恋愛リアリティー番組として人気を博していた「テラハウス」。その番組の出演者であり、SNSにおける誹謗中傷を苦に自殺をした木村花さんのTwitterアカウントには、連日匿名の罵詈雑言が飛び交っていました。
(原文まま引用)
〈 早く テラハから消えてくれ~〉
〈キモくて弱い〉
〈 お前は人間か 本当にゴリラなんかお前はww〉
〈マジで 卒業してください〉
〈 お前が早くいなくなればみんな幸せなのにな。マジで 早く消えてくれよ〉
〈 顔面偏差値低いし、性格悪いし、生きてる価値あるのかね〉
(木村さん自殺直後)
〈 死んでくれてマジ感謝します 元気出ました(^_^)〉
〈てか、 どう見てもこいつの 自業自得 なんだよなあ〉
〈 自分は死んでお情けちょうだいって都合よすぎるし 世間が甘やかせ過ぎ〉
その後 数日のうち、Twitterの書き込みの多くは 法的な責任を逃れようとアカウントごと姿を消しました。警視庁が 木村さんに書き込まれた 約1200件の投稿を確認したところ、約300件が中傷コメントだったそうです。
私も過去に息子の不登校を綴っていた頃に、子育てママを誹謗中傷するスレッドで叩かれたことがありました(「あなた○○で嗤われてますよ」とメッセージがきて見に行ったら大変なことになっていました)
それらの誹謗中傷に対し 私がブログで直接非難をしたら、そこの住民の怒りを煽り、3年間くらいはしつこく粘着されてバカにされ続けました。(物を言う女性は特に攻撃されます)
私は 今までにそのような言葉を直接ぶつけられたこともなく、ぶつけたこともなく、ぶつける人も見たことがなかったために 大変驚いてしまいました。
どのような人が このようなことを平気でするのだろうか。たとえ匿名であったとしても、人を陰で誹謗中傷することに快感を覚える人とはどのような人なのであろうかと、様々な書物を読みました。
そしてどうやら 加害者たちの正体というのは「普通の人々」なのだと理解しました。(引きこもり、主婦、学生、無職、サラリーマンなど属性は実に様々)
インターネットモニター 約2万人を対象にした調査によると、匿名でSNSで誹謗中傷をしたことがある人の割合は 1%でした。
こちらの記事↓にも書きましたが、匿名での誹謗中傷行為をする人というのは 100人に1人のレアキャラクターであり、「匿名で ターゲッを誹謗中傷するのが気持ち良い」という嗜好癖を、通常の一般市民が共感できることではないのだと気がつきました。
私は誹謗中傷を繰り返す人たちを「何故そのようなことが出来るのか」と大変に疑問でしたが、私が共感出来ないことは世の中には沢山あるのだと考え直しました。
例えば私にはパチンコやアルコールが好きな人の気持ちもわからないし、子供よりも「男」を選んでしまう母親の気持ちも分かりません。
だから「匿名で誹謗中傷をする快感」も、わかる人にしか分からないのです。
そうは言っても「誹謗中傷にハマる人」には、環境や性格の特徴・類似性は見られると思います。(それぞれの依存症に陥る性格や傾向があるのと同様に)
まず第一に指摘されるのが「正義中毒」的傾向です。「人の悪いと思ったところをお節介に忠告したがる性格」で、 それが自分の思い通りにならないと、さらに誹謗中傷度合いを強めてしまうタイプです。(誹謗中傷することにドーパミンが出て快感を覚えるタイプ)
そして「想像力欠如型」であり、ブログや Twitter に綴られることは、その人の全てであるように感じてしまい、 自分がつづった誹謗中傷に相手がどれだけ傷つくのかを想像できない幼さがあります。
自分の行動に対し「罪の意識」が弱く、「これぐらいなら大丈夫」と考えているうちに、 誹謗中傷中毒にまで陥ってしまう人々もいます。(依存症タイプ)
これほどの中毒に走ってしまう原因には、その人自身が抱えるストレスや、満たされない寂しさなどが存在するようです。
P64本書引用
「 どうしても許せないと思うとブレーキが効かない。自分の中の正義感が暴走する感じです」
アルコールやギャンブルと同様、ネットでの誹謗中傷をした直後は気持ちがすっきりとするそうです。
P67
「面白かったのでやっていました。そんなに悪いことだと思っていませんでした」
どのような依存症も初めは「軽い気持ち」から始まります。自分の行動の先の結果を考えられないからこそ、「軽く」 行ってしまうのです。
ちなみに ネット上で誹謗中傷を繰り返す正義中毒タイプの人々は、寄付やボランティア、見知らぬ人に電車の席を譲るなどと言った利他的な行動はしないタイプが多いそうです。自分の正義は振りかざすも 人のためには動かず、本書では「制裁型」と呼ばれていました。
人は SNSでの誹謗中傷を繰り返すことにより「憎しみ依存」となるそうです。憎しみが精神を支配してしまった人々は、自分自身の人生をも憎しみで破壊してしまいます。(ミラーシステム)
私は今まで誹謗中傷を繰り返す人々の精神構造がわからずに、大変疑問でありましたが、「わからなくて当然」だということがわかり、やっと肩の荷がおりました。
「世の中の人は皆同じようでありながら、全く違う気質を抱えており、それが分かりあえないのは当たり前」であるという結論に至った一冊 となりました。