本を片手に、どこまでも。 -1189ページ目

SVAカンボジア図書館ニュース1999年6月7日

今日プノンペンの裁判所で、ポルポト派の幹部であったヌオン・パエットが法廷に立ちます。バンコクポストによるとポルポト派幹部が法廷に立つのは1979年以降初めてのことです。

  1994年7月26日、プノンペンからシアヌークビルに向かう列車がプノンペンから南ヘ130キロ先のカンポット州でクメルージュの兵士に襲われ、それに乗っていた外国人バックパッカー3人(フランス人男性、英国人男性、オーストラリア人男性)が誘拐、殺害されました。この法廷ではこの外国人殺害事件についての判決が出されます。約5年経った今でも事件の内容が定かではありません。

  カンポット州はクメルージュの兵隊が多く残っていた地域です。先月シアヌークビルに絵本を取りに行った時も、カンポット州の近くを通った時チャントンが「幸さん。ここはクメルージュがたくさんいた地域だ。数年前までは撃ち合いをしていたんだよ。」と教えてくれました。バックパッカーの3人が誘拐された時期はまさにまだ戦闘が起こっていた時期でした。3人ともそれを承知で列車でシアヌークビルに行くことを決めたそうです。治安情報はちゃんと守るようにしないと。カンボジアはまだ気を抜けません。



1) タクマオ病院(知的障害児のための病院)への移動図書館

  6月5日土曜日に知的障害児のための病院であるタクマオ病院へ移動図書館に行って来ました。メンバーはチャントン、チャトラー、ポリー、ソポン、ソムナン(アジア子どもの家)、鎌倉でした。

  この日タクマオ病院では子どものためのイベントを行いました。この日は、治療を受けている子ども達だけでなく近所の子どもや治療を受けている子どもの兄弟姉妹も来ていました。

  JSRCは2時半から3時10分までの「おはなしの時間」を担当。病院の待合室が会場です。2時半が近づくと子ども達が入って来ました。看護婦さんに聞いたら20人いる子どものうち3人が患者さんとのこと。みんなが用意されていたござに座ったのを見るとチャントンが子ども達に話しかけました。

  「こんにちは。みんな、右手の人差し指と左手の人差し指を出してごらん。」

  子ども達はチャントンのしぐさをみて、一生懸命まねようとしています。するとチャントンは続けて「じゃあその指と指をくっくけてごらん。」といいました。子ども達は、右手の人差し指と左手の人差し指をくっつけました。これはみんなが出来ました。次にチャントンは、「みんな出来たようだね。じゃあ今度は目をつぶってくっつけてごらん。」これはなかなかくっつきません。何回もやっているうちに子ども達が薄目を開けはじめました。

  「目をつぶると難しくなるね。」とチャントン。続けてチャントンが「じゃあおはなしを聞く前に軽く体操だ。」と言って体を揺らし始めました。子ども達も一緒に体を揺らしています。

  続けてパネルシアターです。まずは動物当てクイズから。丸い形をパネルにはって「これは何色?」と聞きました。子ども達は遠慮気味でなかなか答えが出ません。一人二人が「ピンク」と言っているくらいです。それでも丸い形のフエルトから耳がピョコッと出てくると子ども達も興味深げにパネルの方を見ています。チャントンが「これは何の動物だと思う?」と聞くと、「ウサギ」と前に座っていた子ども達が言いはじめました。「じゃあウサギだと思う人、手を上げて!」。すると子ども達の半分くらいがてを上げました。「じゃあイチニノサンでひっくりかえすよ。」といってひっくり返ると、ウサギの顔が出てきました。「ワア!」と声が上がりました。パネルシアターが進んで行くうちに静かだった子どもたちもチャントンの語りかけに答えるようになりました。動物の体のパーツを一つ一つ貼っていって、動物を当てるパネルシアターになりました。

  まずは足を一本。すると「犬だよ。」「いいや。ウサギさん。」という声が上がりました。体の部分をはったあとチャントンが「じゃあ答えをはるよ!イチニノサン」。チャントンは灰色の体に、茶色の頭をしたイノシシをくっくけました。一瞬の沈黙のあと、「違うよ!」と子ども達。チャントンが「どこが違うの?」と聞くと、すぐさま「頭!」

  おはなしが進むたびに子どもの声も大きくなっていきました。するとそれまで部屋の外にいた病院の先生方が集まって来たのです。部屋の後ろが大人達で埋まってしまいました。病院の先生は、子どもの顔を見て驚いているようです。院長が一言「I seem to see magic now. (今、私は魔法を見ている。)」とつぶやきました。知的障害を持った子どもがおはなしに反応しているのを見て、先生方が写真を取ったり、メモを取りはじめました。

  その後また運動をした後、絵本を使ってのおはなしです。今日は「はらぺこあおむし」と「おおきなかぶ」の読み聞かせをしました。絵本を読んでいるときも、子ども達はじっと絵本を見ています。子どもの中には「おおきなかぶ」をもう知っている子どももいて、チャントンが声に出して言う前に「おばあさんがおじいさんをひっぱって、おじいさんがかぶをひっぱって」といいだし、おはなしをしていたチャントンの方が笑い出すシーンもありました。

  3時10分、定刻通りに終了。でも子ども達は部屋から出ようとしないので、「また来るからね。」といっておはなしの時間を終えました。

  

2) 知的障害を持った子どもの反応

  今回は3人の知的障害を持った子どもが移動図書館に参加しました。(男の子1人、女の子2人)あと障害を持っていない子が大半で、20人くらいいました。おはなしを実際していたチャントンも言っていましたが、最初知的障害を持った子どもはおそるおそるおはなしに参加していました。パネルシアターでも障害を持っていない子どもは積極的にストーリーテラーの対話に参加しますが、知的障害を持った子どもはそれをじっと見ているだけでした。パネルシアターの始まりのころは、障害を持っている子どもだけが答えていました。チャントンが「ウサギだと思う人、手を上げて。」と言っても、上げるのは障害を持っていない子ども達でした。でもだんだんとパネルシアターが進むたびに、障害を持った子ども達が、おそるおそるだけどしっかりと手を上げ始めたのです。最初は戸惑った様子で、手を高らかと上げるというよりは、膝に上げた手の指をチョコンと立てたぐらいでした。でもその内、手を上に上げはじめました。

  絵本を読んでいるときも目は動くことなく絵本を見つめていました。他の子どもは、部屋に出入りする人が気になるのか、音がするたびに振りかえったりしましたが、障害を持った子どもは「凍った様に」絵本を見つめ動きません。最初は、顔の表情を変えることなく絵本を見つめていましたが、「おおきなかぶ」でみんながかぶを引っ張るシーンになると口元をゆるめ、ほほ笑みはじめました。

  実は移動図書館が終わった後、バイヨンテレビと言う放送局が「おはなしをしている場面を撮影したいので、もう一度おはなしをしてくれ。」とリクエストしてきました。そこでさっきおはなしを聞きに来ていた子どもが再度集められました。そしてもう一度、パネルシアターをしました。鎌倉は丁度知的障害を持った女の子の隣に座っていました。チャントンがパネルに動物の一部分をはって、「これは何の動物でしょう。」と聞きました。すると微かに女の子の口が動いたのです。そうして小さな声で「ネコ」をいいました。それは確かにネコだったのです。するとその女の子は手を叩きました。自分の言った動物、それも口で言った答えが当たって嬉しかったのでしょう。それから自信をつけたのか、チャントンが動物の一部をはるたびに、声を出して答えをいっていました。

  鎌倉の尊敬する人の一人に、ライ先生という人がいます。アメリカのバーモント州で勉強しているときに教えてくれた先生の一人です。ライ先生はインドネシアのベトナム人とカンボジア人のための難民キャンプでコーディネーターをしていた頃の話をしてくれたことがあります。ライ先生は元々聴力に障害がある子どもの学校で先生をしていました。そこでは手話で事業をしていたそうです。難民キャンプではコーディネーターとして、アメリカや海外に移住する難民の人へ英語や文化を教えるプロジェクトの運営を行っていました。しばらくしてライ先生は、難民キャンプにも聴力に障害人がたくさんいることを知ります。それを知ると、キャンプ中に「聴力に障害がある人は集まってください。」というポスターを貼ったそう。「本当に集まっているのだろうか。」そういう思いで、集合場所に行くと数え切れないほどの人が集めっていました。でもほとんどが野次馬で、「障害がある人を集めてどうするのだろう。」と思い来ている人達でした。ライ先生は聴力障害の人達に、英語の手話を教えることにしました。その中に一人の男の子がいました。その男の子に身寄りはありませんでした。難民キャンプにも近くにいたおばさんに手を引かれて連れてきてもらったそうです。

  手話教室で、ライ先生は英語を実際話しながら、手話を教えていきました。そうすれば口の動きも覚えることが出来ます。"My name is.”とやっているうちに、教室の窓の方から"My name is”と真似をしている人達がいました。おばあさんやおじいさん方でした。若い人達と一緒の教室で英語を習っていてもついて行けないおじいさんやおばあさんもいつも間にか手話教室に入り、ゆっくり話すライ先生の英語を聞きながら発音をしていました。

  その男の子は最初手話を全然覚えませんでした。なにせ全く手話というものを知らないのです。それに知らない外国人が口をパクパクさせて、指を動かしているのです。何週間過ぎても数ヶ月過ぎても「私の名前は」という手話も覚えてくれませんでした。「この子の頭に手話は、言語として響いていないんだ。」とライ先生があきらめかけた頃、男の子がゆっくりと「私の名前はライです。」と手話で話したのです。ライ先生は驚きました。その時始めて手話が言語としてその男の子の頭に響いたのか、それからはすごい勢いで単語を覚え始めたそう。

  そのときライ先生は「その時、彼の可能性という扉が開いた。」と思ったそうです。

  タクマオの病院であった女の子がどの様な症状で通院しているのか詳しいことは分かりませんが、パネルシアターの最中発した一言も、ライ先生の手話教室の男の子のように、「可能性の扉が開いた」結果になったかも知れません。



3)タクマオ移動図書館のプログラム

1.体操 目をつぶって指を合わす。

2.パネルシアター

3.体のパーツ当て。

4.「はらぺこあおむし」

5.手遊び (指を使って動物、メガネなどを作る。)

6.「おおきなかぶ」



4)思い入れ

  鎌倉は大学にいた頃、心的外傷(トラウマ)を持ったカンボジア難民のクリニックで2年間ほど調査をさせてもらっていたせいか、心的な障害で苦しむカンボジアの人に思い入れがあります。事業は計画に従って運営されています。ですからこの様な病院巡回は特別活動になってしまうのですが、要請があってスタッフがOKということでしたら、またタクマオ病院で移動図書館をやりたいです。

SVAカンボジア図書館ニュース1999年6月3日、4日

今年は去年に比べて涼しい日が続いています。雨も多いです。スヴァイリエン州も午後2時には雨が降り出しました。一度止んだものの、夜中降っていました。チャントンも「ベトナムに嵐が来ているんじゃないかな。」といってくらい。(スヴァイリエン州はベトナムの国境にあります。)洪水とか自然災害にならなければよいのですが。

  今日は6月3日と4日の合併号です。



1)スヴァイリエン州

  昨日、今日とスヴァイリエン州に出張に行って来ました。メンバーはチャトラー、チャントン、ソポル、鎌倉の4人でした。スヴァイリエンはJSRCの学校建設の対象地域ですが、今年から図書館事業も対象地域として活動することになりました。学校建設と同じ対象地域にすると、資料や統計の貸し借りが出来て効率も良いので、新しい対象地域を決めるときにそれを考慮してスヴァイリエンを選びました。今回はスヴァイリエン州教育局、幼稚園一ヶ所、小学校一ヶ所を見学しました。詳しい内容は今チャトラーが報告書を作成しているので、後日送ります。



2)スヴァイリエン州の図書館活動推進計画

今年、スヴァイリエン州の教育局とユニセフが「クラスタースクール開発計画」をまとめました。上位目標に「初等教育過程を終了する子供の数を増加させる」を上げています。また目標として下記の12項目を挙げています。

1.教員の教授方法の効率が上がる。

2・図書館が機能する。

3.子どもの社会的環境内で負の影響を与える要素が減る。

4.生徒の健康状態が改善される。

5.生徒が品行や思いやりを向上しようとする動機付けがされる。

6.生徒が学校の中で座る机がある。

7.一教室の子どもの数が過度ではなくなる。

8.両親が自分の子どもの教育に協力的になる。

9.生徒の使う教科書が十分な数、学校に置かれる。

10.就学率が向上する。

11.生徒の低い生活状況が教育の妨げにならない。

12.生徒が学校外での自己勉学(自習)を促す。



図書館事業としては、スヴァイリエン州のプランに2番の図書館活動を組み入れてもらっていると言うことは、政策に従った活動が出来るという点ではありがたいことです。スヴァイリエン州が上げた「図書館が機能する」という目標の指標は、「1998年-99年度の終わりまでに、4分の5の図書館が、自分達で打ちたてた計画に従い図書館運営ををする。」とあります。



またこの「図書館が機能する。」という目標を達成するための具体的な活動計画として、スヴァイリエン州は下記のような活動内容を打ちたてています。



1.子ども達の読書意欲を刺激するような本を購入する。(1クラスター $100×7クラスター=$700)

2.毎日図書館に来る子供の数をチェックする。(予算不用)

3.子どもが座って本を読めるようにするために、全ての学校にゴザを配布する。(以前に行った)

4.図書館が開く前と後に、図書館員が本の整頓を行う。 (予算不用)

5.図書館員が各衛星校を巡回し、本の整頓を手助けする。

6.大きな衛生校には常設図書館を設置し、小さな衛生校には移動図書館活動を行う。



3)レーク・ソバンナー先生曰く

レーク・ソバンナー先生はスヴァイリエン州教育局の職員です。私達が行った日、スヴァイリエン州の教育局長と副教育局長が不在だったため、ソバンナー先生とのミーティングとなりました。以前JSRCの移動図書館活動を見たことがあるので図書館活動には、興味を持ってくれています。その先生に「図書館はどうして大切だと思いますか」という質問をしました。先生は「図書館では小さい子どもから大きな子どもまで字に触れることが出来ます。それによって語学力の発達が期待できます。あと、教育関係の本を置くことにより子ども達がリサーチをすることができます。理科や歴史を教室で勉強した後、自習として図書館で習った科目を調べることが出来ます。」と答えてくれました。



4)そうとは言ったけど

  スヴァイリエンであった先生の一人が「スヴァイリエンの就学率は90%だよ。」と言っていました。カンボジアでは都市部でも就学率90%はいっていませんし、チャントンやソポルも「スヴァイリエンはカンボジアの中でも、貧困で苦しんでいる人が多い州。そんなはずはない。」を言っていました。

  スヴァイリエンからの帰り道、道でマンゴーを売っていたので車を止めて買うことになりました。(スヴァイリエンのスヴァイとはクメール語でマンゴーの意味です。)そこでは若い女の人(18歳ぐらい)と子ども達が8人くらいでマンゴーを売っていました。ソポル、チャントン、チャトラーが一通りマンゴーを買った後、「みんな学校はどうしたの?」と聞きました。するとその若い女の人が「自分もそうだけど、ここにいる子ども達はみんな行ってないわ。だってここからだと一番近い学校でも3キロ先なんですもの。それに必要ないわ。」といっていました。

  車に乗り込んだ後、みんな一瞬無言。そしてチャントンが一言「問題は深刻だぞ。」



5)明日は移動図書館

  明日(6月5日)は知的障害がある子どもの病院で移動図書館を行います。この日病院では子どものためのお祭りを開催します。週末ということもあり図書館事業課のスタッフは全員参加です。青少年更正施設に引き続き、いつもオフィスにいる図書館事業のアドミニストレーションのスタッフも参加します。アジア子どもの家のソムナンさんも見学に来ます。



6)カオイダンの床屋さんの真相

  マイトリーしなのの神津さんからメールがあり、カオイダンには確かにJSRCがやっていた床屋さんがあったそう。これは職業訓練を兼ねたプロジェクトだったそうです。貴重な情報ありがとうございました。

SVAカンボジア図書館ニュース1999年6月2日

明日からスヴァイリエン州に出張なので、今日は書類を揃えたり、今週中に終わらせなければいけない仕事の処理に追われています。特にスヴァイリエン州は今年からの対象地域で、今回初めての出張なので質問する事項の確認や統計資料のチェック、調査フォームの準備に大忙し。スヴァイリエンまではプノンペンから4時間半くらい。朝7時半に出発します。メンバーは、チャントン、ソポル、チャトラー、鎌倉です。明日出発してあさってには戻ります。



1)スダオ・カンレング小学校での移動図書館

  今日スダオ・カンレング小学校で移動図書館を行いました。スダオ・カンレング小学校はクラスタースクール制の衛星校ですが生徒数は1000人を超えています。今回は学校側からの強い要望もあり移動図書館を行うことになりました。

  先月カンダール州でワークショップを開催した際、このスダオ・カンレング小学校にワークショップの参加者と訪れ移動図書館の見学をしてもらいました。その為か子ども達はJSRCのスタッフの事を知っていて、車が学校に入ってくると集まってきて周りを囲みました。チャントンが「おはなしを聞きたい子は、あの木の下で待っていて。」というと子ども達が一斉に木に向かって走り出しました。ただし授業時間が始まってしまったので一年生と二年生がおはなしに参加となりました。(でも実際おはなしが始まると学校の外からも子どもが入って来ました。)

  まず最初にチャントンとソポルが子ども達を座らせました。チャントンとソポルはおはなしに参加する子ども達みんなが絵本の絵を見れるように、子ども達を扇形を描かせるように座らせます。

  その後チャントンが子ども達に語りかけました。「こんにちは。この前私はここに来たんだけど、覚えてる?」そうすると子ども達の中から「覚えてるよ。」という声が上がりました。次にチャントンはソポルを指して「じゃあここにいる女の人を覚えてるかい?」すると子ども達は前よりも大きな声で「知ってる!」。チャントンが「よく覚えていたね。みんなで拍手しよう。」と言うと一斉に拍手が上がりました。

  子ども達との挨拶が終わった後、チャントンによるすばなしが始まりました。おはなしが始まると学校の外からも子ども達が入ってきて、最初はおはなしを聞いている子ども達もキョロキョロしていましたが、チャントンのおはなしが進むに連れみんな真剣な表情になってきました。チャントンがジェスチャーを入れるたびに、子どもの中から笑い声が沸いてきていました。

  チャントンのおはなしが終わると間を入れずにソポルが「もっとおはなしを聞きたい?」と子ども達に聞きました。するとすかさず「もっと聞きたい!」という声が上がりました。ソポルはマイトリーしなのさんの「白いゾウをすくったウサギ」を使ってのおはなしです。おはなしの最中も子ども達はじっと絵本を見つめています。学校の外から来た子ども達もおしゃべりをやめて、おはなしを聞いていました。校庭でお菓子を売っているおばさんまでおはなしをじっと聞いています。おはなしが終わるとソポルは「この絵本は日本で印刷されたの。そうしてカンボジアの子ども達が読めるようにって送られてきたのよ。」と子ども達に言いました。

  今回は時間がなかったのでこれでおしまい。帰るときも子ども達が車までお見送りしてくれました。



*スダオ・カンレング小学校での移動図書館 参加者*



小学生  280人

学校以外の子ども 12人

先生  3人

大人(先生以外) 6人



2)絵本を届ける運動のタイプ打ち状況

  「絵本を届ける運動」用のタイプ打ちが進んでいます。前にも書きました通りカンボジアでは今まで絵本に貼られていた文字は全部手書きの文字でした。それをコピーして貼っていました。今回は「絵本を届ける運動」を機に文字をタイプ打ちしようということになったのです。SVA東京からのリクエストは6月末までに東京にタイプ打ちされたものが届くようにということでした。

  タイプ打ちはソポンの担当です。「6月末までに東京だから、遅くても6月25日までには終わらせてくれ。」と今週のウィークリーミーティングで言われたソポン。もちろんこれだけに集中してれば終わるのでしょうが、ワークショップの招待状とプログラム、お礼状などなど他の仕事も多いので、「不安だ。」とたまに言います。先週は「大丈夫。」と言っていたのですが、ワークショップの仕事が入ったので、今不安になってきています。そのためか今日も5時半になっても帰らずコンピューターを打っていました。

  このタイプ打ちは何気に技術と忍耐力がいります。ただコンピューターに文字を打つのではなく、絵本に印刷されている文字の大きさに合わせなければいけません。大きすぎて絵が隠れてもだめ、小さすぎて絵本の文字が見えてもだめ。幾度となく文字を調整しながらやっています。

  それでもソポンの机の上にはタイプ打ちが終わった絵本と翻訳の山が。もう半分は終わったと思います。今日も「打った翻訳に間違いはないかチェックする。」といって、絵本を一冊持っていきました。ソポンのおかげで、最近タイプで打たれた翻訳本が増えています。先週打ち終わった「ティッチ」を今日ロアットさんが絵本に貼っていました。やっぱりタイプ打ちした文字は読みやすいです。