少子化ジャーナリストで作家の白川桃子さんの本は以前にも紹介させて頂きましたが、↓


今回は2017年に出版された、こちらの本をレビューさせていただきます。おねがい

 


この本では主に、これから社会に出て働き、結婚して子供を産んだ後に共働きを目指す若者への指南書となっています。

1990年代、女性の生涯未婚率は5%以下でした。実に95%の女性が結婚をする時代でした。しかしながら現代は「黙っていても誰かが結婚相手をお膳立てをしてくれる」時代ではなくなりました。仕事も結婚も妊娠も、受け身では手に入らない時代となっているのです。

白河氏が本書で「男女ともに仕事だけは常に人生の傍らにおいてほしい」と論じていますが、私も結婚をして子供を育ててみて、「普通の女性が思い描く"ちょっと良い暮らし"」をするためには、ものすごいお金が必要となるのだなあと感じています。男性の1馬力だけでは到底かなわないのです。

現代の女子大生 は「子供を産んでも産休育休を使って仕事を続けたい」と考える学生が多いそうです。
(画像本書より)

子供を産んだ後に一旦は退職するのか、働き続けたいのかという率も、トップ私大の女性の方が72%も働き続けたいと考えています。女性も学歴が上がるほどキャリアを大事にする傾向にあると言えましょう。
(画像本書より)

しかしながら日本や韓国において、高学歴な教育を受けてきた女性たちが、出産後も子育てとキャリアを両立することは大変に難しいという現実があります。日本以上に教育費にお金をかけ、高学歴女性を輩出している韓国での出生率(女性1人が産む子供の平均人数) は、2023年には脅威の0.72人となりました。(ちなみに日本は1.2人です。人口を維持するためには通常2.07人が必要とされています)

 韓国の女性の高学歴化と少子化の関係↓。


 韓国において高学歴なキャリア女性が子供を産むと、キャリアを諦めざるを得ず、男性の力だけでは子供への高額な習い事や教育費を捻出できないことから、女性はキャリアを取るか子供を取るかを選ばなければならない現実があるそうです。→ 韓国では子供よりも自身のキャリアを取る女性が多いということ。


これが私が常々疑問に感じている「女性に高学歴は本当に必要なのか」という問題にいきつく所以です。

日本において、学歴偏差値競争の渦のなかで果敢に努力して勝ち抜き、華々しいキャリアを手にした女性たちのご褒美が「独身」「子なしディンクスキャリア」または「子育ては祖母にお任せコース」であったことに疑問を感じますし、子育てを選んで仕事を辞めた瞬間に、今までのキャリアが帳消しになってしまうことにも疑問を感じます。(妊娠を機に退職し、その後復帰をして年収300万円以上を回復できる人は10人に1人)

かといって女性が「仕事と家事と子育て」の三点両立を、ひとりでこなしていくには大変な精神力と体力を要します。(大概は何かを諦めなければならない)

これを可能にしていくには相手の男性が「一緒に家事と子育てをしていこう」という覚悟を示してくれる必要がありますが、本書の中で私が面白いなあと思ったのが、

本書p163引用

「付き合う彼氏は保守的な考えを持つ人ばかり。どうしたらイクメンになりそうな男性に出会えるんですか」

という質問です。それに対し著者の白河氏はこう回答しています。

本書p164引用

彼氏の言動は付き合っているあなた自身の鏡だと思った方が良さそうです。つまりあなたが「私は将来当たり前に働く」と心の底から思っているなら、それは日常の言動から伝わります。そしてそういう女性が好きで、サポートしたいと思う男性しか寄ってこなくなるはずですよ。


白河氏曰く「相手に依存しているとイクメンは寄ってこない。自立した女性にはそれにぴったりの男性が現れる」とのこと。


↓ こちらは5才以下の子供がいる家庭における、先進国の男性の1日あたりの家事育児時間(本書より)です。カナダの男性は1日4時間も家事や育児をしていることになりますね。


私の夫もカナダ人に負けない位のイクメンでありますが、 それは毎週土日、仕事のため私が家にいなかったからでもあります。よって休日の朝から晩までワンオペ育児、買い出し、夕飯作り、食べた後の食器洗いまでこなすイクメンに強制的にならざるを得なかったと言えます。


よってイクメンとは探すものではなく、環境が作り上げていくものなのだと思います。


韓国における2023年の出生数は23万人であり、この10年で出生数は約半分に落ちたそうです。(2023年の日本の 出生数は76万人)


日本が韓国のように「女性の高学歴化→キャリア進出→出生率低下→ 国家消滅の危機」とならないためには、キャリアと子育てが本当に両立可能となる必要がありますが、日本の長時間労働なども含めてまだまだ改善すべき課題は山積みであります。