「不動…お前が好きだ」

好きだ。なんて
いきなりそんなことを言われても困る。

だって自分はどう思っているかなんてわからないのだ

認めてもらえないと悔しいし、頼りにされれば嬉しい。
でも…それだけのような気がする。

「…不動?」

ああ、もう
そんな心配そうな顔すんじゃねえよ。

「わかんねえ。
鬼道くんのこと好きなのか、嫌いなのか」

「そう、か」
変なこと言ってすまなかったな。

辛そうに笑う鬼道を見て、嘘でも好きって言えばよかったかな、なんて馬鹿なことを考えた。
でもやっぱり

自分は愛され方をしらない
愛し方をしらない

愛された記憶も
愛した記憶も今は辛いだけのもので。
大切なものなんて生きていくのに足手まといになるだけで


「悪い」

そう言うのが精一杯だった。




―――――――――
補足。
不動くんはきっと過去の記憶から、誰かの特別になるのを無意識に嫌がるだろうなあ、と。
補足しないと分からないお話なんて書くなよ自分…

「離せよ、俺に触るな」

ぱしっと晴矢がヒロトの手を振り払った。

「なんでそうすぐ拗ねるかな」

「拗ねてねえよ、真剣にお前がムカつくだけだ」

「やだな、俺が何かした?」
「しいて言うなら存在が不愉快」

「ああ、そう。ふーんそっか」

そうかそうかと呟くヒロトは嬉しそうに口角を上げた。
ああ、嫌な予感がする。
こういうのは逃げるが勝ち、と晴矢はくるりとヒロトに背中を向けた。

「まって晴矢」

腕を捕まれ、後ろに引っ張られる。
バランスを崩し、転ぶ!と思ったがヒロトの体にあたり転倒は免れた。

「どこに行こうとしていたの?」

うつかかる状態になっていた体に腕を回される。

「てめぇには関係ないだろ、腕はなせよ」

「いやだね。離したら晴矢は逃げるだろう?」

ああ、ここで逃げないと嘘をつけばいいのに。
素直なのは君の長所でもあるけど短所でもあるよなあ。
なんて思っている間も晴矢は腕の中で抜け出そうともがいている。

なにか悪戯でもしてやろうか、と考えてすぐ浮かぶのがあれな事なんてこれなら変態と言われても仕方ない。

「晴矢、腕離すから逃げないで一瞬でいいからこっちむいてくれない?」

「はあ?なんなのお前まじ訳わかんねえ」

「いいから、ね。お願い」

「わーったよ、一瞬だかんな」

腕を離すと晴矢はムスっとした顔で振り返った。

「馬鹿だなあ」

首筋に顔を近付けてべろりと舐め上げる
晴矢の体がびくっと跳ね、後ろに下がった

「な、なに…して」

舐められた首筋を両手で押さえ顔を真っ赤にして口をぱくぱくと動かした

「金魚みたいだね、ああ晴矢は髪も赤いしうん金魚って感じだ」

「なんで舐め…」

「さあ、なんででしょう」

答えを当ててみなよ。
固まっている晴矢の耳元で囁くのは簡単で、その状態からキスに移るのはもっと簡単だった。

ちゅっとわざと軽い音をたてながら唇を離す。

「な、お前…ふざけ」

「てないよ。これは冗談とかふざけてるとかそういう類の行動じゃない」

「じゃ…あ」

「そう言ったら晴矢は満足?この先を俺に許すの?」

なんて馬鹿なんだろうね。

そこで晴矢は顔色を変えた
琥珀色の瞳は歪み、すごく綺麗だ。

「そんな傷ついたみたいな顔しないでよ。それじゃもっといじめたくなる」

「っざけんな!くたばれ!!」

後ろに一歩下がり、ヒロトと距離をとる。

「逃げるの?」

「部屋に戻るだけだ」

「それが逃げでしょ」

勝手に言ってろ。

と晴矢がもう一度背中を向けた。
行かせる訳がないのに、馬鹿な晴矢。

今度は力いっぱい背中を押すと支えがないせいであっけなく前に倒れた。

「痛い?晴矢。それとも俺の前で転ぶの恥ずかしい?」

まあ、転ばせたのは俺だけど。
振り向いた晴矢の顔は怒りと困惑のそれだった。



ごめんね、晴矢。
悪いとは思うけど、やっぱり俺は君が好きみたいだ。
だけどそれを伝えたくはない。
気付いて欲しくない。

だから、もっと俺を嫌いでいて。



晴矢の股間を力を入れずに踏みつけると、琥珀色の瞳が大きく開き揺れた。


ああ、本当に
君は俺を嫌いでいて。



「綱海さん!あのっ今夜俺の部屋に来てもらってもいいですか?!」

「おぅ、いいぜ!」


爽やかに笑った綱海を見て「ああ、やっぱり好きだなあ」なんて、自分で思って赤面して、ああ恥ずかしい。



ガチャ。
と扉の音がしてピンクのふわふわした髪の毛が顔を出した。

「あ、悪い立向居ノックするの忘れた」

「いいですよ、俺と綱海さんの仲じゃないですか。ほら、こんなのは海の広さに比べたらちっぽけな事ですし」

「うはは、俺の台詞とられちまったな。まあ立向居にならいいか」

立向居になら
それは俺が特別だからですか?
と聞けたらいいのに。
それを言えない俺はやっぱり意気地なしで、意気地なしなりに勇気をだして気持ちを伝えたいものだけど

人生そう上手くはいかないですよねえ。
まあ、頑張りますけど!


「んで?何か用があったんだろ?」

「あっはい、えーっとですね…」

「ん?どした」

言え!言うんだ勇気!
勇気がないくせに名前が勇気なんてとんだお笑い草じゃないか!
あ、駄洒落じゃないですよ?!

「えーとですね、あの…つ、綱海さんに聞いて欲しい事があって…」

「なんだよー焦らすなよー」
「あの…っあの…」

好きです。
とそれだけだ。それだけなのに、
言葉は
なんて、重い

「好き…です。
綱海さんのことが、先輩としてじゃなく、友達としてじゃなく、チームメイトとしてじゃなく。
大好き、です」

綱海さんを見ると、返事は聞くまでもなかった。
まるで他人の傷を見るような、そんな顔をしていた。

ほんとうに
なんて
上手くいかない

「あの、せめて返事を聞かせてください」

そうすればきっぱりと諦められる
いや、諦める

「ごめん、立向居。
俺…音村と付き合ってる。沖縄にいたときから。
嬉しくなかった訳じゃないんだ、でも…俺は音村以外考えられない」

ごめん

そう言った。
うつむいて、いつもの笑顔も見せず。
ああ、なんだ。俺の恋は出会った時には終わりが決まっていたのか。

「俺こそすみませんでした。お、音村さんがいたのにこんなこと言って、本当にごめんなさい」

泣くな
泣くな自分

「立…向居」

「ごめんなさい綱海さん、1人にしてください。明日からはちゃんとチームメイトに戻りますから、お願いします」

「…っ。分かった」

ありがとうございます綱海さん。
俺から呼んで
勝手に告白して
その上こんな理不尽なわがまま聞いてくれて
本当にありがとうございます


「…うぅ、うあああぁぁぁああ」


綱海さんが出ていってから堪えられず涙が溢れた

いっそ終わった恋と一緒に自分の命も涙と一緒に流れてしまえ。と馬鹿なことを考えた。

その日、涙は止まることなく流れ続けた。








―――――――――
なんか叶わない恋がいいなあ、と思ったのさ。
今回は立向居くんの心境とか心情が伝わったらな!とb(・∇・●)

「いやいやいや、それは駄目だろう。というか俺が絶対に嫌だ、無理だ本当に勘弁してくれ」

「いーだろ別に、誰も気にしねえよ」

「俺が気にするんだ。なんというか俺のなかでなにかが崩壊する気がする」

「ぐだぐだ言うなよなあ。たかがスウェットで外出るくらい」

「たかがって、パジャマだろう?!これ!」


ことの始まりは昨日の夜。
不動の家に泊りにきた鬼道は、急遽泊まったので着る服がなく
買いにいけばいいと提案する不動と言い争いになったのだった。

「じゃあ俺の服でも着たらいいんじゃないですかあ?」

「あいにくお前より身長があるんでな、着たらつんつるてんなんだ。つんつるてん」

「うわあ、うっぜ。高校入って伸びたからって威張んな。さっきから親切な明王くんは案をいっぱい出してやってるってゆうのにさあ」

「しょうがないだろう、誰しも無理なことはある」

「でもさあ、
俺の服を着る
そのまま外出て服を買う
くらいしかねぇだろ
昨日の服は着れる状態じゃねーし」

「クズが!!これはあれだ、こうなったら源田に電話だ」

「はあ?なんで」

「不動と俺とどっちが正しいか聞く」

「うっわしょーもな」



電話をかけるとあまり待たずに源田が出た

『どうした?』

「質問があってだな、あーでこーでそういう訳なんだがどう思う?」

「はしょりすぎだろ(作者が)」

『理解した』

「もーやだ、こいつらほんと馬鹿」

「で、どう思う?」

『鬼道が家に電話して服を取ってきてもらったらいいんじゃないか?』




「「…あぁ」」











――――――――
スウェットで外とか絶対嫌だよな!これ私だけ?!
あとユニクロの試着室めっちゃ嫌い!!!これ私だけ?!
今度は試着室の話でも書こうかな

「鬼道ちゃん別れよーか」

いつもと何一つ変わらない日常の中で
いつもと何一つ変わらない笑顔を浮かべながら
不動がこぼしたのは
変わらないはずの日常を壊す言葉だった

「不動?なにをいきなり、その手の冗談は笑えないぞ」

「笑えない冗談を俺は言わねえよ、これはマジな提案」

「たとえそれが冗談じゃないとして、拒否しない理由が俺にはないな」

「じゃあ俺はそれを拒否するしかねーな」

不動の笑顔は変わらないが、口調や雰囲気から本当に冗談でないことが分かる

鬼道は頭を掻き、軽いため息をついた

「理由は」

「飽きた」

出会ってから7年
付き合い初めてから6年

それだけ長い時間共に過ごした。

「いまさらその理由で納得すると思うか?却下だ。」

「理由なんて色々だよ。とりあえず俺は鬼道くんと別れたい」

そこで鬼道が腕を組んだ。
怒っている。
一目見ただけでわかる。

「なあ、鬼道ちゃん。天才ゲームメーカー、司令塔、その他にも呼び方はあるけど、そんだけ頭の良い鬼道ちゃんは言わないと分かんねぇの?」

「俺は鬼道くん以外のやつとも遊びたい」

「…その言い方だと俺とも本気で付き合っていなかったと、そういう言い方だが」

「俺が本気で付き合ってるように見えた?」

「まあ、遊びのようには見えなかったな」

「へーまあ、いいや。
それと今日にでも俺この家でるから。鬼道くんが拒否っても、意味ねーよ」

そこで不動は無邪気に本当に楽しそうに笑った
その笑顔から本音は読み取れない

終わりはこんなものなのか

「分かった。ただしお前のものは全て持っていってくれ、いない恋人の物を1人寂しく捨てるなんて俺はごめんだからな」

「へえ、引き止めねぇの?えらく物分かりがいいじゃん」

「お前は引き止めても出ていくだろう?なら、この方が惨めじゃない。
それとも引き止めて欲しかったか?」

「まーさか。んじゃすぐにでも出てくわ」

そう言って不動は荷物をまとめ始めた。
生活に溶け込んでいた不動の存在が、片付けるごとに消えていく。

同棲しはじめたのは大学に入ってすぐ、1人で住む予定だった鬼道の家に不動が転がりこんできた。
それから2年、この場所で思い出を積み重ねてきた。

まとめられた荷物は意外と少なく、もしかしたら出ていくことを考えていたのかもしれないと、嫌なことを考えてしまった。


「んじゃ鬼道ちゃん。どーもお世話になりました」

そう言って不動は出ていった。

住む家は
お金は
大学は

聞きたいことは山ほどあったが
鬼道ちゃんには関係ない
その言葉を言われるのが嫌で、言わなかった。





その日の夜
1人では広すぎるベッドに座っていると
不動から一件メールが届いた

『いきなり別れるなんて言って悪いな。
本当の理由は、お前のこれからに干渉するのが怖くなったからだ、俺じゃ足を引っ張るのは目に見えてるから。
逃げた俺はやっぱり弱いんだろーな。
あと、次付き合う人はもっといいやつにしろな、俺なんかにゃ鬼道ちゃんはもったいねーや。

じゃあ元気でな。』



鬼道は迷うことなく返信をした


『自分を低く言うのはやめろ、それはお前を好きでいる俺に失礼だ。
それと、俺の隣は今までもこれからもたった1人のものだ。他の人を選ぶつもりはない

愛してる』



メールを開いた不動は、返信キーに手をのばしかけ止めた。

パチンと携帯を閉じ、呟いた





俺も愛してるに決まってんだろ。









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タイトルは無意味!
この先は想像にお任せしますってことで、なんか出尽くされたネタって感じですねサーセン(。・ω・。)