小説を読むのは苦手だ。登場人物が4人以上出てきたら、もうストーリーがわからなくなってしまうし、読解力がないから行間を読むこともできない。そして、ページ数が多くて読むのがしんどい。あと、「これから面白い展開が待ち受けているはず」と期待しながら頑張って読んでも面白さを感じることができず、結局、苦痛なまま読書が終わることがよくあった。だから小説を読むのは苦手だ。
ただ、エッセイを読むのは好きだ。小説と逆で、そんなに登場人物は出てこないし、「行間を読む」なんてこともなく、くだけた文章で読みやすい。そして、数ページで完結するから、読んでいてしんどくない。なにより、著者の考えていることや思ったこと、気づいたことなどを知ることができ面白い。だからエッセイを読むのは好きだ。
そんなわけで、読書といえば誰かのエッセイ集だったのだが、新聞や雑誌などに掲載されたベストなエッセイを名だたる作家陣が選考してまとめた「ベスト・エッセイ」という一冊があるとは知らなかった。毎年発行されているらしいが、今回図書館で借りたのは「ベスト・エッセイ2023」。
ここ数年、作品の感想でよく見聞きするようになった「伏線」と「伏線」という言葉の違和感を綴った細馬宏通さんの『「伏線」と「伏線」』は頷けるものがあった。今年は日大の理事長として色々と大変だった林真理子さんの『母校へ、ただいま!』では、若い頃は当たり前すぎて若いことの良さにあまり気づけないものだと感慨深くなった。オヤジギャグを考察した三浦しをんさんの『オヤジギャグの道理』では、自分も良い歳の取り方をしたいと思った。