文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)/草思社
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前回読んだ上巻の下巻です。
上巻では民族、大陸間で生まれた優劣の要因は、人種の優劣ではなく環境的(生まれた場所)要因によって生じたという理論を主張してました。

環境的要因では主に
・その土地に自生している動植物が家畜化したり、栽培化するのに適しているか
・ある技術や知識が伝わり易く、それによって競合する社会がお互いを刺激し合うような関係性を持てるか(具体的には大陸が南北、東西どちらに長いか、孤立していないか)

を重視し、それらに恵まれていたユーラシア大陸は
・銃
・病原菌
・鉄
を獲得することができた。そして、獲得できなかった社会より優位な立場に立つことができた、という話でした。

下巻ではまず
差が生まれた根本的要因(自生動植物、伝搬のしやすさ)と直接的要因(銃、病原菌、鉄)の間にある要因について述べられている。

12~14章では、根本的な要因によって支えられてどのようにして
・文字
・発明
・集権社会
が生まれ、発展したかが述べられている。ここでも、それらが生まれたのがあくまで環境的要因からであり、決して人種の優劣ではないことが強調されている(ちょっとしつこい)

15~19章では、言語学、考古学、生物学などを頼りに、環境的要因がそれぞれの地域でどのような結果をもたらしたかについて語り、

最後にエピローグで今後著者が今後の歴史学で取り組んでいきたい課題を列挙しています。

僕としては、上下巻通じて
・なぜ?をひたすら繰り返す姿勢
・言語学、考古学、生物学などを活用し、事実を多面的に検証する姿勢
に感動していました。

歴史を学ぶ=歴史小説読む、個人の主観的な歴史観を聞く

だと思っていたので、これが学問として歴史を学ぶことなんだなぁと知れて良かった。

ただ、著者本人も言っていることですけど、ユーラシア大陸内、あるいは南北大陸内の同じような条件の競合する社会間でなぜ差異が生まれるのかという話はほとんどなかったのは残念です。

もちろん、1万3000年を2冊で語ると言っているのでそりゃ無理なんでしょうけど。

それに、大陸間の差異を長期的視点で説明する時には環境要因がほとんどを決定するという理論は納得できました。けど、短期、中期的には環境要因では説明できないことはたくさんあるでしょう(本書の例ならヒトラーの事故で生き残ったことによって歴史が大きく影響を受けたことなど)

これらを解明することができるのかわかりませんが、ぜひそうしたものに真剣に取り組んだ考察を聞きたいなと思います。もしかすると、経営学とかはそれに近い問題意識をもって研究されているのかもしれないと思ったりします。