イノベーションの成功と失敗 | 龍の毎週つまみ読み 書評

龍の毎週つまみ読み 書評

一週一冊。ジャンルで多いのは、ビジネス、文芸、歴史、教養、社会、時々ミステリー。

読んだことのない本でも、"つまみ読み"した感じになります。

フレーズどんどん使ってください。

のんびり週末。

週末食べ過ぎたため、少し多めにジムで運動。

今週も忙しい週になりそうです。

今日の一冊。


イノベーションの成功と失敗ー戦前戦中から戦後に至る日本型イノベーションの真実ー/同文舘出版
¥1,944
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戦前から戦後の日本におけるイノベーションの歴史を追い、その成功と失敗を検証し、今後の日本の取るべき選択肢を示した書籍。

この本は、元ソニーの技術戦略部部長であった武田氏と大学発ベンチャーに造詣が深い小樽商科大学ビジネススクールの瀬戸教授によって書かれています。対象としているのは、テクノロジーベンチャー。戦後日本を支えたベンチャー群の発展の歴史を戦前、戦中の技術の蓄積と、戦争での利用の失敗を紹介しつつ論を展開しています。

第一部では、戦前の日本における造船・航空機・レーダーの核心的なイノベーションを技術的な細かな部分も含めて書かれています。戦前から技術的に優れていたにも関わらず、戦争という場面では失敗してしまったこと。しかし、その戦中に培われた技術や技術者たちが戦後のテクノロジーベンチャーを支える礎になったということが分かります。個人的に印象深いところは、

以下、本書より引用。「ごく少数の世界的メーカーが頂点に立つためには、それ以前にプラグやケーブルといった小さな部品を精度高く作れる無数の中小部品メーカーがあってはじめて可能となる。・・・(中略)・・・それゆえに、中小部品メーカーこそが真の国富そのものなのだ。」

産業全体からみた技術水準の高さは、そういうところにあるのだと、再認識させられました。

第二部では、戦後日本の核心的イノベーションということで、トランジスタとエレクトロニクスの歴史を、ソニーを中心とした企業を通して書かれています。なぜソニーが成功したのか、そしてアップルに敗れたのか、イノベーションという見地から考察していくことができます。

第三部では、それまでの歴史の流れを踏まえ、イノベーションの発生プロセスを概念化し、さらにそれを今後も実現していくための方策を提言していきます。

イノベーションの方程式=知の創造+知の具現化+知の商業化

これは、シュンペータが言っている「新結合」の具体的な実現のための道しるべとなるものです。すなわち、最初に知の創造があり、それを具現化し、最終的な出口戦略として商業化があるということなのです。世の中には様々な場面で、イノベーションという言葉が使われていますが、実際にそのイノベーションを行うためにどうしたらよいかは漠然とした概念的なものばかりでした。本書は、“日本の”イノベーションの歴史を追うことで、実際に成功したモデルを基にこの方程式を導き出している点が類書と全く異なるところです。日本がこの先、さらなるイノベーションを起こすために、必要なヒントがたくさんある書籍。

お勧めです。

知れば知るほど得する税金の本 (知的生きかた文庫)/三笠書房

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