私の拙い小説でございます
楽しみにして下さっている方々、ホントにありがとうございます✨🙏✨
今年最初の「群青と真紅」でございます😊
テテが Veautiful Days で『中世時代の雰囲気が好き』と言っていた事に感極っております😭私も大好きだからです
20代の頃に18〜19世紀のヨーロッパの文化を調べまくりました👍
だから大好きなグテを絡めて大好きな時代の夢の小説が書ける事に感謝です✨✨✨
前回のお話
【チョン伯爵家】
「キム公爵、よくおいでくださいました。チョン伯爵家執事のハンスでございます」
チョン伯爵を待つ間、応接間に通されたキム公爵は執事のハンスから挨拶を受ける
深々と頭を下げるハンスに
「何やらお騒がせをさせてしまったようですね」
と応える
「殿下のご来訪は当家には大変名誉なこと。ですが、、お供の方をお連れではないようにお見受け致しますが・・・」
ハンスがうかがうように尋ねた
「ええ、家の者には内緒で来ました」
「なんと!高貴なお身分の方がお一人でお出掛けとは、危のうございます」
キム公爵はハンスの言葉に笑いながら
「ハンス・・・我が家のスミスのようです」
と呟くように言った
「スミス様でございますか?」
「スミスを知っているのですか?」
「はい。宮廷行事に向かう当主のお伴でわたくしが初めて宮殿へ参内致した折に、大変お世話になったのでございます」
「そうだったんですね」
「殿下も当家のジョングク様もお生まれになる前の話でございます。・・久しくお会いしておりませんが、懐かしゅうこまざいます」
「今のあなたのように達者にしておりますよ」
キム公爵の返しにハンスが笑った
そこへドアがノックされる
「はい、どうぞ」
キム公爵が応えるとハンスがドアの所へ向かいドアノブを開ける
すると乗馬服に着替えたチョン伯爵と共にセオドラ卿が入って来た
「キム公爵、大変お待たせいたしました。これは私の父、セオドラでございます」
セオドラ卿が一歩前へ出て頭を下げた
紹介を受けてキム公爵が応える
「突然に邪魔をしております。私とは初見・・でしょうか?」
セオドラ卿は頭を上げて答えた
「ようこそおいでくださいました。ジョングクの父でございます。殿下とは国王陛下ご臨席の行事の際に何度かお会い致しております。ただ、まだお小さい頃で、あなた様はお父上のお膝にいらっしゃいました。覚えていらっしゃらないかもしれませんな」
セオドラ卿は懐かしむようにキム公爵を見つめた
するとキム公爵がおもむろに立ち上がり鼻で呼吸をゆっくりすると言った
「セオドラ卿は私の好きなサンダルウッド(白檀)の香りがしますね」
「はい、私も昔から好んで焚いている香りです。瞑想する時には心の奥深くまで誘ってくれます」
「分かります。そして私には懐かしさを感じずにはいられない香りでもあるのです」
二人の話を聞いていたチョン伯爵は、エジンバラの離宮で初めてキム公爵の部屋に招かれた時にサンダルウッドの香りがしていた事を思い出した
【騎乗のふたり】
しばらく応接間で談笑した後、キム公爵とチョン伯爵は庭へ出た
馬丁がキム公爵とチョン伯爵の馬を連れて待っていた
「待たせたねアーサー」
キム公爵が自身の馬に寄って、たてがみを撫でてやった
その馬は青鹿毛(あおかげ)の馬で額には流星の白斑があり、たてがみや尾毛もよく手入れが行き届き全体の毛艶がとても美しかった
「よいお名前ですね。それにとても美しい青鹿毛です」
チョン伯爵がまじまじとキム公爵の馬を眺めながら言った
「黒熊のような色でいい子でしょ。ケルト語で熊の意味である『アルトス』が語源だと言われている《アーサー》と名付けたのです。チョン伯爵、君の馬は何というの?」
「私の馬は《アルミラージ》という名前です。角がある伝説のウサギの名前を付けました。子馬の頃よくウサギのように飛び跳ねて遊んでいたのです。しばらく本格的に乗ってやらなかったので、キム公爵には感謝しております」
そう話しながらチョン伯爵も自身の馬の額を撫でてやった
チョン伯爵の馬は明るい栗毛で額には曲星があった
こちらの馬もよく手入れが行き届いていて引き締まっていた
キム公爵とチョン伯爵はそれぞれの馬の鞍に乗り手綱を取った
「今日は遠乗りはしない。チョン伯爵家の近所の領内を案内してくれますか」
キム公爵が言った
「分かりました」
チョン伯爵はそう言うと馬丁には伴は要らないことを告げた
そしてチョン伯爵が前を行くと、キム公爵がその斜め後ろを付いて常歩で移動を始めた
近くにいたチョン伯爵家の使用人たちは
誰もが二人の騎乗の姿を見るとため息を漏らした
「キム公爵とジョングク様のなんと凛々しいお姿だろう・・・」
玄関先ではセオドラ卿とハンスも二人の姿を見送っていた
「こうして見ておりましても、お二人はとても似ていらっしゃいます」
ハンスが二人の後ろ姿を見ながら感心するように言った
「宮廷に出ていれば挨拶を交わす位はあるとは思っていたが、まさかあの二人に親しく交流があろうとはな・・・」
「今回、国王陛下のポロチームメイトにジョングク様が直々にお声掛かったのも、キム公爵のご推薦があったからこそと聞き及んでおります。誠に光栄な事にございますなぁ」
「これはもう・・・《運命》として受け止めるしかあるまいな」
遠ざかる騎乗の二人を真っ直ぐに見送りながらセオドラ卿が言うとハンスが深く頷いた
※ テテの画像はYou Tubeの公式からお借りしました