今日の記事はこちらからの続きになります。

 






上の記事の後、私は思い立ったが吉日とばかりに、すぐに今も大学に残っている同級生に連絡を取り、詳しい方を紹介していただきました。


そして私から、このようなメールを送らせていただきました。

・発達障害(ADHD)と診断された大学生の娘がいること。
・その娘がどうやら昔から低血糖を時々起こしていたらしいこと。
・低血糖とカルニチン、また発達障害とカルニチン欠乏に関係があると知り、カルニチン分画の検査をしてみたら、本当にカルニチンが低かったこと。また、その実際の値。
・カルニチン欠乏の原因はいろいろあるようだが、先天性代謝疾患(たとえば脂肪酸代謝異常)の可能性もあるのかどうか。




すると!
なんと、その翌日に、お返事のメールが届いたのですびっくり!!



ですが、さすが専門家・・・滝汗あせるあせる

私には少し内容が難しかったので、勝手に咀嚼したものをここで紹介させていただきますあせる


・カルニチン欠乏を含めた先天代謝異常症と発達障害はたしかに合併することがあるとも言われているが、個人的には、無症状の低血糖などによる微小な脳損傷が影響した2次的な併存症だと考えている。
・ただ、娘さんのカルニチン欠乏の程度はとても軽く、先天性の代謝異常症を疑うほどの低値ではないため、低血糖の主な原因ではないように思われる。
・とはいえカルニチンがやや低めで低血糖となることも多いので、低血糖の主因ではないものの低血糖を助長している可能性はある。
・娘さんが本当にカルニチン欠乏による低血糖であれば、低血糖時に非ケトン性低血糖となり、遊離脂肪酸/総ケトン体比(NEFA/TKB比)の上昇(一般的に3.0以上)などが認められるはず。
・そのような所見があるなら、遺伝子解析などの精査を考える必要がある。
・遺伝子解析は我々のラボでなくても保険診療でできるので、主治医に相談を。
・現時点で上記のような所見がない、あるいは不明ということであれば、まずはアシルカルニチン分析を検討してはどうか。
・アシルカルニチン分析は、すでに検査済みのカルニチン分画(=遊離カルニチンとアシルカルニチンだけ測定)よりも詳しい情報が得られる。
・カルニチンの欠乏は先天性のものだけでなく、低栄養状態(偏食ふくむ)や腎機能障害、薬剤性などいろいろある。
・いずれにせよまずは主治医と相談を。
 



私とは直接面識がないにもかかわらず、とっっっくの昔に大学を去ったOGにこんなに丁寧なお返事を下さったことに、大感謝ですキラキララブラブ笑い泣き



そしてさすが経験豊富な専門家です。

それほど長い文面ではないにもかかわらず、内容のなんて濃いことよ・・・ポーンハッ
一切無駄がなく、大切なことがギュッと詰まりまくっておりますガーンハッ




まず重要なことは、

娘のカルニチン欠乏の程度は、軽い

ということです。


そして

この程度の欠乏では、先天性代謝異常症の可能性は低い

ということも分かりました。
(*ここでいう"先天性代謝異常症"には、上の前回の記事などで触れさせていただきましたような、まだ疾患として確立されていないものは含まれていないと思われます)

 

 

 

 

これらは、豊富な経験があるからこそ言えることですよね。
いくら文献を読んでもどこにも書いてありませんでしたので、とっっっても参考になりましたクラッカー



ただ1つ ?? なことが・・・.アセアセ


それは、

・ただ、娘さんのカルニチン欠乏の程度はとても軽く、先天性の代謝異常症を疑うほどの低値ではないため、低血糖の主な原因ではないように思われる。
・とはいえカルニチンがやや低めで低血糖となることも多いので、低血糖の主因ではないものの助長している可能性はある。

の部分です。


娘くらいの軽いカルニチン欠乏だと、

「低血糖の主な原因ではない」けれど、「このレベルの低さで低血糖になることも多いので、低血糖を助長している可能性はある」

とはいったいどういうこと・・・? 

結局のところカルニチンのせいで低血糖になるのかならないのか・・・もやもや
 

 


私なりに解釈してみますと、

「低値ながらもこのくらいカルニチンがあれば、普通の状況では低血糖は起こさない。けれど他の要因が重なると、低血糖を起こすことも十分あり得る」

ということかしら・・・と思ったのですが、どうでしょう??

 



そして、ここでいう『他の要因』とは、娘の場合、たとえば

長時間の絶食

ではないでしょうか。

 

ただし、

普通の人(=カルニチン欠乏がない人)なら低血糖を起こさないくらいの短期間の絶食

です。
 

 


以前のこれら↓の記事で書かせていただきましたように、かつての娘は、必ずではありませんが半日程度の絶食でも低血糖を起こすことがありました。

 

 

 



ですが去年カルニチン製剤を飲むようになってからは、半日程度の絶食では低血糖は起こらなくなり、先日のこの記事↓のように、24時間絶食して初めて低血糖になりました。

 

 

 

 


これらを総合して考えますと、いただいたお返事のその部分は、

先天性代謝異常症ではないと思われるが、この程度の軽度のカルニチン欠乏でも、長時間の絶食などの誘因があれば、低血糖の原因となり得る

と解釈してよいような気がします。



それから、娘の低血糖に本当にカルニチン欠乏が関与しているかどうか、それを確かめる方法も、いただいたメールで教え下さっています。

簡単に書きますとこうなる気がします。


①まずは、低血糖時にケトンが産生されない、すなわち非ケトン性低血糖である

  ことを確認する。
 (*低血糖とケトンの関係は右差しこちらなどにあります)
  もし非ケトン性低血糖なら、低血糖にもかかわらず脂肪酸を分解して

  エネルギー源として利用できないことを意味しており、脂肪酸代謝異常を含む

  カルニチン欠乏が低血糖に関係していることが証明できる。
 ※非ケトン性低血糖かどうか確かめるには、低血糖時の血液検査で、
   遊離脂肪酸/総ケトン体比(NEFA/TKB比)の上昇(一般的に3.0以上)などが
   認められるかどうかを確認する。

②もし非ケトン性低血糖であれば、遺伝子解析で先天性の脂肪酸代謝異常症が

 ないか検査を。

③もし非ケトン性低血糖でなければ、娘の低血糖はカルニチン欠乏のせいでは

 ないということ。
 ならば低血糖の原因が何かは置いといて、カルニチン欠乏の原因を調べるには、

 まずはアシルカルニチン分析をするとよい。
 より詳しいことが分かるので、それが原因検索の足がかりになるかも。 
 (*アシルカルニチン分析については右差しこちらで触れさせていただいてます)

④ ①を確かめられない場合も、③をすると何か分かるかも。




まさか、娘の低血糖にカルニチンが関与しているかどうかを、ちゃんと確認することができるなんてポーンポーンポーンハッ

これは驚きです。
これはもう、確かめてみるしかありません真顔!!



・・・とはいえ、そもそも本当に娘が低血糖を起こしているかも100%は分かりませんし、カルニチンを服用している最近の娘はめったに低血糖を起こしません。

何より、試験に合格できるまでは低血糖を起こして体調を崩してもらっては困りますゲッソリガーン
 

 


――というわけで、試験が終わったら、それこそ一度、

・カルニチンを飲むのをやめ
・リブレ(24時間自動血糖測定器)を装着して血糖値を記録しつつ
・体調が悪くなるまで絶食してみる

(*たとえば右差しこちらにチラッとだけ出てきます『絶食試験』のように・・・汗 娘、気の毒・・・)

のもひとつの手かもしれませんね。
 

すべては試験に合格してからですが。
(ということは永遠にそんな日は来ないかもしれませんけれども・・・アセアセあせるあせる

 

 

 

そしてそして。

いただいたメールの中でとりわけ大切なのは、一行目のこの文章だと私は思いました。


・カルニチン欠乏を含めた先天代謝異常症と発達障害はたしかに合併することがあるとも言われているが、個人的には、無症状の低血糖などによる微小な脳損傷が影響 した2次的な併存症だと考えている。



これは、これまでいろいろな資料をまとめてきて、私が前回の記事の最後で至りました結論:

カルニチン欠乏の原因がガイドラインに出てくる既知の疾患であれ(*右差しこちらの記事の表8のことです)、カルニチン欠乏とは関係のない、今回出てきたSLC7A5というトランスポーターの異常というまだ確立されていない疾患であれ、腸内細菌の乱れが原因であれ、

 
最終的にはミトコンドリアの機能異常から細胞レベルでのエネルギー代謝障害を引き起こすことによって、脳の神経細胞がダメージを受け、正常に機能できなくなることがASD(そしてADHDも)の発症に関与している可能性がある
 
ということが現時点で判明している結論なのかもしれません。

 


と似たことを言われているような気がします。

 

 


――ということで、やはり良くないのは 低血糖 のようです。

犯人の一人は 低・血・糖 ムキー!!

 

 


自覚症状が出ないような無症候性の低血糖であっても、特に赤ちゃんの時、あるいは新生児期や胎児期に起こってしまうと、急激に発達している最中の脳細胞が取り返しのつかないダメージを受けてしまう危険がある・・・ということではないでしょうか。



というわけで、次回からもう少しだけ『低血糖』について調べ、終わりにしたいと思いますお願い