if… 雑貨屋「宇宙堂」 番外編  Sentimental.2 再↑ | Blue in Blue fu-minのブログ〈☆嵐&大宮小説☆〉

Blue in Blue fu-minのブログ〈☆嵐&大宮小説☆〉

嵐、特に大野さんに溺れています。
「空へ、望む未来へ」は5人に演じて欲しいなと思って作った絆がテーマのストーリーです。
他に、BL、妄想、ファンタジー、色々あります(大宮メイン♡)
よろしかったらお寄りください☆


★えええーーーっつ!! どこーーー!!(ノ゚ο゚)ノ

再UPするけどさ…。

分からんヽ(`Д´)ノ★

 

 

 

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

 

 

 

車は俺を運ぶ、遠ざける。

 

宇宙堂から、サトシから。

 

 

 

 

 

 

「…ほんで、和くんの彼氏ってのが、ジュンの失恋相手なんやろ?」

 
助手席で亮がさらりと言う。
 
ふん、そこまで気付かれてたのか。
 
「…お前らってさ、そういうとこ、やけに勘が働くよな」
「そんなん丸分かりやったわ。大事な人なんやってその人のこと話すとき、ジュンめっちゃいい顔して話しよるし。な、ヨコ」
 
 
「そうそう、そんで和くんの様子聞くときは、なんか複雑な表情やった」
「うん、ちょっと顔がキツクなんねん」
「…マジか。そんなに出てたんだ」
「何年一緒におると思うてんねん」
「ほんの4年ほどだけど…」
「友情は長さやない。濃さや、濃さ」
 
 
ヨコがハンドルを叩きながら力説する。
 
「ジュンくらいの顔の濃度やったら、4年も10年分に変換されるんやって」
「せやせや、10年も一緒におれば、お前の恋愛模様くらい簡単に読めるし。それに、分っかりやすい眉毛しとるしな」
「は?」
「ぶはっ、亮、それ言うか?」
「ゆうとった方が、本人のためやて」
「眉、毛…?」
「そう、眉毛。普通、目は口ほどにモノを言うってゆうけど、ジュンは眉毛なんや。寄ったり上がったり下がったりな」
「うん、それと唇な」
「んはっ、そうそう、微妙に端っこがヒクヒクしよるねん」
「俺、心理学やっとるけどめっちゃ勉強になったわ。な、卒論のテーマにしてもええか?」
「『口ほどにモノをゆう眉毛と、声出さんでも語る唇』か、ええな。俺も俺も」
 
「…俺の顔、どんなシステムなんだよ」
 
ケラケラ、狭い車内に笑い声が充満する。
 
ああ、うるせぇ…
 
「ジュン、眉毛、笑ろてるでぇ」
 
ルームミラーに並ぶ二つの顔。
 
楽しそうにニタニタ笑ってやがる。
くそ、遊びやがって。
 
ふふ…
 
 
笑って、笑われて…  肩の力が抜けた。
 
 
「なんか気ぃ抜けたわ」
「お、ジュンの関西弁。めっちゃオトコ前やな」
「移ってしもた」
「あはは、亮も結局東京弁に成れへんかったしな。関西弁はどっかの菌よりよっぽどしぶといねん」
「菌かよ。ってか、こんだけ蔓延してんやから、いっその事、日本の標準語にならへんかな」
「それだけはムリやて」
「なんで?」
「国会答弁が、まんま吉本新喜劇になりよるわ。座っとるおっさんらも、みな、芸人さんみたいなビジュアルしとるし」
 
 
『首相は、今回の問題についてどない思てますのん?』
『いやー、わては、一切記憶にありませんねん』
『ええかげんなことばっか、言わんといて〜』
『せやから、知らんて言うとりまんがな』
 
ぶっ、ヨコ、
関西弁の国会中継とか。
 
「てか、おま、今どき、”まんがな”とか言わんやろ」
「えー、うそぉ、俺んちの姉ちゃん、言うでー」
「…姉ちゃんって、あの色白別嬪さんの? …そら、ツワモン(強者)やな」
「そーよ。でんがな、まんがな、ですねん、まんねん、バシバシやで」
 
 
「…ぅわー、なんか、へこむわ…」
「そぉかぁ?」
「う〜ん、やっぱ、日本全国関西弁化計画は止めとこ」
「えー、なんでー?」
「それが日本の輝く未来のためやし」
「うははは、輝く未来ときたかー」
 
ふふ、あほなやつら。
 
ちゃんと前見て運転してくれよ。
 
 
車は郊外を抜け、見渡す緑の中、まるで空(くう)を滑るように走っている。
 
 
昨日までの雨に洗われて鮮やかに色付く木々の隙間、ポツポツ家が点在している。
古い木造の、まるで「宇宙堂」のような。
 
 
 
 
一昨日、俺はサトシに逢いに宇宙堂を訪れた。
 
 
どうしても、もう一度だけ、試してみたかったんだ。
 
 
最後の最後。
 
 
 
この手を伸ばした。
 
 
 
サトシは、初めて見るような穏やかな表情で出迎えてくれた。
 
『ジュン、いらっしゃい。待ってたよ』
 
…あんなセリフ、初めて聞いた。
 
 
サトシはずっと笑みを浮かべたままで、美味いコーヒーを淹れてくれて、アメリカでの礼と、俺が、ずっとカズを支えてくれたことにすごく感謝していると言った。
 
 
俺がカズに仕掛けたイタズラに、少しだけクレームを付けてきたが、それも見てるこっちが擽ったくなるような照れた表情で。
 
 
『ホントに色々ありがとう。ジュンがいたからおれもかずも頑張れた』
 
 
 
…いや、違う。
全部、あんたのためだったんだよ。
 
カズが笑えばサトシも笑った。
カズが泣けばサトシも泣いた。
 
なら、カズが生きてこの世にいるとなれば、サトシも生きてこの世にいようとしてくれるんじゃないかって思ってさ。
 
サトシはいつともしれない爆弾を抱えながら、それでも飄々と過ごしていた。
 
 
あの雑貨屋で、種々雑多なモノに囲まれて、今にも朽ち落ちてしまいそうなあの古い小さな家でひっそりと。
 
 
 
焦っていた。
 
俺が医者になってその命を救うのが先か、それとも生きる意欲の無い肉体を、病魔が喰い尽くしてしまうのが先か。
 
せめて、心を強く持ってほしかった。
医者を目指してる俺が言うのも何だけど、病は気から…、それはホントなんだってのに…。
 
サトシは何も言わず、何も求めず、ただ運命を受け入れていた。
 
昔一緒に夜空を見上げた時の瞳の輝きは、とっくに失われていた。
 
 
俺がどんなに元気づけようとしても、その言葉はキレイな横顔を素通りするだけだった。
 
 
そう、カズが現れるまでは。
 
 
 
 
「あ、ほら、出口やぞ」
「降りて、右行って国道に出て」
「よっしゃー!」
「俺、腹減ってきたわ」
「ふふ、失恋したって何したって、腹は減るんもんな」
「そぉよ。それが生きてるってことじゃないですかぁ」
「せやせや、美味いもん食うて腹膨れれば、きっと明るい明日がやって来るって」
 
なんだよ、そのくっさいセリフ。
 
 
 
 
 
雨に打たれて、泣いているような音を立てるくすんだ色の窓ガラス、
それと、微かに聞こえる時を刻む古時計。
 
他になにもなくて、とても静かで、俺の鼓動が聞えてしまうんじゃないかってほど。
 
 
俺は雨音に紛れてサトシに言った。
 
ずっと好きだった
カズなんかよりもずっとずっと前から
俺は、サトシの全部を知っているんだ
 
って。
 
『…ごめん、おれにとってジュンは、ずっと可愛い弟なんだ…。ーっつ、あっ!』
 
手を伸ばした。
俺が唯一知らないそのカラダに。
 
ガタン!
 
サトシの言葉が終わらぬうちに、床 に押し倒して馬乗りになる。
 
「試してみろよ! やってみなきゃ分かんねぇだろ?」
 
叫んで両手を床に縫い止め、無理矢理に 唇 を 重 ねた。
 
…いや、ムリヤリじゃぁない。
 
サトシは抵抗しなかった。
 
目を開いたまま、為すがままに俺の 唇 を、舌 を受け入れた。
 
俺は、一方的に 舌 を 絡 めて唾 液 を 啜 って。
 
 
長いキスの後、唇を離し、視線を繋げたまま右手をサトシの脚の付根に伸ばした。
 
もちろん、ソコはなんの兆しも見せていなくて。
 
「どうしても、ダメか?」
 
声が、体が、手が震えていたと思う。
ウザイし情けないし、未練タラタラで救いようがない。
それは十分過ぎるほどに分かっていた。
 
それでも縋る俺に、サトシはキッパリと残酷な一言を告げた。
 
『…ジュンじゃ、勃 たないよ。おれにはかずだけだ』
 
 
 
 
 
……The end.
 
 
当たってモロに砕けたってヤツ。
 
 
あああー、もーっ!
俺様としたことが、カッコ悪りぃったらありゃしない。
 
 
 
 
ヨコ、亮。
確かに友情は時間じゃねぇよな。
 
そして愛も時間じゃねぇ。
いくらそばにいようが、ずっと想っていようが、関係ないってことだ。
 
 
 
 
 
車は手入れの行き届いた広い敷地に乗り入れた。
まるで、イギリスの庭園のように手入れの行き届いた青々とした樹々と芝生。
 
「…ほんまにここでええの?」
「そのままエントランス入って。スタッフがパーキングに持ってくから」
「ぅわー、なんつー立派な店や。あんな洒落た入口、大阪にはあらへんで。ちょっと派手さには欠けるけどな。動いてへんし、光ってもおらんし」
「あほ、躍るカニやら、ランニングマンやらと一緒にすなて」
 
 
 
腹一杯美味いもん食って、そしていい明日を迎えよう。
 
俺の人生は、この先ずっと続くんだから。
 
 
 
 
…でも、今夜一晩くらいは、落ち込むだろうけどな。
 
『あほ、飛行機ン中やぞ。堕ちたらあかんやろ』
 
なんて、ツッコミをいれてみたりして。
 
 
一人きりの Midnight flight.
そして、一晩だけの Sentimental.
 
 
 
強気でイケメンの俺様に、明日は戻るから。
 
 
 
きっと、必ず。
 
 
 
 
「追加オーダー、ええかな」
「ヨコ、お前まだ食うんか?」
「ええやろ、ジュン。めっちゃ美味いんやけど、上品すぎて物足りんわ」
「ああ、食え食え。腹割れるほど食っちまえ!」
「おお、やっぱオトコマエやな」
「うん、ほんまや」
 
 
「それが、俺だろ」
 
 
 
 
 
 
 
 
笑ろたな
 
 
うん、ええ笑顔や
 
 
良かったな
 
うん、ほんまにな
 
 
飛行機ン中、泣きよるやろけどな。
 
そこは、触れんでおこ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
おしまい♡
 
 
ありがとうございました♥。
またね~(=⌒▽⌒=)。
 
ぽちと押してね♡