人生、悩みは尽きない。溜め息もでないくらい尽きない。
「悩みがあるから人生が味わい深くなる」とはよく言うが、それは幸せな人間が余裕ぶっこいて言い放つ無責任な言葉に思えてならない。
「悩みがあるから人生が味わい深くなる」。確かに理屈ではそうだろう。しかし、悩んでいる最中、その言葉を何度も心に言い聞かせだところで問題は解決しないし、気持ちを落ち着かせることもできない。
悩んでいる時というのは、どうにかして解決策はないかと答えを探し、あーでもないこーでもないと頭をひねってしまうものだ。ただ、いくら考えたところでズバリ答えが導き出され、悩みが解消したなんてことはほとんどない(僕の34年の人生では)。それでも僕は、その悩みが大きな問題に発展してしまうことはなく、なんとなくやってこれたのである。
かつてザ・ハイロウズは名曲「千年メダル」のなかで「答えなんかない方が その方がいいから」なんて歌っていたが、答えを探して悩んでいた時間が無駄だったと思えるほど、僕は本当になんとなくやってこれたのである(運がよかっただけかも)。
日々悩みは尽きないが、この「なんとなくやってこれた」が僕のなかでは大きな自信となっている。
さて、先日読み終えた美術家の横尾忠則氏の「死なないつもり」は、横尾氏の創作、老い、人生について語った一冊で、おカタい内容は一切なく、サクサクと気持ちよく読めた。なかでも強く印象に残ったのは、本書の最後を締めくくったこんな言葉。
もともと答えなんかないんですよ。ほっとけば、そのうち答えは出てきます。気がついたら無意識に答えをやっていることもあるし、しばらくして問題から離れてしまった、問題があったことすら忘れてしまったということもあります。それが答えなんですね。
理屈をこねないで、無頓着で暮らすのが一番です。質問を続けない、答えを求めない。 だから、ここらへんで終わりにしましょう。
答えを探そうと悩んでしまった時に思い出したい。