彼ら「祇園の神」は祓いの神でもあった。

神のペアは幾通りもあり、重ねられる。

それぞれが同神ゆえであった。

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筑紫には、高良神と神功皇后、大己貴命と宗像神、甕依姫、五十猛命の「異類退治」の話がある。
それぞれが同神であり、同じ話であった。

 

< 筑紫の鬼退治 >

世が未開で混沌として草木が話していた時代のこと。

北海の浜に「夷の類」という狂暴な鬼が攻めてきて、人民を殺略した。

 

その時、大己貴神と宗像神は稜威(いつ・畏れを感じるほどの力)を振るって、楯を立て、鼓を鳴らして、夷賊を防御して、遂には退治した。

 

これは福岡県福津の渡半島にある楯崎神社の伝承。

大己貴神と宗像姫が「夷の類」と戦い、その後の時代に神功皇后が三韓征伐の戦勝を祈っている。

(「祓いの神 7 楯崎神社*大己貴神は饒速日命」)

 

すぐ側の波折神社では、神功皇后が凱旋した時、住吉神と志賀神と瀬織津姫が鼓島で邂逅していた。

 

*住吉神と志賀神と神功皇后は祇園祭の神。

*住吉神と志賀神は同神。

*住吉神は高良神であり、饒速日命、天照大神。

*大己貴神は大物主神(大国主)であり饒速日命。

*宗像神は市杵島姫命、弁財天、御炊屋姫、豊受大神、瀬織津姫。

*住吉神と瀬織津姫は祓いの神。

*住吉神(高良神)と神功皇后は夫婦であり、イルヰ(異類)退治をしていた。

 

条件を全部合わせると、同神であることが分かる。

祇園祭の神である住吉神と神功皇后が、大己貴神と宗像神、饒速日命と御炊屋姫。

(「祓いの神 9 波折神社*瀬織津姫と住吉神」

 

筑紫にはこのような彼らの「鬼退治」の伝承が数多ある。

鬼、イルヰ、異類、羽白熊鷲。

様々な呼ばれ方をしているが、それは人ではない。

火で防ぐ、神が助力するなど祭りが物語る。

 

苛烈を極める戦いの状況が今でも語り継がれていた。

それを忘れないように。

祭りや伝承が継がれていくのはそのような想いがあるのだ。

彼らが「祓いの神」とされるのは、そんな異類を退治をひたすらしていた故。

 

 

祇園さんは須佐之男命でもあった。


 

< 神話の須佐之男命 >

 

神話では、祇園の神である須佐之男命は八岐大蛇を退治している。

出雲神話と言われるが、出雲大社の大国主神も饒速日命。

 

大国主神=大物主神=大神神社の神=大己貴神=饒速日命

 

では、須佐之男命が退治したという「八岐大蛇」は何?

 

「出雲国風土記」にはこの伝承は存在しない。

 

彼が饒速日命ならば、後の時代に出雲に勧請された時に、移されたと思われる。

出雲には、筑紫にあるような苛烈な闘いの記録はない。

 

祇園の神が住吉神と神功皇后(饒速日命と御炊屋姫)であるから、須佐之男命の八岐大蛇退治は彼らの異類退治を示唆している。

そのほとんどが筑紫に於いて。

筑紫は異類との攻防戦の地であった。

 

 

各地の伝承は、神の勧請と共に移され、その土地にあったものとして語られたのだ。

 

神話の神は全て彼らであり、その物語も彼らがおられた筑紫での出来事になる。

また、神話は幾重にも意味を持つ。

 

 

★たたら製鉄にまつわる話。

八岐大蛇の話には、斐伊川が登場する。

福岡にも樋井川(ひいがわ)がある。

(その名の由来は後のもの)

 

樋井川が流れる脊振山系は花崗岩の地質であり、磁鉄鉱は花崗岩から採取される。

博多湾にはこの磁鉄鉱が海辺にあり、手軽に採取されるという。

ゆえに製鉄が盛んだったらしい。

 

八岐大蛇の話は、そうしたたたら製鉄にまつわる物ではないだろうか。

 

★水利工事。

氾濫した川の工事をしたというのも、八岐大蛇退治の神話の元になったのかもしれない。

 

彼らは、奈良の亀の瀬の大和川開削をしていると推測される。

 

八大龍王は彼自身であり、「春日龍神」や「平家物語の剣の巻」の龍神も彼なのだ。

 

八岐大蛇は、彼の息子だと平家物語にはある。

それは彼自身だと示唆したものになるだろう。

 

 

 

 

 

日本の神は、ほとんどが彼ら二柱に集約される。

では、神話の神も(最初の方の)ほとんどは彼らであった。

 

 

彼らの「異類退治」も、神話の中で様々な形で繰り返し語られていた。

 

それが祓いの神、住吉、瀬織津姫。

高良神と神功皇后。

饒速日と御炊屋姫である。

 

 

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古代や神のこと、少しずつつぶやきます。

小分けなので分かりやすいかもです爆  笑

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