兵士をギリギリまで引き付ける。
兵士は何か叫んで、首輪を一本手にした。
「3。2ぃ。今だ!」
空中に小麦粉の大きな紙の袋を持ち上げ、サッと袋だけを引いた。
慣性の法則で一瞬、小麦粉は空中に留まり、兵士の頭上に舞い落ちた。
紙の袋を投げ捨て、一斗缶の廃油を蹴り倒してから逃げた。
粉まみれの二人は、次に地面の油に足を取られ、倒れた。
舞い上がった小麦粉に兵士のライトが当たり、しばらくコミカルな動きのシルエットが映された。
これで距離が稼げるはず。
キャンプセットだけ彼女が持って行ってくれたらしい。
ラジカセを持って逃げる。
しかし、なぜ兵士は真っ直ぐ追って来たのだろう?
もしかしたら…
早く彼女に追い付こう。