娘が本試験に奇跡的に合格することができるのかどうか、つい悶々と考えてしまわずにはいられません。

この調子では発表が近付くにつれてまた何も手につかなくなりそうですので、今のうちに途中になっております調べものを続けておきたいと思います。


 
前回(と申しましても10/20)の記事で調べました結果、

 

・娘のひどい月経痛の原因は機能性(原発性)月経困難症(以下、月経困難症で、
・月経困難症の原因はプロスタグランジン(PG)という物質の過剰分泌
 
であることが判明いたしました。

 

 



また娘の場合は、月経困難症と眠気の間に

・互いの出現と悪化の時期が一致している(月経の1-2日目)
・互いの症状(腹痛と眠気)の強さが比例しているらしい


という関係性があることにも気が付きました。



――となりますと、

「プロスタグランジン(PG)と眠気が何か関係あるのでは!?

と考えてしまうのが世の常・人の常というものではないでしょうか。
 

そこで今回は、この「プロスタグランジン(PG)」につきましてもう少し詳しく調べてみたいと思います。



■プロスタグランジンとは

プロスタグランジンは単一の物質ではなく、下図のような五員環構造を含む20個の炭素鎖(=プロスタン酸)を基本骨格とし、これに二重結合や水酸基等が加わった数多くの不飽和脂肪酸の総称、なのだそうです。
*・・・化学が苦手だった私には何のことやらよく分かりませんが、こんな構造だそうです。
(この画像はこちらから引用させていただきました)
 
 

■プロスタグランジンの生合成

プロスタグランジン(PG)は、下図のようにアラキドン酸から生合成されます。
 

(この画像はこちらから引用の上改変させていただきました)
 
 
※上の図の説明をさせていただきますと・・・
 
①組織の損傷など種々の刺激により、細胞膜のリン脂質から ホスホリパーゼA2 という酵素によって アラキドン酸 が遊離されます。
②遊離されたアラキドン酸に シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase;COX(コックス) が作用すると、アラキドン酸合成系(=アラキドン酸カスケード;図の②~④へのコース)に入り、プロスタグランジンG2(PGG2)が合成されます。
③プロスタグランジンG2に ヒドロペルオキシダーゼ が作用すると プロスタグランジンH2(PGH2)が合成されます。
④さらに各組織に特異的に存在する各種のプロスタグランジン合成酵素により、PGH2から プロスタグランジンE2(PGE2)プロスタグランジンF2α(PGF2α)プロスタグランジンD2(PGD2)プロスタグランジンI2(PGI2)、また トロンボキサンA2(TXA2) などが合成されます。
※これらのプロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)を合わせてプロスタノイドと呼ぶそうです)
※プロスタグランジン群には、他に PGA、PGB、PGC、PGE1、PGJ があります。

⑤一方、アラキドン酸に リポキシゲナーゼ という酵素が作用すると、ロイコトリエン合成系(=ロイコトリエンカスケード;⑤のコース)に入り、ロイコトリエン(LT)が合成されます。
※ロイコトリエン群には LTA4、LTB4、LTC4、LTD4、LTE4、LTF4 があるそうです。
※前述のプロスタノイドとこのロイコトリエン群を合わせてエイコサノイドと呼ぶそうです。
 
 

■プロスタグランジンの種類と主な作用

現在知られているプロスタグランジンと、その代表的な作用を列挙してみます。
(*分かりにくいので下の画像だけご覧下さいね!)

・PGA:血圧低下作用のみ
・PGB:血圧低下作用のみ
・PGC:血圧低下作用のみ
・PGD2:血小板凝集作用
      睡眠誘発作用(PDD受容体)
      アレルギー反応の増悪
・PGE1:動脈管開存作用、子宮収縮作用
・PGE2:平滑筋収縮作用(EP受容体EP1サブタイプ)
     末梢血管拡張作用(EP受容体EP2サブタイプ)
     発熱・痛覚伝達作用(EP受容体EP3サブタイプ)
     骨新生・骨吸収作用(EP受容体EP4サブタイプ)
・PGF2α:黄体退行、子宮・気管支・血管の平滑筋収縮作用(FP受容体)
・PGG:血圧低下作用・血小板凝集作用・眼圧降下作用
・PGH2:血小板凝集作用
・PGI2:血管拡張作用・血小板合成阻害作用(IP受容体)
・PGJ:抗腫瘍作用のみ


〈代表的なエイコサノイドの合成経路とその作用〉

(この画像もこちらから引用の上改変させていただきました)
 
 
前回の月経困難症の記事では「プロスタグランジン」とのみ表記していましたが、実はプロスタグランジンにはこんなにもたくさんの種類があったのですねポーン
 
これらのうち、子宮の収縮、つまり 月経困難症に主に関与しているのは プロスタグランジンE2 だといわれています。
 

ちなみにプロスタグランジンE2自体に発痛作用はありませんが、ブラジキニンなどの発痛物質の作用を増強することによって、痛みをより強くするのだそうです。
(※具体的には、プロスタグランジンE系はブラジキニンなどの発痛物質に対する痛覚受容器の感受性を高めるそうです)
 
 

そして――問題はここからです。

上の図の青い□で囲んである部分、お気付きになられましたでしょうか?


そぉなんです。なんと
 
『催眠作用』 と書かれているではありませんか!!!ポーンハッ
 
 

娘の月経困難症に関わっているのは プロスタグランジンE2 とのことですが、同じプロスタグランジンの中の プロスタグランジンD2 に「催眠作用」があるのは、単なる偶然でしょうか。

そもそも同じプロスタグランジンではあっても、 E2 と D2 は別の物質です。

果たして月経困難症の症状がある時のプロスタグランジンE2の増加とプロスタグランジンD2の間には、何か関係があるのでしょうか?
 
 

――というわけで、次回はプロスタグランジンD2と睡眠の関係について調べてみたいと思います。
(*今回の「次回」は早いハズ・・・おそらく明日か明後日には!筋肉
 
 


ちなみに。
ロキソニン、バファリン、セデス、ノーシン、イブ、またこれ以外に病院でのみ処方されるボルタレンやポンタールなどのいわゆる解熱鎮痛剤(正式にはNSAIDs(=非ステロイド性抗炎症剤の略でエヌセイズと読む)といいます)は、下図のようにCOX(シクロオキシゲナーゼ)の働きを阻害することにより、プロスタグランジンG2、結果的にプロスタグランジンE2の合成を抑えることによって、抗炎症・鎮痛作用と解熱作用を発揮するのですって拍手合格
(プロスタグランジンE2は脳の視床下部にある体温調節中枢に作用して体温を上昇させるそうです)
 ↓
(この画像もこちらから引用の上改変させていただきました)
 
 
 

そして、いつもの余談ですが。

発達障害(神経発達症)の人はアレルギー性疾患を合併しやすいのだそうです。
実際娘にも気管支喘息と鼻炎があり、特に鼻炎は通年性で、年中鼻づまりや鼻水があって苦しそうだし、勉強にも集中できなさそうです。
そのためこれまでたびたび治療を受けるよう勧めてきたのですが、
「物心がついた時から鼻が詰まっているのが普通だと思ってるから、別に困ってないしぶー
と聞き入れてくれません。
(単に面倒なだけだと思いますが、ADHDや片頭痛の治療は進んで受けたことを思いますと、本当に鼻炎は娘にとっては大した困りごとではないのだと思われますキラキラ
 
ですが、上のプロスタグランジンの図の中に娘と関係のある「月経困難症」「睡眠」「気管支喘息、アレルギー」がそろいもそろって出てきているのは何だか興味深いなぁと思いました。

特に プロスタグランジンD2 が「睡眠」と「気管支喘息、アレルギー」両方の作用を持っているなんて、過眠症の娘が喘息とひどい鼻炎持ちでもあるという事実と何か関係がある気しかしません・・・。