昨夜、娘が息と声とを弾ませながら電話をかけてきました。

「もう寝る前のはずなのに、なんでそんなテンションびっくり!?

と訊ねましたら、

「試験にそなえて体力をつけようと、急遽部屋を(まるく)片付けて、リングフィットアドベンチャーをやってみたゲーム!

とのことでした。


娘が言いますには、"その日にした運動"としてデータ化される運動に到達する前に、準備運動的なストレッチらしき運動があるのだそうです。

具体的には、500m走らされたり、スクワットを30回させられたり。
(*ご存知の方も多いかと思いますのに、結構間違っているかもしれず・・・申し訳ありませんあせる

そのスクワットも、「この角度で○秒間維持!」など厳しく基準が決められていて、満たせなければ容赦なくノーカウントになるのだそう。


で、娘、そのストレッチが終わった段階で

「も・・・もうムリえーんもやもや
(*何か知らないけど、今日から急に絵文字が拡大・縮小できるようになってるポーンハッ!!!

 

となりまして、結局初日は本格的な運動にすら到達できずに リタイア してしまったという、ありえない結末でしたゲロー

 

 

 


――というのは余談でして、今日、娘からこんなLINEが届きました。

(*画像のサイズの変更の仕方も何か変わってます・・・コレはちょっと困るアセアセ汗


娘から紹介されました記事を、以下に転載いたします。

↓↓

『 ADHDの眠気、遺伝子が影響か 浜松医大グループ研究 2020/8/20 09:30』

 浜松医科大子どものこころの発達研究センター(浜松市東区)の高橋長秀客員准教授や土屋賢治特任教授らの研究グループが19日までに、ナルコレプシーと呼ばれる睡眠障害と発達障害の一つである注意欠如多動症(ADHD)の特性が遺伝的に関連していることを明らかにした。ADHDを有する人が日中に感じることの多い眠気は、体質として遺伝子の影響である可能性が高いことが示された研究結果は米国の精神医学誌で発表した。
 研究は、同センターが出生から追跡研究をしている8~9歳の726人を対象に約650万カ所の遺伝子変化を解析し、睡眠障害と関連する遺伝子変化の度合いを表す「ポリジェニックリスクスコア」を計算した。同スコアが高いと、多動性・衝動性症状や不注意症状を測定する尺度の点数も高くなる傾向が示された。神経伝達物質「ドーパミン」に関与する遺伝子変化が、睡眠障害とADHDに共通していることも分かった。
 同センターによるとADHDは、じっとするのが苦手な多動性・衝動性症状や集中力の持続が難しい不注意症状が特徴で、18歳以下の約5%、成人の約2.5%に見られる。ADHDを有する人が思春期前後から日中に強く生じやすい眠気は、不規則な生活習慣や睡眠不足が原因だとして、学校や職場などで「怠けている」と誤解されるケースが多いという。
 高橋客員准教授は「ADHDを有する人の支援に携わる家族や教員、同僚などが眠気を体質だと理解し、より良い支援につなげてほしい」と話す。

*   *   *   *


これは、ナルコレプシーと呼ばれる睡眠障害と注意欠如多動症(ADHD)に見られる多動性・衝動性と不注意症状が遺伝的に関連していることを世界で初めて見出した研究なのだそうです。

少し前の記事のようですが、お恥ずかしながら私はぜんぜん知りませんでした滝汗
(*ちなみにナルコレプシーを含め、睡眠に関する研究は約百年前から日本が世界の研究を牽引しているのですって! そういえばナルコレプシーの病因と関係の深い物質オレキシンを発見したのも日本人でしたうーん

 

 

上の記事だけですと少し分かりづらかったので、 論文掲載にあたり8月17日に浜松医科大学から出されました報道発表と、 2019年12月号の「睡眠医療 ナルコレプシー特集号」 という雑誌を見てみました結果、もう少しだけ詳しいことが分かりました。


まとめますと以下のような感じです。


・ADHDでは、思春期前後から日中に強い眠気を感じることが多いことが知られていたが、その原因については明らかになっていなかった。
・ADHDの原因は、環境要因と遺伝子の変化の組み合わせが関与していることが分かっている。うち遺伝子の変化については数多く同定されており、それらが多数組み合わさることでADHDと診断される確率が高くなるとされている。
(*つまりADHDで見られる遺伝子変異は何種類もあり、それらをたくさん持っているほど特性も強くなる・・・ということでしょうか?)
・一方ナルコレプシーの原因としては、日本人ナルコレプシー患者のほぼ100%、ヨーロッパ系集団患者の約98%で認められるHLA-DRD2という白血球抗原の遺伝子が関わっていることが知られていた。
・しかし、近年の東京大学の徳永教授らの研究で、これ以外にも多くの遺伝子の変化がナルコレプシーの発症に関係していることが判明し、膨大な患者の遺伝子データをもとに"ナルコレプシーの発症リスク(=ナルコレプシーに対する遺伝的なりやすさ)"を算出することのできる「ポリジェニック リスク スコア」も開発されている。
(*ナルコレプシーの原因遺伝子変異を持っていても全員が発症するわけではないので、その発症確率を算出するためのスコアだそうです)
・今回の研究では、このポリジェニック リスク スコアと、世界で広く使用されているADHD傾向を判定するADHD-RSという質問紙を用いて双方の関連性を検討したところ、ポリジェニック リスク スコアが高いと、ADHD-RSでの多動性・衝動性症状や不注意症状を測定する尺度の点数も高くなる傾向があることが判明した。
・続いてナルコレプシーとADHD特性の両方に関与する遺伝子のセットがないか検討したところ、神経伝達物質であるドーパミンに関与する遺伝子や、免疫系・鉄代謝・神経細胞を支える働きをするグリア細胞に関与する遺伝子が共通していることを見出した。
(*詳細は論文には書かれているはずですが、現時点ではネットで見つけることはできませんでした汗
・これは、ADHDで広く使われている治療薬と、ナルコレプシーに用いられることが多い治療薬が『メチルフェニデート』という共通の成分で作られている理由を裏付ける結果ともいえる。
(註:これについては、前者はコンサータのことだと思われますが、後者が何の薬のことを指しているか分かりませんでした。少なくともモディオダール(モダフィニル)のことではないと思われるのですが・・・)
・今回の結果から、ADHD特性を持つ方が日中に強い眠気を感じることが多いのは、生活リズムの乱れなどだけでなく、遺伝子の影響すなわち体質に由来する可能性が高いと考えられた。
・ADHD特性を持つ方のみでなく、ADHD特性を持つ方に関わる方やサポートする方がこのような視点を持つことで、より良好な社会適応を目指すことが可能になると考えられる。





・・・すみません、だらだらと分かりづらくなってしまいましたが、要するに

○ナルコレプシーを発症する可能性が高い人ほど、ADHDの特性も強い傾向にある
○ADHDとナルコレプシーでは共通した遺伝子変異があり、それはドパミンなどADHDで認められるとされている異常に関わっている遺伝子である


ということのようです。




そういえば、これまでの記事で何度か書かせていただきましたように、

ADHDの約半数が睡眠障害、特に過眠症を合併していて、それらは普通の過眠症とは分けて「発達障害関連過眠症」と呼ばれている

そうです。

 


また、今日ヤフーニュースにあがっておりました
「ADHDの25~50%に睡眠障害 発達障害を持った6~15歳に使える、子供用睡眠改善薬『メラトベル』の効果」
という記事の中にも

ASDの40~80%、ADHDの25~50%に睡眠障害がみられるといわれます

という記述がありました。

 

娘も、思春期前後どころか生後数ヶ月から睡眠障害(最初は概日リズム睡眠-覚醒障害だったと思います)に悩まされ(*←悩まされていたのは私たち親ですがゲラゲラ)、あとから振り返って娘から聞いたところによりますと、小学校に入学した頃には『過眠症状』が出現していたようです。

 


そしてまだ娘が発達障害だとは考えていなかった今年の2月に前医の睡眠外来で受けました検査の結果が

「ナルコレプシーかどうかはグレー。可能性は(概日リズム睡眠-覚醒障害と)半々」

でしたことは、2/6の記事で書かせていただきました通りです。

 



また、2/25の〈 ロゼレムを飲み始めて2週間(とちょっと)が経ちました 〉という記事では、上でも紹介させていただきました2019年12月号の「睡眠医療 ナルコレプシー特集号」という雑誌から、以下の内容を抜粋・要約させていただきました。

・ナルコレプシーと発達障害の関連性を指摘する論文は多い。
・睡眠障害(ナルコレプシーに限らず)は、特にADHDの発症と密接な関連性があるといわれている。
・睡眠時間の減少や睡眠の断片化によってADHDの症状が増悪するとの報告もある。
・幼少期にADHDがある場合、成長してナルコレプシーを合併する確率は健常人に比べ約2倍になるとの報告がある。
・逆に、成人のナルコレプシーは幼少期にADHDの症状があったとの論文もある。(17歳の男子高校生で、ナルコレプシーと診断された後、幼少期から注意欠如症状があることが分かり、あらためてADHDとナルコレプシーの合併と診断された症例が載っていました)




――つまりつまり。

発達障害、特にADHDに合併する過眠症は、症状・検査結果( 反復睡眠潜時検査(MSLT) )ともにナルコレプシーに非常によく似ていること、また両者は合併しやすいことが以前から指摘されていたが、今回の浜松医科大学の研究によって、単に「似ている」のではなく遺伝子レベルで共通していることが証明された

ということなのですよね。

 



これはすごいことではないでしょうか。

 


娘の過眠症も、私の中では「発達障害関連過眠症」だという結論になっておりましたが、睡眠外来の検査で
「ナルコレプシーかどうかグレー」
と言われましたことがモヤモヤと引っかかってはおりました。

 


娘の場合、症状的にもナルコレプシーの診断基準にかなり当てはまっておりましたし(*右差し↓の記事で書かせていただいてます)

 

 

反復睡眠潜時検査(MSLT)という検査の結果からも「ナルコレプシーと診断することも可能」とまで言われましたので、

「じゃあ何で"ナルコレプシー"にはならないの? もともと発達障害(ADHD)があれば、たとえナルコレプシーの診断基準を満たしていても、診断は"ナルコレプシー"ではなく"発達障害関連過眠症"になるのはどうしてなんだろううーん?

とちょっぴり不思議でした。

 


ですが、それが今回の結果で

「発達障害関連過眠症」は、実は「ナルコレプシー」そのものの可能性がある

らしいことが分かって、ものすごく腑に落ちて、スッキリすることができましたキラキラ
 

 



――さて、こうなりますと次に気になってきますのは、

果たしてナルコレプシー患者さんのうちどのくらいが発達障害(ADHD)を合併しているのだろう?

ということです。


上で紹介させていただきました雑誌からの抜粋文の中に


・逆に、成人のナルコレプシーは幼少期にADHDの症状があったとの論文もある。
 

という一文がありましたが、これが本当でしたら、

 

ナルコレプシーは独立した疾患ではなくADHDの一症状

という考え方が成り立つ可能性もあるのでしょうか・・・?
(*さすがに飛躍しすぎですねゲラゲラ
 

 


・・・娘を見ていてつくづく思いますのは、発達障害(ADHD)は日常生活に支障を来す実にさまざまな"不調"を合併しているということです。
自律神経の機能障害、片頭痛、アレルギー性疾患、過敏性腸症候群、さまざまな精神疾患などなど。
ADHDの特性だけでもしんどいと思いますのに、本当に、あまりにも大変そうです。

医学の世界は日進月歩晴れお月様
これらの関連がいつか解き明かされ、治療が可能となり、発達障害という特性を抱えた人たちが少しでも生きやすくなる日が来るといいなぁ・・・と思いました。
(*何だかよく分からない結論・・・申し訳ありませんアセアセお願いあせる