以前読んだ、くりぃむしちゅー上田晋也さんの「赤面」は上田さんが20代だった頃のことを綴ったエッセイで面白かった。そんなわけで、上田さんの書いた他のエッセイも読んでみたくなり、2021年に上梓された初エッセイ「経験」を今読みはじめたところだ。「赤面」同様、上田節のテンションでこれまた面白い。
上田節。たとえば、友人と行ったゴルフウェアのお店で、5~6年も付き合い、結婚も考えたという元カノとばったり会ったというエピソードのなかでそれは炸裂する。彼女の声を聞いても、友人から彼女の名前を聞いても、最初は彼女が誰なのかわからず、やっと気づいた時の気まずさ・動揺がおさまるまでを「たとえツッコミ」さながらにこう綴った。
エクストラバージンオリーブオイルばりにねっとりとした汗を、夏の甲子園のマウンドばりに大量にかき、ハツカネズミと同じくらいの速さで打っていた心臓の鼓動が、元のリズムに戻るのに、「どん兵衛」ができるくらいの時間を要したように思う
たとえの連発が生むクドさが好きだ。