路地は曲がりくねった一本道だ。
彼女の背中はまだ見えない。
この暗さにも目が慣れてきた。
だが、慎重に進む。
「キャア!!」
悲鳴が聞こえた。
近い。
嫌な憶測が浮かんだ。
今、挟み撃ちをされたら逃げ場が無いのだ。
ヒュッと身体が冷たくなる。
とにかく彼女を…
走らずに、大股で早足で駆けつけた。
彼女だ。
敵は…いない。
「どうした?」
悲鳴の原因を訪ねた。
「あれが道をふさいでいるの。」
指の先に目を向ける。
「何だ!?
犬か。デカイな。」
犬だ。レトリバーか?
何か漁って食っている。
首輪にリードが見える。
散歩中に飼い主がさらわれたようだ。
犬が首を上げてこっちを見た。
暗闇のレトリバー
ライオンくらいの迫力がある。
「どうにかしてよ」
「どうにかって言われても、」
ヨダレが光ってるよ。怖っ
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