『はぁ』

左って…

曲がる?

前を見ると青い看板と言うか道案内には、鎌倉と書いてあった。

『今どこ?』

居眠りしていた彼が目を覚ました。

『今ここ』
正直どこかわからない。が、ナビ通り走ってきた。

『あっ!ヤバイ。ごめんなさい』
ナビの言っていた左方向の道を通り過ぎてしまった。
『大丈夫だよ。次に曲がればいいでしょ』

『そっか、あっ鎌倉って書いてあったけど、鎌倉って近いの?』

『書いてあったなら近いでしょ』

『だよね。私鎌倉行ったこと1度もないんだぁ』

『んじゃ行こうか?』

マジで!
行きたかった。
って事は、会社のパソコンの待受画面の江ノ島海岸を見ることが出来るんだぁ!
鎌倉の大仏様も見ること出来るんだぁ!

と…

思ったが…

またナビが
300メートル先左方向です。

どうする…

ん…

お腹が…

ぐるぐる始まった。

『行きたいけど、また今度にしようか?』

『いいよ!んじゃ銀座でも行こうか?』

『遠回りにならない?』

『別にならないよ!ってかそろそろトイレタイムだなぁ。次曲がって一番最初のコンビニ寄って』

『うんわかった』

『だからそれワイパーだって。何回間違えるんだか』
トホホ

『ごめんなさい』

左折すると、二車線の道路になった。

『あっコンビニ!』

『車とめられないよ!』

『んじゃ次』

『あっ、大きなスーパー発見!』

『そこでいい』

『了解!』

『今度は間違えなかったね!』

ウインカーとワイパーを間違えずに曲がる事に成功した。
次は車庫入れ。

得意分野のひとつだったけど、大きな車だけに緊張する。

ピーピーピーピー

上手くバックしてハンドルをきる。

一発で車庫入れ完了。

そして、お腹ピーも限界ギリギリセーフ。

『じゃ取り敢えずトイレタイムね。』

2人でトイレに向かって、エスカレーターに乗った。
『ここで30分休憩しようね』

ラッキー

下痢になるのがわかっていたので、この30分が勝負だった。

『んじゃ30分後にここで待ち合わせね』

走り出した。

運転に自信がないわけではない。

確かに昨日もちょっとの距離を運転した。

だけど…

右ハンドルの外車。

ウインカーが逆。

間違えないようにしないと。

えっ…

『メガネをさっきの店に置いてきちゃった』

『はぁ…』
狭い道を入り、さっきの店前なんとか到着。

ハザードどこだ?

あった!この三角マーク。

動揺しないように。
ボタンを押した。

『ちょっと取ってくるね』

店の人達もメガネの忘れ物に気付いていたっぽく、手渡された姿にほっとした。

『あった。店の人が気付いていたよ』

はいはい。見ていたのでわかってますよ!
なんて言わず。

『良かったっ』

ってか、ここからが私緊張するんですよねぇ…
ちっとも良くない。

昨日はこの車運転していいの?
私を信用しているの?
なんて可愛いこと思っていたけど、ぶつけないように。車間距離きちんとあけないと。

でも、この車。長い距離を私が運転。

頑張ろう!

気合いを入れた。

『保険は、確か…他の人も運転しつ大丈夫なやつだったよな?』

ぼそっと呟く彼

ってか、他の人運転させた事ないんだぁ…

と、

『それ、ワイパー!』

『おっと』

つい、左がウインカーを忘れてしまってる。

『運転代行の人もよく間違う』

代行は運転させているんだ。
って当たり前かぁ

さてと。
『内輪差あるの知ってる?』

『知ってまぁす。気をつけまぁす』

うっ、そんなにうるさくないけど、喋りながら運転するかぁって気持ちになってきた。

『車間距離は電柱一本分の30メートルっと。きっちりあけてますよぉ。基本ですから!』

安全運転を誓ったが…

『ベラベラ喋りすぎ!』怒られた

トホホ…

音楽をかけてくれた。


『この先ずっと真っ直ぐだから、少し寝るね』

『うん。いいよ』

とは言ったものの…

知らない道。
予習もしてない道。

誓った安全運転。


眠くならないためにも、音楽に合わせてハミング。
いや、鼻歌かぁ。

歌いながら、運転した。

ん

腸の調子がちょっと活発化してきた気がした。

大磯ロングビーチ

知ってる。
それこそテレビで見たことある。

ってか、結構いい運転してるのかなぁ。

ちょっと寝息が聞こえるし。

もうちょっと寝させてあげようっと。


周りの景色など見る余裕などちっともない。

彼の車。

すれ違う車の人は、旦那は寝ていて奥さんが運転しているんだ!
なんて思われているのかなぁ…

外車だからなのか、あおられる事もなく、スピードもあげることもなく。
私のスーパー軽自動車とは大違い。

一時間以上が過ぎていた。
かなりの距離を走ったつもり。


突然ナビがしゃべり始めた。

この先左方向です。
角の席。

人が通る度に見られている気がするが、他にも何人かバーベキューをしている。

そうだ。
2人でアウトドアな事って初めてだ。

『これ焼こう!』

『えっこんなにたくさん買い物してたんだ』

こんなにたくさんと言うほど、気付けばテーブルの上には魚貝類があった。

『まずは、このエビ。生で食べると旨いらしいから』
と手渡されたエビ。

しょうゆにつけてひとくち。

『甘い!超美味しい!』
『うん。旨いね。で、このエビのしっぽを焼くんだよね』

『えっ?』

『旨いらしい…』

『次はハマグリ焼くかな』

『いいねぇ』

と…

私そう言えば…

貝類が大好きだけど、決まって1時間後には…

下痢するんだよな…

不安がよぎった

が、美味しいものと楽しさと彼が買ってきてくれたものに負けた。

『ホタテだ。幸せ』

『美味しいでしょ?』

『うん。ここ最高!』

『何度かテレビで見ていて、一度来てみたかったんだよね』

『へぇ~。あっ!沢山サインがあるね!』

『だから、テレビで見たって言ってるじゃん』

『そっかぁ』

そんな会話をしている中で、ハマグリが口を開いた。

美味しそう。

でも1時間後がコワい。

なんて思いながらも、ペロリと平らげた。

激うま。

何だかんだで焼くものもお腹も満足し始めた。

お片付けをしながら、周りを見回した。

私たちだけになっていた。

『さてと、買い物してお土産買って帰ろうか?』
『うん!』

席を立った。

まだ下痢の兆候は出てきていないが、帰るまでお願いだからお腹よ!痛くならないで。と願うばかりだった。

会社の人達へのお土産と家で待っている息子達にお土産を買った。

食べ物。

なるべくナマモノでないものを選んだ。
市場なのに。


そして、さっきとめた車の場所まで戻った。

『運転よろしく』

やっぱりそうか…

『了解』

イスを自分の位置に変え、エンジンをかける。

ってか、どこまで運転するの?わたし…