群青と真紅㊼【サプライズ】 | Yoっち☆楽しくお気楽な終活ガイド

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アラフィフの生活や周辺で起きたことを書いています☆
そしてときどき
終活のガイドをさせていただきます

現在、BTSの底なし沼にハマり浸かっております
ガチガチのグテペンです
現在、テヒョンとジョングクをモデルに小説を執筆中☆

新しい読者の方が沢山来てくださり、有り難く思っております
また読者になって下さっている皆様
いつもありがとうございます💕
改めまして
この物語はバンタンのテテとグクそれぞれの Me Myself のコンセプトからヒントを得て生まれました。
登場人物もテテとグクをモデルにまで進んでおります✨
登場人物、時代、国、社会制度、生活様式などある程度参考としているものもありますが、基本全て架空でありファンタジーとして書いております☺️
いちARMY である私が
二人の Me Myself の写真集からどんなインスピレーションを受けてストーリーを展開させていくのか
最後までご一緒に見届けて下されば幸いです🙏


前回の物語



物語の続きが始まります✨✨✨


【伯爵家での時間】

「テヒョン様・・・」
二人はまだタペストリーの前にいた。
「お好きなココアを入れて参りました。冷めない内に召し上がって頂きたいのですが・・・」
テヒョンがジョングクから身体を離す。
「では君のココアを頂こう。」
振り返って笑う。
子どもみたいな屈託のない笑顔に引き込まれそうになる。
愛らしいこの方にもう少し触れたくなって、ジョングクの両手は空を彷徨っていた。

テヒョンはお構いなく素早くテーブルに着いて、肘をついてニコニコと待っている。
『果たしてこの方に一寸も惹かれることはないなんて思う人間がこの世にいるだろうか?』
「何を考えているの?」
真っ直ぐ向けてくる視線に何もかも見透かされているようで言葉に詰まった。
負けじと虚勢を張ってみる。
「勿論、あなた様の事ですよ。」
途端にポッと頬を赤らめて瞳をゆっくりと伏せる。
意表を突いた反応にジョングクの心は瞬時に射抜かれた。
『純粋過ぎるテヒョン様は小悪魔だ』と心の中で呟いた。

なんとか平静を装ってココアをカップに注ぎ、
「はい、どうぞ。」
と目の前に置いた。
「いただきます。」
視線をジョングクに留めたままカップを持って一口含んだ。
「やっぱり君の入れてくれたココアが1番美味しいよ。」
フフっと笑って二口目も飲む。
ジョングクも向かい合って座りココアを飲んだ。
テヒョンが唇についた《ヒゲ》をペロリと舐めて見せる。
・・・もう成す術もなかった。


「君の部屋にはいつ案内してもらえるの?」
すっかりテヒョンに魅せられっぱなしのジョングクだったが、部屋の話を振られて我に返った。
「それは、、、暗くなるまでお待ち下さい。」
「あ、さっきセオドラ卿が言ってたことに関係があるんだな?」
「ははは、、父上も意外とおしゃべりな所があるので困ります。」
「それは僕の父上も同様だ。」
二人で笑った。

「テヒョン様、お着替えをなさいますか?」
「うん。落ち着いた室内着に替えたい。」
「デイビスを呼びますか?」
「いや、一人で大丈夫だ。」
「では、私は一旦失礼致します。」
「何で?君はこのままいてくれていいよ。」
「あ、でも、、、」
躊躇して言葉に詰まる。
「今更恥ずかしがる?僕が落馬した療養中は着替えさせてくれたよね。」
「あの時はあなた様がお怪我をなさっておいででしたので、お手伝いをさせて頂いたまでで・・・」
焦れったくなったテヒョンは、
「僕が寂しいからそばにいてよ。少しでも長く君と一緒にいたいんだ。」
小さく哀願をした。
可愛らしい吐露をされて、勢いよくテヒョンの腕を引いて抱きしめる。

「おいおい、僕は着替えるんだぞ。」
だけど抵抗はしない。
「今まであなた様はお寂しいなどと仰っしゃらなかったではありませんか。」
「・・・そうだよ、大人だからな。」
「でも私は気付いておりました、、、」
テヒョンは黙っていた。
「もし言わせてしまったのでしたら申し訳ありません。・・・でも、口に出して下さってありがとうございます。」
「ジョングク、言ってることが支離滅裂だぞ。」
「私は、、、嬉しいのです。あなた様が本音を私に打ち明けて下さるのが。」
テヒョンがジョングクの背中に両腕を回して力を込めた。
「君だから僕は安心して話せるんだ。」


穏やかな時間が二人の間に流れる。
外はいつの間にか冬の日の入りで既に暗くなりかけていた。
「お寒くはありませんか?」
「大丈夫。君がそばにいてくれてるからね。」
『テヒョン様こそ歯が浮くような言葉を平気で仰る』と思いながらも本当に幸せそうに寄り添ってくれる事で、満ち足りた気持ちが増幅される。
ジョングクはここで心を決めた。


二人はテヒョンの控室でチェスをしたり、カードゲームをして過ごしていたが、ハンスが扉をノックするまで夕食の時間が近付いている事に気付かなかった。
ディナー用の衣装に着替えると一緒に食堂に向かう。
テヒョンが食堂に入るとセオドラ卿が席を立って迎えた。
「今夜の夕食は大公子殿下がご臨席でございますので、特別なクリスマスメニューとさせて頂きました。」
テーブルの上には晩餐会程のメニューが並んでいて、とてもカラフルで豪華な食卓になっていた。
「ありがとうございます。セオドラ卿とジョングクとこうして食卓を一緒に出来て嬉しいです。」
さぁさぁと促されてテヒョンは上座に案内された。

チョン伯爵家の食卓はセオドラ卿が物静かなイメージを越えて、とても話し上手で話題も楽しいものばかりだった。
テヒョンがコロコロとよく笑うので、ジョングクは嬉しそうに眺めていた。
クリスマスディナーはデザートまで進み終わりに近付いた。
「それでは父上、そろそろテヒョン様をお部屋にご案内致します。」
二人が席を立つ。
「セオドラ卿、次は是非ジョングクの幼少期の話をお聞かせ下さい。」
「はい。とっておきのお話を致しましょう。」
「楽しみにしております。では」
「殿下、どうぞよいイヴの夜を」

テヒョンとジョングクが食堂を出た後、セオドラ卿はまだワインを飲んで食後の余韻を一人楽しんでいた。
「ハンス、殿下はとても可愛らしいお人柄でいらっしゃるな。」
「そうでございますね。あのように無邪気にお笑いになるお姿を見るのは初めてでございます。」
「キム公爵家の方々が沢山愛情を注がれてお育てになった事がよく分かるな。」
「はい。形式が重視の王族のご家庭としては珍しい事かもしれませんね。」
セオドラ卿はテヒョンが幸せに成長してこれた事を実感して安堵した。


【二人のイヴの夜】


「いよいよ君の部屋に行けるのだな。」
テヒョンがウキウキした様子で廊下を歩く。
「何があるのか楽しみだ。」
食堂での談笑の余韻がまだ残っているようだ。
ジョングクは笑顔のまま黙って部屋まで案内をする。

「さぁ着きましたよ、どうぞ。」
部屋の前に着いて扉を開けた。
右手を掲げて笑顔でテヒョンを見る。
促されて足を踏み入れた途端、思わず立ち止まってしまった。
「ジョングク・・・これ・・」
驚きを隠せない顔で振り返る。
「さぁ、もっと中へお入り下さい。」
優しく両肩に手を掛けて部屋の中へ誘う。

暗い部屋の中には部屋の角や飾り棚の上にステンドグラスで装飾がされた燭台があって、火の光が赤や青や緑等の色の硝子を通して四方に広がっていた。
中央には大きなツリーがあり、沢山の蝋燭がこれもステンドグラスで小さく装飾がされていて灯されている。
キラキラと灯される色とりどりの光が、陶器で出来た天使や、星や、人形などのオーナメントに反射をして、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「こちらにどうぞ。」
クッションが沢山並べられた暖炉の前にテヒョンを座らせた。
近くにはワインとワイングラス、カナッペ類が綺麗に並べられたワゴンが置いてあった。

「これは、、全て君がコーディネートしたの?」
「はい。」 
テヒョンはクッションに座りながら、周りを見回していた。
ジョングクが静かに隣に座る。
「とても美しい・・・。こんな素敵な催しは初めてだ。」
驚いている顔にもキラキラと光が反射する。
「そのお顔が見たくて飾り付けを頑張りました。」
そっとテヒョンの手を握る。
「あなた様の事を考えながらの飾り付けは楽しくて幸せでしたが、、、」
繋いだ手を自分に引き寄せながら、
「今はもっと幸せです。」
と言ってテヒョンの手に唇をあてた。

テヒョンの瞳が揺れて、しばらく静寂が続いた。
暖炉の中でバチっと弾ける音がして先を急がせる。
ジョングクは繋いだ手を両手で包むと、自分の胸に寄せて真剣な面持ちでテヒョンを見つめた。
「とてもお慕い申し上げておりました、、、」
低い声で更に心を込めて続けた。

「あなたが好きですテヒョン様。」

暖炉の火の光のせいかジョングクの瞳から赤い光が煌く。
テヒョンの瞳からは一筋の涙が光り落ちた。
「・・ずっと・・・待ってた。・・・その言葉を聞きたくて・・・」
言い終わらないうちにテヒョンを抱きしめる。


ついに言ってしまった。
お互いに想い合っている事は分かってはいたが、ジョングクには超えられない一線があってずっと葛藤をしていた。
だから好意を言葉にする事も出来なかった。
日に日に大きくなる想いに、迷い、恐れ、不安にもなったけれど本人を目の前にすると、いつだって幸せな想いだけが感じられたのだ。
言葉で伝えた今、テヒョンがとても嬉しそうに涙を流してくれているのが何より幸せだった。

テヒョンにしてみれば、ジョングクが踏み込んでこない事で、不安がつきまとっていたのは確かだった。
だけれど想いは通じているのだから幸せだと思うようにしていた。が、目の前で言葉にして想いを伝えてくれたので、心の奥深く隠していた不安が喜びに変わり胸が一杯で涙が溢れ出した。
今この瞬間がとても幸せだった。

涙の跡を指で拭いながら、
「あなた様のお言葉は?」
濡れたまつ毛に伺う。
「分かっているではないか・・・・」
照れてうつむく。
「私も聞きたいのです。」
頬に触れるジョングクの優しい手にそっと自分の手を重ねると催促に応えた。
「・・・君がとても好きだよ。」
言葉と一緒に次から次と大粒の涙が溢れてきた。
ジョングクはそれ以上の言葉を欲することはしなかった。
ただただ目の前の可愛い人の溢れ出る想いを受け止めたくて、両手で顔を包み込むと自分の胸の中に隠した。

二人の心は満ち足りて癒やしにも似た幸福感を味わっていた。
そこへ突然外からバチバチと破裂音がして静寂を破った。
「テヒョン様!早く窓の外を見て!」
テヒョンを立ち上がらせ、窓辺へ連れて行く。
窓の外で光が弾いている。急いで窓を開けると、冷たい空気と共に火薬の匂いが鼻をさした。
「わぁ・・・仕掛け花火だ!」
「危うく見過ごすところでした。」
庭の噴水のそばでジョングクの部屋に向けて Merry Christmas の花火の文字が弾いていた。周りでパンパンと打ち上げ花火が降り注ぐ。
二人は身を乗り出して見た。
「テヒョン様、落ちないで下さいね。」
腰に手を回してしっかりと掴む。

「今日は驚かされてばかりだ。」
花火の光を眺めながら嬉しそうに呟く。
「今年はあなたのお陰で、私はとても充実した日々を送れました。だからどうしてもお礼がしたかったのですよ。」
「いや、僕の方こそ沢山尽くしてもらっているよ。」
二人がお互いを見つめると、ねぎらう言葉が重なった。
「「ありがとう・・・」」

キラキラと止まない光の中にテヒョンとジョングクの笑顔が包まれていく。
二人の姿を形容するとしたら《崇高》以外は当てはまらないであろう。


※ 画像お借りしました