おじ少 108 処分 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

岡部さんは行ってしまった。

マツさんが、亡くなったとは。

生前に書いたというマツさんの手紙は二通目だ。

親展
小野寺殿

少し変色の始まった封筒を持ち、地下室に戻った。

無音の地下室で手紙を見る。


…………………………………
小野寺殿と宛名を書いたが、
小野田君、君が手紙を読んでいることを祈る。

まず、君にお礼を言いたい。

ホワイトボードに書いた通り、目的を達成できた。
君の不思議な体験を元に研究を進め、空気の実験を成功させ、ついに別れを言えた。

このことを大変感謝している。
ありがとう。

「タイムワープのことは伏せて書いてある。
ここの住所がバレた以上、地下室が見つかるとまずいからだろう。
奥さんに会えて良かった。」


本当なら、私が君と会って礼を言いたいのだが、叶わない。

ちょっと困ったことに、元の時代に帰るボンベから空気が漏れてしまったのだ。

ミイラ取りの話をしたが、死を見送りにきて、私もここで幕を閉じることになった。

どうやら実験で肺に負担をかけたようで、肺をわずらった。

各実験の滞在は2日を限度にしたが、これは肺を慣らさないと差異ができず、戻れないからであるが、三回の実験の往復と今回で計七回も肺をいじめたのが原因だ。

こんなかたちで君にお別れを告げることになってすまない。

最後に頼まれて欲しい。

まず、ホワイトボードをすべて消してほしい。

床板の下に各年代のボンベを隠してある。
それもすべて放出し破棄してほしい。
この小屋の存在を岡部君に伝えて処分をお願いしたい。

この実験で分かった。

人生は流れることに意味があったのだ。

戻れないこと。
進むしかないこと。


私は罰があたったようだ。


では小野田君

楽しい人生だった。

ありがとう。

さようなら。


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