群青と真紅 2【《最終章④》ロイヤル・バルコニー・アピアランス】 | Yoっち☆楽しくグテを綴る♡

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テテとグクの Me Myself写真集にインスピレーションを得て【群青と真紅】をブログ内で執筆中です️



前回の物語
前回のサムネイル画像です

テヒョンとジョングクの結婚式が行われた
大聖堂の様子をイメージしました✨✨✨
ChatGPT コーデリア作画





物語の続きが始まります✨✨✨


【バルコニーへのお出まし】

 馬車は王宮前の大広場に差し掛かる。
ここにも既に沢山の人々が詰めかけていて、挙式後のテヒョンとジョングクを一目見ようと待っていた。
そこに近衛騎兵連隊の列が姿を見せると、人々は歓声を上げた。その後に、結婚式を挙げたばかりの、ロイヤルカップルを乗せた馬車が見えて一気に大歓声に変わる。
それに二人は手を振って応える。テヒョン達を乗せた馬車は、そのまま大広場を抜けて通り過ぎた。
それに続き、パレードの馬車が次々と続いた。
 
 馬車は王宮の門を潜り中へ進む。
宮殿までの道のりを一定の間隔で配置された近衛兵達が、敬礼をしながら見送った。
テヒョンとジョングクの馬車は、国王専用の馬車寄せに向かう。続く国王と大公の馬車もそこへ向かうが、他の馬車は宮殿正面の前に停められることになる。
 馬車寄せに着くと、先回りして到着していたハンスとデイビスが待っていた。
フットマンが馬車の扉を開ける。

「お疲れ様でございました」
「ハンス!父上の所でなくていいのか?」
ハンスに迎えられて、ジョングクは驚いた。
「セオドラ様にお許しを頂きました」
「そうだったのか」
ジョングクは嬉しそうに笑った。
 ジョングクが下車した後、デイビスがテヒョンの下車を手伝う為に、ロイヤルマントの裾を持ち上げた。
テヒョンが立ち上がると、ジョングクが手を出して支える。その手を借りてゆっくり馬車から降りた。

「「両殿下、ご結婚おめでとうございます!」」
ハンスとデイビスは二人で祝の言葉を述べるとお辞儀をした。
「ありがとう二人とも。今日は長丁場だからね、まだまだ頼むぞ」
「はい。心得ております」
「ハンスは心置きなく、ジョングクの世話をしてやってくれ」
「はい!存分にお仕え致します」
嬉しそうに応えるハンスに、テヒョンは笑いながら、こちらも嬉しそうなジョングクを見た。

 二人は待機していた侍従の先導で、宮殿の二階にあるアポロンの間に案内された。この部屋は宮殿の一番大きなバルコニーに接した部屋だ。
新しいロイヤルカップルを国民に改めてお披露目する為に、この部屋で待機をする。

 バルコニーが見える宮殿前に広がる広場には、沢山の人々が詰めかけていた。ここに入る事が出来たのは、前もって予約の申請をして許可がされた者だけになっている。
何か良くないことが起きた時、身元の確認が出来る者に限定したのだ。
 バルコニーの石造りの柵の上には、金色の縁取りやタッセルが着いた、豪華な赤いベルベットの布が掛けられていた。
格調高い演出に民衆は、期待が膨らんでいるようだった。
 
 テヒョン達が控えている、アポロンの間のバルコニー側のフレンチドアは、まだ閉まっていた。それでも民衆の歓声は聞こえる位の大きさだった。
「殿下、今のうちに水分をお摂り下さい」
デイビスがレモンウォーターが入ったグラスをトレーで差し出した。
「ああ、ありがとう。喉が渇いていたのだ」
ジョングクもハンスから同じ物を貰った。
二人はゴクゴクと飲み干した。

「今日ほど水が美味しいと思った事はないな」
「ええ、本当に」
美味しそうに水を飲む二人をその場に居た者が皆微笑ましく見ていた。
「こちらもお召し上がりになって下さい。これからご予定の祝賀会でも、お食事はままなりませんから」
給仕係が小さくカットされたサンドウィッチを持って来た。
「有難い。ジョングクも食べておいた方がいい」
「はい」

「その前に、こちらで御手を清められて下さいませ」
ハンスがトレーに乗せたベイスン(※)を持って、先にテヒョンの前に差し出した。
テヒョンは両手を出すと、デイビスがユーア(※2)で水を流した。それで手を洗うと、宮廷職員がタオルで両手の水気を拭う。
ジョングクも、同じようにして手を洗い清めた。

 テヒョンとジョングクは、ようやくサンドウィッチを食べる事が出来た。
二つ三つ摘んで食べていると、国王と大公がアポロンの間に到着した。
「お前達は食事中か?ああ、挨拶などよい。主役はなかなか食べられないからな」
国王はそう言って『よく食べておけよ』と目で合図すると、用意された紅茶を一口飲んだ。

「二人とも衣装を汚すなよ」
大公は紅茶を受け取りながら、新郎の二人が無心に食べている姿を見て言った。
「はい。気を付けます」
テヒョンが応えた。
ハンスとデイビスが、二人の為にティーカップを用意して紅茶を淹れた。するとジョングクが、間髪入れずにぱっとカップを取るとゴクゴクと飲み干した。
「ふぅ~息が詰まるかと思った」
と言いながら胸を叩いた。
「気を付けろよ」
テヒョンは笑って、ジョングクの背中を叩いてやった。

 その後、セオドラ卿にソレンティーノ伯爵とアンジェロの兄に、スミスや他の王族達がアポロンの間に続々と集まった。皆、用意された紅茶で一息つく。
 ソレンティーノ伯爵は、合間を見て長男のルチアーノをテヒョンに紹介した。
ルチアーノは、テヒョンが従弟に当たることを光栄だと示し、またジョングクを蘇らせた偉業に敬意を静かに示した。
テヒョンは軍師として活躍したルチアーノを賞賛した。更にアンジェロとは反対に、冷静沈着に見える事を言うと、ルチアーノはソレンティーノ伯爵と共に笑った。


 スミスは今回は伯爵として、正式に招待されていたのだが、アポロンの間に入ってすぐ、執事の顔になり、テヒョンの身の回りの世話を気に掛けた。しかし、デイビスがきちんと職務を果たしている事を見て安堵する。
それに気付いた大公が、
「相変わらず仕事の鬼だな。今日は招待客だぞ」
と言って笑う。

「いや、、、これは、気付いておいででございましたか」
スミスが恥ずかしそうに言った。
「当然だ。私達は長い付き合いではないか。それに、テヒョンが結婚登録簿に署名をする時も、ついつい手を貸していただろう」
「あ・・・」
スミスは、言われて気付いたようだった。

「デイビスは、いつものことで気にはしていなかっただろうが、教会の者が招待を受けている《参列者》であるスミスが、新郎の世話に手を出したので戸惑っておったぞ」
「無意識でございました」
大公は、何ともいえない表情のスミスの肩に手を置いて、
「今日は執事ではなく、育ての親としてテヒョンの晴れ姿を見てやればよい」
と言うと、スミスは嬉しそうな顔をした。


 テヒョンもジョングクも一息ついた頃、アンジェロとトーマスがそれぞれのパートナーを伴って二人の元にやってきた。
「テヒョン様もジョングク様も、ご結婚おめでとうございます。とても厳粛で美しいお式でした」
フランシスが、カーテシーをしながら祝いの言葉を述べた。
「ありがとう」

「ようやく名実ともに、お二人は結ばれたのですね」
フランシスは感極待って涙目になる。
「フランシスの支えにはとても感謝しているよ。本当にありがとう」
テヒョンは彼女の肩に手を置くと、優しく擦って感謝を伝えた。
「今日アンディはどうしているの?」
フランシスは涙を拭いながら、
「お家でお留守番ですわ。アンディの小さなお友達が遊びに来てくれておりますの」
と答えた。

「そうか、アンディにはもう友達がいるのだな。なら一緒で嬉しいだろうな」
フランシスが笑顔で頷いた。
 挨拶を終えてフランシスが一歩横に移ると、アンジェロがいて、その後ろには、ブロンドの髪の美しい女性が静かに控えていた。
「テヒョン様、私の婚約者のフィオリーナ・マリア・ディ・バルベリーニでございます。
本日は私の婚約者としてのご招待、ありがとうございます」
フィオリーナというその女性は、青い大きな瞳で笑顔を見せると、カーテシーで挨拶をした。
「大公子殿下には初めてお目に掛かります。フィオリーナと申します。本日はご結婚おめでとうございます」

「初めまして。あなたがアンジェの大切な方ですね。よくいらしてくれました」
テヒョンが彼女の手を取って挨拶を返す。
「アンジェ兄さんが、私のベストマンをしてくれていた間、心細くはなかった?」
ジョングクは、既に顔合わせをしていたので、気さくに声を掛けた。
「いいえ、ソレンティーノ伯爵もアンジェロのお兄様もいて下さいましたし、何よりフランシス様がお声を掛けて下さったので、安心でございました」
「そうか、フランシスありがとう」
「いいえ、私もトーマスの代わりに、フィオリーナ様がお話の相手になって下さって楽しかったですわ」

フランシスとフィオリーナは、すぐに打ち解けたようで、仲良く顔を見合って笑っていた。
「ジョンソン夫人、ありがとう」
アンジェロは、彼女が不慣れな海外での儀式だっただけに、フランシスがいてくれて有難いと思った。フランシスは返事の代わりに、
「お二人共、とてもお似合いですね」
と言ったので、トーマスも乗って言う。
「中佐は、フィオリーナ嬢の前ではとても紳士的なのですね」
「お、これは聞き捨てならん。俺はいつも紳士的だろう?」
フィオリーナが吹き出した。

「君が笑ったらだめだろう」
アンジェロは、彼女をやんわり窘めたのだが顔がにやけていた。
「アンジェは、フィオリーナ嬢の前では、牙を抜かれたライオンのよう・・・が、一番表現として合っているのではないか?トーマス」
テヒョンの一言でその場がワッと盛り上がった。アンジェロが顔を赤くして照れ笑いをすると首を振った。
「想い人がアンジェの弱みか」
テヒョンが更にからかう。

「いやしかし、殿下もジョンも良いお式でしたね」
アンジェロがこれ以上冷やかされないよう、式の話に変えた。
「テヒョン様の威厳に満ちた美しさ、大佐の凛々しいお姿に感動がひとしおでした」
アンジェロとトーマスから嬉しい言葉を貰い、二人は寄り添って柔らかい表情になる。
「相変わらず、人前でも仲睦まじいカップルだ」
アンジェロが言うと、皆が頷いた。

「わたくしは、このように心震わせて下さるロイヤルカップルは初めてでございます」
フィオリーナの言葉に、
「そうなの。テヒョン様とジョングク様は、堂々と仲のよろしいお姿を見せて下さいますのよ」
と、フランシスが輪を掛けて宣伝する。
「パレードの最中でもこの二人は、あの大観衆に見せつけて沸かせておったわ」
国王が、ヒョイとアンジェロとトーマスの間に顔を覗かせて言ったので、二人は驚いて振り返った。

フランシスとフィオリーナは、慌ててカーテシーで国王にお辞儀をした。
「挨拶などよいよい」
「陛下!私達は見せつけてなどおりませんよ」
「あの公衆の面前で、ぴったり顔をくっつけておきながら、何を言っておる」
ムキになるテヒョンに、国王は無表情で目を細めて言い返した。
アンジェロとフィオリーナの話から、一気にテヒョン達に矛先が変わった。


フィオリーナが、このやり取りを驚きの表情で見ていた。
「素敵な方々でしょう?」
フランシスが、目をパチクリさせている彼女の耳元で言う。
「なんて素敵な方々なのかしら」
「ついついこの国に長居してしまう理由が分かるだろう?」
アンジェロが感嘆する婚約者に言った。

大公が我慢出来ずに笑い出すと、周りの者達も釣られて笑った。
 厳格な規律に従って行動がなされる王族の中で、このテヒョンとジョングクが一緒だと、なんとも微笑ましく《癒し》になる事を王族の誰もが感じていた。
本来であれば、宮内庁官府の宮内庁官の厳しい目が光る所なのだが、ジョングクの功績等があり、かなり大公子カップルは優遇されていた。

「ジョングク、これからはお互いの振る舞いには気を付けないとな」
そう言われたジョングクは、テヒョンの手を取ると言った。
「私には無理でございます」
「!なっ・・」
きっぱり否定したのだ。
「テヒョン、お前もそう言った所で無理であろう?」
「父上!」
テヒョンは父の顔を見て、もう一度ジョングクに視線を移すと、じっと慈しみを込めた視線で夫から見られていることに、ほろっと表情をほころばせた。

「ほらみろ!既に絆されているではないか」
テヒョンは観念して反論はしなかった。
ジョングクの愛しい眼差しに、もう何度も心奪われてしまうのは本当の事だ。
テヒョンとジョングクの取り繕うことのない、愛に満ち溢れる視線の交わし方に、そこに居た誰もが《眼福》だと感じていた。



「皆様方に申し上げます」
侍従長が案内を触れた。
「只今から皆様方にはバルコニーへお出で頂きます。大公子殿下ご親族様とバーランド公爵(ジョングク)のご親族様からお願い致します。国王陛下と大公殿下が続いてお出まし頂きましたら、最後に新郎方のお出ましでございます」
ハンスとデイビスが、急いでテヒョンとジョングクの身繕いを整える。

 フレンチドアが開け放たれると、集まっている民衆の歓声が、大きくアポロンの間に響き渡る。
外では近衛騎兵連隊がバルコニーの下に就き、バルコニーにも近衛兵が護衛の為に並ぶ。
王族やジョングクの親族が、バルコニーに出ると歓声が上がった。国王と大公が続いて出て行くと更に歓声は上がる。
「さあ両殿下、国民がお待ちかねでございます」

侍従長に促されると、ジョングクが右腕を差し出した。テヒョンは、ジョングクをじっと見つめると左手をその腕に預けた。
二人は頷くとバルコニーへ出て行く。
誕生したばかりのロイヤルカップルが、姿を表すと大歓声に包まれた。
テヒョンとジョングクは、その歓声に応えて二人でにこやかに手を振った。
すると歓声は大きなうねりになって、『大公子殿下万歳!!ジョングク殿下万歳!!』という歓呼に変わった。

初めてバルコニーに並び立った、アンジェロやトーマス、フランシスとフィオリーナは、テヒョンとジョングクに対する、群衆の熱烈な歓迎ぶりに圧倒された。
テヒョンとジョングクへの、その圧倒的な愛と支持の前で、臆することなくまた傲慢さもなく、ただにこやかに手を振って応える姿が驚異だった。


つづく________


【本文注釈】
(※)ベイスン (Basin): 水を受けるための幅広で浅いボウル
(※2)ユーア (Ewer): 水(または香り付きのぬるま湯)を入れるための、取っ手と注ぎ口がついた水差し。
画像お借りしました