患者は80歳代、男性。
 主訴は、義歯不適合による咀嚼困難と、金属クラスプによる審美不良。

 

 担当医は、本症例の診査、診断の結果、上顎の設計は口蓋部分を咀嚼、発音の観点から薄く製作でき、全部床義歯への対応に備える事が可能な金属床として、54⏌はノンメタルクラスプで囲む設計が適していると判断した。また、下顎の設計も上顎同様に⎾5をノンメタルクラスプで囲む設計が適していると判断し、たわみの防止として補強バーを床の中に埋め込むタイプとした。
 欠損部床下内面は上下顎ともに咬合圧を緩和させ、かみしめ感を感じられるループ・シリコーンエステティックデンチャーとした。
 担当医は、患者に診断結果および義歯の設計と使用する材質、治療手順を説明し同意を得た。

 

 担当医から弊社に本症例の指示書(図1、2)、上下顎精密印象、およびバイトが届けられた。
(図1)
(図2)
(図3)
(図4)

 

 担当技工士は、作業用模型製作(図3、4)、咬合器付着(図5)を行い、担当医の指示通りの設計に基づいて金属床を製作し人工歯配列を行った。
(図5)

 

 担当医によって、口腔内での試適が行われ良好だった為、完成させるよう指示を受けた。
 担当技工士は、良好だった状態を保ちながら慎重に金属床併用ループ・シリコーンエステティックデンチャーを完成させた(図6〜11)。
(図6)
(図7)
(図8)
(図9)
(図10)
(図11)
 
 担当医より当日連絡があり、「やっぱりループ・シリコーンエステティックデンチャーは本当に患者さんの反応が良いです。高齢になるとインプラントの適応症例が少なくなりますが、この義歯なら患者さんにも満足していただけます」とお話しされていました。
 
 担当技工士
 金属床                   :加藤 靖了
 ループ・シリコーンエステティックデンチャー :司馬 武