- 文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)/草思社

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今回は読破するまで1ヶ月以上かかりました。 ジャレッド・ダイアモンドが銃・病原菌・鉄の次の書籍として出版した「文明の崩壊」という書籍です。
この本のテーマは「ある文明(あるいは民族)が生き残るか、滅びるかを分かつものは何なのか」を明らかにすることです。
歴史上数多くの文明が生まれ、そして滅びてきました。滅びた文明として有名なのはマヤ文明やイースター島の文明ですが、逆に崩壊の危機に瀕しながらも生き延びたアイスランドなどの例もあります。
これらの結果の違いはどんな要因によって生まれているのかを著者は豊富な事例を通して考察していきます。
事例を考察する中で、著者は文明の崩壊を招く要因として、主に5つの要因があると主張します。
①環境被害
②気候変動
③近隣の敵対集団
④友好的な取引相手
⑤環境問題への社会の対応
これらの要因が複雑に絡み合い、崩壊と存続の結果に影響します。
ただし、崩壊への影響度の大きさは事例によって違い、また必ずしもすべての要因が崩壊した事例に悪影響を与えているわけではありません。
この5つの要因が、どのように崩壊と生存の違いに影響を与えるかを事例を通して明らかにしていくことでこの本の主題である「ある文明(あるいは民族)が生き残るか、滅びるかを分かつものは何なのか」を考察します。
しかし、科学とは違い実験室で5つの要因以外を排除した環境で実験を行うことはできません。こうした状況では実際に歴史上起きた「自然実験」を元に考察を行うしかありません。
そこで、ヴァイキングやポリネシア人など「同一の社会を祖にしており、かつそれぞれが別の土地に入植して別々の運命を辿った事例を選択する」という手法をとります。
例えば、ヴァイキングはノルウェーなどの北欧地域にいた人々がヨーロッパ大陸やイギリス諸島、アイスランドやグリーランドに入植した例だが、現地に同化したものもいれば、グリーランドのようにしばらく存続したのち滅びてしまった例もあります。
同じ社会(同じ遺伝子、文明を持った人々)を祖にしながらこのような違いが生じるということは、明らかに入植者を取り巻く環境(それぞれの環境の5つの要因)と生存には相関関係があったと認められます。
よって、ヴァイキングやポリネシアの事例を5つの要因という枠組みで考察していくことで、文明の存続と崩壊の違いを明らかにすることにつながることになります。
この本の読んで、環境問題や戦争によって驚くほど多くの文明が崩壊していることに驚きました。環境保護活動や、平和推進活動に胡散臭さを感じて嫌いだったんですが、こうした活動を見直す必要があるかなと感じました。
(平和と叫んでれば平和になるというような活動は相変わらず気持ち悪いと思いますが)
また、入植者たちの環境に対応する方法によって運命が大きく変わっている事例が多かったことから、自分達の選択次第で文明の将来が変えられるということに少し勇気づけました。
ただ、5つの要因がどのような経緯で選択されたのか、他の要因の影響は無視できるほど小さいものなのかという議論がなされていなかったので、そこをもう少し詳しく記載して欲しかったなとは思います。
