いよい甘い物の無い地獄の闘いへ | 鹿児島のイチロー85歳 最後にして最大の挑戦へ

鹿児島のイチロー85歳 最後にして最大の挑戦へ

糖尿病の為に始めたバッティングセンター人生が二十数年を越えた。
81歳で「130km/hを打って7本のホームラン」という若者達でもやれないことが出来た。その後前立腺ガンや白内障を克服したので、バッティング人生の最後の挑戦を…

糖尿病の悪化で大きな病院へぶちこまれたのだが、検査、検査ばかりでなかなかすぐに結果を知らせてもらえないのはどこの病院も同じで、覚悟はしていたが今度は特に慎重で焦らされる感じで、気の短い私は大きなストレスに苦しんでいる。これまた何処の病院に入っても同じカロリー制限にかかって、毎食毎食腹半分にしかならず、常にひもじい思いをしていて、これも又大きなストレスになっている。

 

必死になって、北陸の大地震の被害に遭われて本当の救いようの無い飢餓状態に置かれている人達のことを思ってガマンしようとするのだが、体が分かってくれず急激に怠くなっていて力が入らなくなっている。甘いものを急にとめられたのも原因だと思って「缶コーヒーを半分でいいから飲ませてくれませんか」と言ったのだがダメだと断られた。ここが前に入院していた処と違うのだ。イライラと無気力が繰り返していたが、時間が経つに従って無気力になっている。このまま行くと寝た切りになるのだろうと思う。

 

この病院でも、入院患者の中に鹿児島のイチローだとバレているので必死に明るく元気に振る舞っているが、夜になると不安とストレスで、なりふり構わず逃げ出したくなっている。いや本当のところ思考が働くうちに、足がいうことを効くうちに、逃げ出すべきじゃないかと隙をうかがっているのだ。寝た切りで死ぬなんて最悪だ、どうせ死ぬんだから美味いものや甘い物を腹一杯食って死ねばいいのだ。と逃げ出す準備をしていたら、巡回に来た看護婦さんに「鹿児島のイチローさんですよね」と声を掛けられて逃げられなくなった。以後も何度か看護婦さん達に声を掛けられるので、もうここで成り行きにまかすしかないという気になっている。精神的に随分弱くなったものだと、我ながら情けないかぎりだ。