こちらのブログの続きです。照れ




企業が採用において重視するのは学歴や専攻だけではなく、部活動も重要視されていて、体育会系であれば偏差値+10ぐらいは下駄を履かすそうです。

城氏は企業からみた体育会系の最大のセールスポイントは「主体性のなさ」であるとしています。徹底した組織への自己犠牲の精神、時には体罰さえも含む厳しい上下関係は、上司に言われたことは逆らわない「従順な精神」を養えるそうです。また休日返上で深夜まで働き続けても文句を言わないとの事。(1つの正答だけを追い求めていく偏差値教育も、確実な答えのある人生レールを選ぶ気風を育んでいるそうです)

露呈したビッグモーターの体育会系気質↓。


上司の命令には絶対服従だったビッグモーターは、完全なる体育会系気質だったようです。(上記記事より抜粋)

これは私にも経験があります。かつて上司に自分の意見をぶつけていた頃は、その上司から徹底的に嫌われました。私の売上はお店で一番でしたが、評価は最低ランクがつき、ボーナスもとても低いものでした。

当時は店を支えようとやる気があったからこそ、自分の意見がありましたが、徹底的に叩かれた経験と共に自己主張をしなくなり、今では自分の考えは一切持たなくなりました。(そのほうが会社勤めは楽だとやっと気がついたゲラゲラ💦)

本書の中で紹介されている男性は、かつて大手の生命保険会社に勤めていました。 そんな日本を代表する高賃金高安定企業を辞め、外資系のコンサルティング会社(完全 年俸制・年功序列のレールはなし)に移った彼は外資の上司から「この会社が必要とするのは、会社を利用して、自分の価値を高められる人間。だからどんどん会社を利用しろ」と言われたそうです。これについて城氏は、こう↓述べています。

P199本書要約

この言葉ほど、年功序列制度と実力主義の違いを明確に浮かび上がらせるものはない。実力主義・ 年俸制の会社で最も要求される人間は自分で方向を決め自分で伸びていく人材だ。そういった人間が増えれば、結果的に組織のパフォーマンスも伸びていく。


ちなみに年功序列制の会社の上司なら「 我が社が必要とするのは自分を殺して会社のために滅私奉公してくれる人間。だからつべこべ言わずに黙って働け」ということだろう。


城氏は「転職によって成功する人は1割程度」と述べています。明確に「自分は~をやりたい」という動機のある人間なら転職もうまくいくが、「もっと面白い仕事がしたい」「社風が古い」程度の漠然とした理由では、日本企業は多かれ少なかれ年功序列的色合いを持っているため不満の解決にはならないと言っています。


40代前半で昇給が完全にストップし「自分は一生平社員で終わり、お給料も上がらない」と気がつく頃には、転職はもう遅い可能性が高く、「誰もが若い時分にはきっと抱いていたであろう自己実現の夢は綺麗さっぱり消えてなくなり、後は疲れ切ったまま 日々の糧を得るために会社にしがみつく毎日が待っている(p217引用)」と指摘しています。


ええ、ええ。その通りです。


自分の可能性や方向性を切り開いていく大きな意思や力を失った40代後半社員の私は、小さな目的(着物が着れて嬉しい、着物を通して喜んで貰えて嬉しい・収入の糧を得る)に気持ちを全集中させて、「何のために働くのか」という問いの答えとしています。


年功序列社会で生き抜いていくためには「主体性のなさ」が大事にされるという、日本社会の本質をつく一冊でありました。