ジャズでもポップスでもロックでも落語でもやる。
この日は、シャンソン・ナイト。
出演は、早川ゆきさん。

林美喜さん。

ピアノとバイオリンの伴奏。
林美喜さんが「闘牛士」というシャンソンを歌った。
死んでゆく闘牛士の姿を語る歌だ。
その歌で、ひとつの光景がよみがえった。
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10日前、仲間が死んだ。
事故現場に行くと、路上に白いチョークで人の形が描かれていた。
オートバイは、そこから100メートルも離れた場所で燃えていたそうだ。
アスファルトが黒く焦げていた。
事故原因は不明。警察は、いまも調査を続けている。
あいつは、闘牛士だったのだろうか?
事故に合う一週間前、一緒に「ぞうの国」に行ったばかりだ。
ぞうの国の入り口で撮った写真が、最後の記念写真になってしまった。
何を急いで、ひとり勝手に死んじまったのか。最後まで勝手な奴だった。

出会ってから25年、何十回もツーリングに行った。
何万キロも、一緒に走った。
あいつの腕は、抜群だった。
先頭を譲ると、あっという間に見えなくなる。
後ろから追いかけて行くと、途中の茶屋で団子を食べていたりしてたな。
食いしん坊だった。
美味しいものを求めて、あちこちのレストランにも行った。

春には、南相馬市や飯館村までツーリングに行った。
夏には除染ボランティアに一緒に行った。
滝のように汗を流しながら、放射能に汚染された土を運んでいた。
そんな時でもよく冗談を言っていたな。
いつもいつも、楽しかったよ。
・・・・・早川さん、林さん、ごめんなさい。
ほとんどお歌は聞こえていませんでした。
何を歌っていたのかも、憶えていない。

町はすっかりクリスマスムード。
もう一緒に遊びに行くこともないんだ、あいつとは。
悲しさは薄らいでも、寂しさは消えない。
さようなら、永遠に。































