こちらの本↓を読了いたしました。照れ


 城繁幸さんの本はこれで2冊目です。(1冊目レビュー)


こちらの本は2010年に書かれていますが、この中に下記のフレーズがありました。

P74引用

すでに年功序列のレールは崩壊し始めているが、 この寄らば大樹思考は変わっていないようだ。 前述した通り日本生産性本部の2009年度新入社員意識調査によると、終身雇用を希望する新人の割合は過去最高を記録している(55.2%)

それから14年たち、今の若者の終身雇用の希望割合はどのように変化したのかを調べてみました。


参照 日本労働組合が2022年に、高校生以上の学生1000人にインターネット調査をし「卒業後に就職した会社で定年まで勤め続けたいか」とアンケートしたところ、 実に77.1%が「1社に定年まで勤め続けたい」と回答しました。 その理由については「安定した仕事に就きたい」「長く一つのことに取り組みたい」「転職や独立は大変そう」「変化が苦手」などがあがり、新入社員の3人に1人が3年以内に辞めていくなかで、本当は「1つの会社で定年まで働きたい」という若者の本音が垣間みえました。


時代が移りかわり、若者は転職思考がスタンダードかと思いきや、8割の学生は終身雇用で働き続けたいと願っている昨今。


しかしながら、東大京大の就職活動生の人気トップ10は以下のようになっています。(2025卒業年度)↓ トップ10のうちの5社がコンサル業で、主に年俸制企業です。偏差値上位の就職先を選べる学生たちには「終身雇用への信頼が揺らぐ中、 若いうちから スキルを身につけ幅広いキャリアパスを描けるコンサル業界」が人気です。

これをまとめると、

P100引用

「少なくとも自分は平均以上に優秀であるはずだ」と自負する者にとっては日本企業は割に合わない人生の投資先だ。


もちろん「自分は常に平均以下だ」と割り切っている人間にとっては、終身雇用は今も変わらず魅力的な制度である。(そういう人材だけで商売が成り立つかどうかは別問題だが)


ちなみに「子育てのために育児勤務にならざるを得なかった」私は、企業にとっては残業や出張・転勤の出来ない「平均以下の人材」であり、実に15年もの間、育児勤務でありながら、正社員& 終身雇用の恩恵を受け続けている人間と言えましょう。


私が実力主義の外資系勤務であれば、契約の続行はなかったでしょう。


派遣社員の時給がたとえ2000円だったとしても、フルタイムで働いて年額は384万円です。退職金や雇用の保証(簡単にクビを切れない)、年功序列の賃金アップ、福利厚生の数々、ボーナスなどを鑑みれば、正社員と非正社員の差には歴然たるものがあります。


著者はこのような正社員と非正規社員の不公平感をなくし、正社員を流動化できるようにして、同一労働同一賃金をうたいますが、企業は「正社員の取り分を減らして、 非正規社員と平等に分かち合いましょう( 日本型雇用から職務給への転換)」とは、いまだになっていないことを指摘しています。


さてさて。私自身を振り返ってみれば、日本型終身雇用の恩恵を受けたおかげで、15年間も育児勤務正社員として働いているわけです。販売という全く同じ仕事をしながらも、非正規と正社員との時給は倍以上の違いがあり、成果主義のジョブ型雇用であれば お給料はもっと低くなっていたと思います。(振り返ってみれば、正社員としてかなり下駄を履かせてもらいました)


私のようなワーママにとってみれば、日本型雇用は終身雇用と退職金を約束してくれる、あまりに有難い制度であります。一度正社員の座を勝ち取れば、どんなに仕事ができない人間であろうとも正社員で居続けることができ、その正社員を守り続けるために、非正規社員が企業の雇用調整弁となり簡単に契約終了を告げられてしまう日本社会。


かといって終身雇用の正社員制度を流動化するには、正社員側は腹を切る覚悟がいります。そんなことは実現可能なのでしょうか?

P214引用

身分制度を変えるには、身分制度に苦しむ人自身が正しい理解を持たなくてはいけない。とくに、まだまだ先の長い若者は改革の先頭に立つべきだろう。


これからも日本型終身雇用制度にしがみついていたい、我々や若者の本音が浮き彫りとなる一冊でありました。