「あれ?珍しく影山が朝練きてないんだー。」
主将があたりを見回して言う。
「ほんとだー!...と、そーいえばこの前すごく悩んでたような...」
日向が思い出しながらいう。
それを耳にする田中はなんとか明日香がしてくれてるといいけど...と思う。
朝練が終わった頃に影山は学校についた。
昨日は土曜日に引き続き香織を慰めていた。
土曜日の夜にも日曜日にも田中からメールも連絡も来なかったからだ。
(あの男はなにかんがえてるんだ...)
そっと席につくとすぐさま明日香がやってきた。
「影山おはよう。」
普通に無視して窓の外をながめ始めた。
「無視するのもしょーがないわね。いっとくけど中学時代の私はもっとひどいことされたから。」
「...どんなことだよ。」
「あれ見てわからないの?男完全にとられたのよ?ほんとありえない。人の彼氏奪ってったの。しかもあいつが奪った癖に私がすべて悪いことになったのよ。やってられないわ」
正直下らないと思った影山。
そんなんで仕返しする理由もわかない。
すると、近くにいた女子がひそひそドアの方を見ながら話始める。
「ドアに怖いひといるよ...」
「ほんとだ...野球部の人かな?」
影山と明日香もつられてドアを見ると
「田中さん」
影山がボソッと言う。
田中がそんな影山に気がつき『こっちこい』と手で合図してきたので、影山はドアの方に向かった。
「なんですか」
あのときと変わらずトゲがある言葉。
「香織は?」
「まだ来てないです」
「そっか...」
少し落ち込んだ感じで頭をポリポリとかきはじめる。
田中がひらめいたかのように
「香織に今日の夜8時にいつもの公園って伝えてくれ!じゃあな!」
田中はそれだけ言って急いで教室に戻っていった。
それと同時に香織が教室までやってきた。
「...昨日は大丈夫だった?」
「結局龍からなにも連絡こなかったな」
へへっと笑いながらいってるがやはり悲しげ。
「...」
さっき田中が言ってたことがなかなか言えないまま放課後がきてしまった。
ずっと落ち込みっぱなしの香織。
そんな香織が見てられなくなった影山が
「お、おい!田中さんがいつもの公園に8時だってさ!」
「...えっ?龍が?ほんとっ?」
ぱーっと笑顔を見せる香織。
「あぁ。」
「ありがと...!」
さっきまでの落ち込みが嘘かのような笑顔。
喜んで教室からでようとしたら
「本当にいくのか?」
「ん?うん!ありがとー!龍と話せるだけで嬉しいから...!!」
頬を赤くして教室をでていった。
影山はふとおもった。
なんで今呼び止めてしまったのだろうか...
(...嬉しいけど辛いに決まってんじゃん...)
あのとき影山に見せた笑顔は無理してた笑顔であった。
「さっみー...早く香織こねぇかな...」
田中が一人寂しくベンチに座ってる。
「...あと五分」
待ち合わせまであと五分。
そのとき人の足音が聞こえたので田中は立ち上がった。
「...龍」
目の前には香織がたっていた。
「香織!なんであのとき先帰っちまったんだよ!」
「あんなの見たら帰りたくなるよ...」
「あんなの?」
田中にはあんなのがわからなかった。
「だって...明日香とっ...」
田中はすぐに察した。
もしかして明日香と一緒に観覧車に乗ったことなんじゃないかと。
「あれは、しょーが...」
しょうがないことも言おうとしたとき
「キス。した...」
「........................え?」
一気に田中がよくわからなくなる。
「だから、観覧車のなかで明日香とキスしたじゃん!」
「えっ?はい!?なんのことかさっぱりわからないんだけど!」
「とぼけてもだめよ!...私と龍だってしたことないのに!」
すごい泣きながら香織がいってきた。
それに田中が胸キュンしてしまい不意に抱き締めてしまった。
「りゅ。りゅう?」
「はぁ。何を勘違いしてるかわからないけど、俺には香織だけ!いいな?」
抱き締めながらもぽんぽんと頭を撫でる。
そっと腕を緩めて二人は見つめあい、
香織が目をつぶる。
「ぅぐ...」
あまりの可愛さに襲ってしまいたいぐらいだ。
田中も心の準備ができそっと顔を近づける、
そのとき
プルルルルルルル!
「あぎゃ!ご、ごめん!」
香織が自分の携帯を取りだし電話出る。
そのとたん電話は切れてしまった。
「誰だったんだろう?間違い電話かな?」
そういって香織が笑う。
それにつられて田中も笑う。
この日できなかったことは残念だが別に早まることはないかと田中は思っていた。
その頃影山は二人のいる公園の前にいた。
なんで、なんであんなことしたんだろうか。
なんでこんなにも辛いんだろうか。
なんであんな二人を引き離すような電話をかけてしまったんだろうか
自分で自分がわからない...