保険局医療課企画法令係
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令和8年2月13日(金)10:10~
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655176.pdf
1988年に示された歯科診療報酬点数表第2章第12部「歯冠修復及び欠損補綴」通則5には、
「歯冠修復及び欠損補綴料には、製作技工に要する費用及び製作管理に要する費用が含まれ、その割合は、製作技工に要する費用がおおむね100分の70、製作管理に要する費用がおおむね100分の30である」
と明記されている。
この規定は、当時の制度設計上、技工に要する費用の一定割合を明文化したものではあるが、実際の運用においては、具体的な配分方法や適正価格の担保について明確な制度的裏付けが設けられていない。その結果、実務上は歯科医師と歯科技工所の個別契約に委ねられる構造となっている。
一方で、長年にわたり保険点数は実際の物価・人件費・材料費の上昇を十分に反映してきたとは言い難い。とりわけ近年の急激な物価高騰は、歯科医院の経営を圧迫し、その影響は歯科技工所にも波及している。
本来、制度上70%という目安が示されている以上、製作技工に要する費用の持続可能性については、公的制度としての責任ある設計と検証が求められるべきである。しかし現状では、実質的な調整責任が当事者間に委ねられ、歯科医師の裁量や良識に依存する構図となっている。
さらに、歯科技工士の減少や担い手不足が社会問題化する中で、「なり手がいなくなる」という危機感のみが強調されるのであれば、それは現場への心理的圧力として受け取られかねない。必要なのは危機の指摘ではなく、制度として持続可能な報酬構造を再設計することである。
歯科医療は、歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士がそれぞれの専門性を発揮して成り立つチーム医療である。特定職種の努力や善意に依存する制度設計ではなく、構造的な是正こそが求められている。

