」
どうしても人形長の気持ちを確認したいと、石原を説得する。
この時のこの憲さんの手。
袖を指先まで伸ばして両手を合わせるなんて・・…
コレを自然にやってるんだとしたら、この人はホントにスゴイ人だと思う。
もうカワイすぎます…
そして。
熊のヘンリーとウサギさんのお話の続きを書いてきたという白鳥君。
台本の読み合わせをお願いする。
劇団を古い森と新しい森に例えて進められるやりとり。
白鳥 「新しい森に来ないかって誘われてます」
戸惑いがちに口を閉ざす人形長。
しばらく考えた後、台本を見ずに……
人形長 「新しい森に行った方がウサギさんは幸せになるでしょう・・・」
さらに、毒コブラ座を退団するようにと告げられる。
石原にプロポーズされていることも打ち明けるが、人形長は「それはよかった・・・・」とその場を去っていく。
自分の気持ちが伝わらない歯痒さにうつむく白鳥君。
このシーン、本当に切ないです。
貴さんと憲さんのお互い素直になれない心情が、そのセリフや表情からリアルに心に響いてきます。
初めて見た時は胸が張り裂けそうで苦しかった…
白鳥君退団の日。
荷物を整理している白鳥君にウサギさんを渡し、ヘンリーの声で語りかける人形長。
人形長 「新しい森に行って、ウサギさんは幸せになれるのですか?」
白鳥 「他の森に行って結婚して幸せになろうと思っています・・・」
このセリフの後、ウサギがうなだれて耳が前に倒れるんだけど、それがすごく切なかった。
白鳥君の心の奥を表現してるみたいで・・・。
少しの沈黙の後…。
人形長 「そのウサギ・・・餞別に」
白鳥 「たくさんの、ウサギさんの思い出を・・・ありがとうございます」
泣きそうな顔でうつむく白鳥君。
お互い自分の気持ちを何とか口にしようとするものの、素直に伝えられない。
結局「好き」という一言が言えないまま時は流れ・・・・・
歳を重ねた人形長と白鳥君の再会の時。
人形長 「ウサギさんとクマさんの話、完成したんですよ」
熊のヘンリーとウサギさんのハッピーエンドを演じる2人。
人形長 「40年間の時を埋める、魔法があります」
そう言って少しずつウサギさんに近付いていくヘンリー。
戸惑いながらもヘンリーに歩み寄るウサギさん。
キス。
40年以上の時を経て、ようやく人形長と白鳥君の想いは成就したのでした…。
ウサギさんとヘンリーがキスした瞬間は何とも言えない気持ちになりました。
お互いを想いながらもたった一言が伝えられなかったために、40年という遠回りをしてようやく辿り着いた年老いた2人。
それぞれが大切に持ち続けていた人形でキスすることで、ずっと抱き続けた想いをお互いに伝えたのでしょう。
台本の読み合わせや別れの日のシーンは、本当にコントだということを忘れてしまうほど、2人の距離感や切ない演技に引き込まれてしまいます。
このコントを見てたくさんの人が涙している。
またとんねるずにしかできないコントをしてほしいです。
笑って泣ける。
そんなコントを。