どうも、ハイレゾ音楽ユニットBeagle Kickで総合プロデュースを勤める橋爪徹です。音響エンジニアとして10年ほどセミプロで活動しており、主に音声を専門としています。

三年半ほど前からオーディオライターとしても活動し、現在はWEBや雑誌に原稿を執筆、イベントでも時々お仕事しております。(仕事履歴はBlogトップページ上部をご覧ください)

 

今回は、自宅の防音室兼レコーディングブースで導入したUSBケーブルと電源タップについてレポートしたいと思います。

 

筆者は2006年くらいから音響エンジニアをしています。音声分野を専門にWEBラジオやボイスサンプル、公開録音のPAなどをやってきました。自宅に簡易録音ブースを設けて、念願だったスタジオ業務を行うことが出来るようになりました。

「簡易」というその名の通り、プロ向けの録音には向いていません。防音処理をしていない録音ブースは地下にある水道のポンプ音などがかすかに入ってしまいます。当面はハイアマチュア、セミプロユースに限定したスタジオとして活用していく予定です。

とはいえ、人様の案件を手掛けるとあれば機材に手は抜けません。オーディオインターフェースやマイクだけでなく、ケーブルなどのアクセサリーにもこだわりたいもの。

まずは、最低限必要なPCとオーディオインターフェースを繋ぐUSBケーブルを調達しました。「何も引かない、加えない」をフィソロフィーとするアコースティックリバイブのUSBケーブル、R-AU1-PL

これは、導体がリニューアルしたことに伴って新登場した普及価格帯のモデルです。

 

まずは写真をご覧下さい。

PCOCC-A導体時代の旧モデルに比べて自在に曲がるのが伝わるでしょうか。

 

USB-1.0PLS こちらは曲げても写真のように戻ってしまう

 

R-AU1-PL 手を離しても曲がった状態をキープできる

 

 

このように思った方向に曲がるというのは、プロ向けとして欠かせない要素です。プロの現場では、機材をケーブル敷設のために移動することが難しく、フレキシブルに扱えることが重要となります。

USB-1.0PLSや現行モデルのUSB-1.0PL-TripleCも長めの特注品とすればある程度自由も効きますが、R-AU1-PLは短めの長さでも十分な使いやすさを実現しています。これは上位モデルで使われているカーボンCSFチューブを不使用としたことが影響していると思われます。

(筆者は2mで特注した)

 

 

PC側の端子部(樹脂製)。2本の線は、電源ラインと信号ラインが完全に独立構造となっていることの証

 

ここで少し専門的な話を。結論を知りたい方は読み飛ばしてください。

 

《R-AU1-PLの特徴》

・PC-Triple Cの単線導体を使用

⇒世界初のオーディオ専用導体。OFCを鍛造製法によって加工することで、結晶粒界を電気の流れる方向に整えてあげることが可能になった。通常は電流方向に対して結晶粒界は垂直の向きだが、銅を叩いて伸ばしてあげる(延伸)ことで、電流方向と平行になる。このPC-Triple Cを単線としてUSBケーブルに採用することで、撚り線で避けられない迷走電流の悪影響を排除。音質への貢献は大きいが、代わりに曲げにくくなるためアニール処理(熱処理)を施し実用性を確保。

 

・信号ラインと電源ラインを完全セパレート(実用新案特許)

⇒一般的なUSBケーブルは信号ラインと電源ラインが1本のケーブル内に混在している。互いの電界や磁界の影響を受けてノイズが混じり、送り先の機器で音質を害してしまう。R-AU1-PLはケーブルそのものを物理的に信号と電源で分けてしまうという大胆な発想で伝送劣化を排除した。

 

・ケーブル構造にもこだわりポイント

⇒絶縁材には伝送スピードが最良となるフッ素樹脂を使用。絶縁材は一般的には塩ビ、高価な製品でもポリエチレンが使用されているが、R-AU1-PLはそれらを上回る特性を持ったフッ素樹脂。導体の表面を覆う絶縁材によって、電気の流れるスピードが落ちる。できるだけスピードを落とさない絶縁材がオーディオには適している。その他にも静電気防止に役立つシルク緩衝材や音色的な癖を排除した銅シールドを採用。

 

一般的なUSBケーブルがこれ。何の変哲もない普通のケーブルです。これを使って、R-AU1-PLとの音質比較を実施しました。

声優さんに同じセリフをできるだけ同じ声量で喋ってもらい、192kHz/24bitで比較しました。インターフェースはTASCAMのUS-20×20を使用しています。

 

まず、一般的なUSBケーブルはなんだか高域がガサツいている気がします。耳に付く、嫌なパサつき感といいますか、ともかく不自然な音です。

 

R-AU1-PLに替えると、まず高域のガサつきが消滅します。クリアで汚れのない高域です。声の輪郭がよりシャープになって、演者さんの細かなニュアンスが潰れることなくリアルに感じられます。音像に纏わり付いていた淀みや濁りがなくなって、ハイレゾならではの臨場感や空気感がそのまま描かれます。帯域的にも癖が無く、フラットかつ低歪み。レコーディング時の鮮度が保たれていることが分かります。

一般的なケーブルがCDとしたら、R-AU1-PLはハイレゾになったような説得力の向上です。録音フォーマットは変えていないので、本来はこの音質でオーディオインターフェースはAD変換していることを図らずも証明してしまいました。

ケーブルは、どうしても信号劣化が避けられず、劣化や損失を最小化するために工夫を施している製品であり、その特性が音質となって表れます。ケーブルを変えたから音質が良くなるのではなく、機材本来の性能が引き出されたから良くなったように感じるだけなのです。

せっかく高価な機材を使うなら、ケーブルはこだわらないといけませんね……

 

 

そして、電源タップも新調しました。既に販売終了になっていますが、YTP-6N。

この細長い筐体が机の下に最適でした。現行モデルのYTP-6RはBOXタイプで平たい形状です。内部配線がPC-Triple C単線。フッ素樹脂絶縁材を採用。完全非接触のノイズ除去(グリーンカーボランダム)。ノイズ遮断効果のあるアルミ筐体。6Nと6Rは筐体のみが違う、同一シリーズと考えていいでしょう。

 

あいにく、手持ちの録音機材はACアダプタ対応だけでした。PCもMacのACアダプター。

せめてオーディオインターフェースは、ACインレットタイプで音質の比較ができたら良かったのですが……

ACアダプタはそれ自体が猛烈なノイズを発生し、貧弱なケーブルでインターフェースまで電気を送ることになりますから悲しい限りです。

将来的にモニタースピーカーを購入したときには音質のチェックができそうです。ちなみにオーディオシステムで使ったときは、高域から低域まで雑味がなくクリーンな音に驚きました。エネルギー感も価格帯からは信じられないほど豊潤で、特に中高域は格別でした。空間表現においては、雑味や付帯音がないのでより正確にモニターできる印象です。

 

今回紹介したR-AU1-PLとYTP-6N(YTP-6R)は、一般の方でも頑張れば手が届く価格帯だと思います。アコースティックリバイブは、無料貸し出しも行っているので、「ホントに効果あるのかな?」と不安な方は是非試してみてください。

実際に納得してから購入できるというのは、試聴が難しいアクセサリーの世界において素晴らしい取り組みだと思います。

ホント、アクセサリー購入はバクチですからね……(涙)

 

ケーブルは、こだわるべし!

特にプロならなおさら。

癖の無い、機材そのままの音を聴きたいならアコースティックリバイブはオススメです。

 

 

 

 

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どうも、ハイレゾ音楽ユニットBeagle Kickで総合プロデュースを勤める橋爪徹です。音響エンジニアとして10年ほどセミプロで活動しており、主に音声を専門としています。

三年半ほど前からオーディオライターとしても活動し、現在はWEBや雑誌に原稿を執筆、イベントでも時々お仕事しております。(仕事履歴はBlogトップページ上部をご覧ください)

 

今回は、自宅の防音室兼レコーディングブースで導入したモニターヘッドフォンについてレポートしたいと思います。

 

モニターヘッドフォンとは、プロが正確に音をチェックするためのヘッドフォンです。ミュージシャンや歌手、声優がレコーディングブースで自分の声を確認するために被るヘッドフォンもほぼ100%がモニターヘッドフォンです。

私の防音室は、メインの部屋にDAWシステムやオーディオインターフェースを設置し、隣接する2畳ほどの小部屋は録音ブースとして使用しています。本稿で紹介するヘッドフォンは、録音ブースで使用するためのヘッドフォンです。

 

録音ブースは、専ら喋り手の方が入ります。声優さんなどが装着して使いやすい、かつモニター機として正しい音で鳴っていることが条件ですね。

ちなみにメインルームでは自分の求める音質を徹底追求し、信頼できるリファレンスとしてYAMAHAのHPH-MT8を使用しています。ただ、これはレコーディングで使うには少々重い。350gは長時間付けてると首が疲れちゃいそうです。そのため圧倒的に軽く、かつ音像もクリアで、極力フラットで癖が無いモニターヘッドフォンを探す必要がありました。

 

そこで見つけたのがSound Warriorシリーズでお馴染み、長野の音響・通信機器メーカー城下工業が放つSW-HP10s

もともと、同社とはお仕事でご縁がありました。雑誌でレビューしたSW-HP20が好印象だったので、モニターに特化したSW-HP10sはどんな音なんだろうと興味をそそられました。その後、中の人とお会いするなどして実機を聴かせていただき、期待以上ということで導入に至りました。(オーディオライターとして仲良くしたいという気持ちと、音響エンジニアとして機材を選ぶ気持ちは完全に切り替えます。使い勝手や性能がイマイチだったら、決して導入はしません)

 

本機は密閉タイプのダイナミック型。ドライバーは40mmと標準的です。周波数特性は20~20kHz。コードは左片出しストレート。重さはコード含めて280g。

 

 

録音ブースに設置しました。

見た目が少しチャチです。触った質感もオモチャみたいな感じがします。でも、これちゃんと理由があります。まず外装やヘッドバンドに金属を使わないのは、他の音響機材に当たったときに傷を付けないための配慮だとか。音響屋としては「それ分かるー!」って感じです。そして、ハウジングにはナイロン素材を使用しており、割れや劣化を防止。この素材のおかげで落下にも強いとのこと。ハードな使用環境に耐えるのはプロ機の基本ですから、同社なりの一つの答えとしてこの外観は受け止めました。

 

コードは、タッチノイズの少ないストレートコード。2mの延長コードも付属しています。デフォルトで2.5mですので、たいていの録音環境では充分でしょう。

 

ビニールレザーのヘッドバンドは、付け心地がソフトで自然です。

左右の渡りコードがスライダー含め一切露出していないのは、断線を予防するための配慮だそうです。

 

イヤーパッドは、油性劣化しにくいポリウレタン製。

とっても優しい肌触りです。側圧はモニター機にしては柔らかめですが、人間工学に基づいたエルゴノミックデザインを採用したことで抜群のフィット感を実現しています。耳当たりはソフトなのにピッタリする感じ。この感覚だけで「これは使える!」と思いました。

レコーディング時に音声の返しを聴きながらセリフを録っても録り音は至ってクリアでした。我が家は歌のレコーディングは想定してないので、現状の遮音性能ならまったく問題ありません。

 

 

レコーディングする筆者。(写真はイメージです)

 

自分の声の返しはクリアで周波数バランスも努めてフラット。

プレイバックでは、ハイレゾレコーディングならではの繊細な音声をしっかりと伝えてくれました。特性上の高域上限は20kHzですが、可聴帯域が正しい音で聴けるヘッドフォンであればハイレゾも楽しめると私は思います。

 

音質面は上を見ればキリがありません。

音像のディテールをさらに克明にしてほしいとか、有機的で滑らかな質感も備えて欲しいとか、要望があるのは確かです。

しかしながら、実売11000円でこのクオリティーは価格破壊と言ってもいいでしょう。これより高いのに音像がボンヤリしていたり、音色に癖のあるモニター機とか余裕でありますからね!(爆)

しかもSW-HP10sは安心の日本製です。

 

レコーディングブースで長時間付けても疲れにくいヘッドフォンをお探しの方、SW-HP10sは注目の一台です。

なかなか試聴できるお店は少ないですが、筆者心からの推薦ということでぜひ選択肢に加えてみて下さい。

1万円台前半のモニター機では文句なく最高レベルの製品だと思います。

 

なんか褒めすぎたかな…

でも、仕方ないじゃない。ホントなんだもの。 (byとおる)

 

 

ペタしてね   どくしゃになってね!

【更新】技術的な誤りがあったため、一部訂正しました。(8Kや4Kに関する部分) 3/25

 

去る3月17日。

「planetarian ~ちいさなほしのゆめ~」のプラネタリウム特別版の上映を観に郡山を訪れた。

場所は、郡山駅から降りてすぐ。

郡山ビックアイ最上階にあるプラネタリウム「宇宙劇場」だ。

 

まず申し上げると、このプラネタリウム上映はとても画期的である。

もともとプラネタリウムの映像作品といえば、ファミリー向けがメインだ。

例を挙げるとコナンとかゾロリとか妖怪ウオッチがある。小学生以下を対象とした家族で見られるコンテンツが多かったのだ。

そこに美少女ゲームが原作である、配信アニメがプラネタリウム版としてリメイクされて唐突に乱入。

プラネタリウムが作品内容に深く関わっているとは言っても、関係者の熟慮がどれほどの物だったかは想像に難くない。ビジネス的に成り立つのか、そもそも一般のお客様も来場するプラネタリウムの上映に適当なのか、等々…

制作に至る経緯は、以下の記事が詳しい。作品の概要と合わせてぜひ参照いただきたい。

 

・「planetarian」あの感動を"プラネタリウム"の全天映像で… プラネタリウム化を果たした制作スタッフが魅力を語る

http://animeanime.jp/article/2017/03/03/32796.html

 

福島行きは鈍行を使った。

東武線からJRに乗り換えて計4時間あまり掛けて郡山市に向った。

地元である浜松に4時間半掛けて帰省している筆者にしてみれば、この程度は余裕である。

黒磯駅でボーッとしていたら、折り返しで宇都宮に向う寸前だったなんてそんなトラブルはない。決して無い。 ←

 

行きは東北本線で郡山まで。(黒磯駅より)

 

駅前。まず東北の冷え込みにビビった。東京と比べて思ったより寒暖差がある。特に夜は寒い!

 

郡山ビックアイ。地上24階建て。建物の上部に入っている丸い物体がプラネタリウム。

 

少し早めに着いた筆者は、まず一般番組を堪能。

光学式プラネタリウム スーパーヘリオスによる星空を楽しんだ。

オーロラーを全天映像向けに撮影した「オーロラ旅行」がメインテーマ。

4Kで撮影された超美麗なオーロラのゆらぎと、現地に居る人々の歓声が生々しかった。

 

 

佐藤解説員の穏やかな声に耳を傾けながら、長旅で疲れた身体をゆっくり休めることができた。

これから訪れるファンは、光学式プラネタリウムの星空を楽しめる一般番組も合わせて見ておくことを強くオススメしたい。

 

 

五藤光学製のスーパーヘリオスはとても高精細だ。

ちょっと駆動音(排熱ファン)が大きめなのが気になるが、ギリギリ許容範囲といえよう。

宇宙劇場に導入されているシステムは「スーパーヘリオス・ハイブリッド」となっており、写真手前にあるJVC製の4Kプロジェクターを2台使用し、4Kクラスの全天ドーム映像を投影することができる(バーチャリウム2)。

なお、8Kクラスの全天映像を投影する場合は、同プロジェクターが8台必要になるそうだ。

スクリーンがシネマ向けのアスペクト比とは違う1:1であるため、設備も特別な組み合わせが必要になる。

 

各種オペレートを行なう操作盤。”星の人”も基本ここで解説を行なう。

 

ふれあい科学館のプラネタリウム「宇宙劇場」は、とあるギネス記録を保持している。

このパネルが科学館のどこかに掲示してあるから探してみて欲しい。

 

一般番組を見終えたら、planetarian 上映までしばらく時間が空いたので物販コーナーを見てみる。

 

 

planetarian のグッズが陳列されていた!

特に注目なのは、作品に登場した投影機であるイエナさん(「ツァイス・イエナユニバーサル23/3型」)を有する明石市立天文科学館のオリジナルグッズが販売されていること。これは暁光である。

 

ちゃんと「イエナさん」と表記してくれている。ファンとして喜びと感謝を覚えずにはいられない。

 

 

当日の投影スケジュール。一際異彩を放つplanetarian。

平日にもかかわらず、何人ものファンと思わしき男性を目撃した。

17時からの上映には、男性だけではなく成人女性や女子高生もいて驚いた。男女比は6:4くらい。

アニメはネット配信という形態を取ったことや普遍的なテーマを扱う作品性が評価されているのだろう。

 

開場直前は、10人程度の待機列。

観覧記念のオリジナルポストカードを受け取り中へ。

 

BGMはもちろんplanetarian 。

ドームには、各種お知らせが流れていた。

 

 

 

まず、上映開始前にニコ生にも出演された安藤解説員による挨拶。

作品の紹介やプラネタリウムならではのアナウンスがあった。

 

作品上映をスタートする前にスーパーヘリオスを使った星空投影が行なわれた。

光学式プラネタリウムによる星空が見られる貴重なパートだ。

BGMは安藤さんセレクトによる、「遥か空へ(星の舟 より)」

完璧な選曲センス!早くも筆者の涙腺は崩壊し、小粒の涙が零れる。

まだ作品が始まってもいないのに!

やるな、ふれあい科学館!

 

数分の星空投影の後、いよいよ本編上映。

スーパーヘリオスはお休み。

ここからはバーチャリウム2による4K相当の上映へと進む。

 

制作会社からHDDにて納品された映像データーは、あらかじめプラネタリウム用に「スライス」という工程を経る。

元になるデータは、「ドームマスター」と呼ばれる全天周180度の範囲を魚眼レンズで撮影したように平面上に展開した画像だ。(詳しくはここここを参照)

スライスされたデーターを8台のPCに取込んで同期再生を行なっている。

また、制作側の音響スタッフを公開直前に招いていっしょに音響調整も行なったらしい。

 

音声は、ドームのスクリーン内に仕込まれた全10個のスピーカーを効果的に使用していた。

雨音はきちんとリアサラウンドスピーカーから聴こえてくるし、セリフはセンタースピーカーから明瞭に再生され、

作品内の投影シーンはほぼ天井に位置するスピーカーから声が聴こえてくる。

そのどれもが適切なバランス、クリアな再生音で驚いた。

シネコンでは音が歪んでいたり、音場の透明感がイマイチな劇場が少なくないが、郡山の宇宙劇場は安心して楽しめるクオリティーだと感じた。(ちなみに筆者はオーディオライター、音響エンジニアである)

 

本編上映が始まると、全天投影とセンター投影の使い分けが見事なことに気付く。

(全天投影:360°見渡す限りの投影。シーンによっては後方の一部に映像がないときもある。 

センター投影:映画と同じような16:9の映像が目の前に適度な大きさで投影。目線を動かさなくてもよい画角)

全天投影は基本引きのカットのみ。顔の表情のアップは必ずセンター投影を使用している。

あまり目まぐるしく全天とセンターを切り替えてしまうと酔ってしまうので、絶妙なバランスで切り替えをしていた。

全天投影の際、画面が横にパンするシーンは、テレビや映画に比べて残像感がすごい。

これは視力の限界なのか、投影機材の性能の問題なのか分からなかった。ここは唯一惜しかった点だ。

 

ネタバレになるので、ストーリーの展開やどのシーンをカットして短くまとめたのかはここでは割愛する。

個人的には、よくあの時間でギリギリ矛盾なく物語をまとめてくれたと感動した。

屑屋の心境の変化などちょっと無理があるのは否定できないが、作品本編をフルで見たくなる上々の仕上がりだ。

特にゆめみ役の声優すずきけいこさんによる新録部分は、本編のあるシーンを一部差し替える形で披露される。

新録部分の使われ方は本編と調和しており、まったく違和感がなかった。実に見事だった。

その真相は、ぜひ宇宙劇場で確かめて欲しい。

春夏秋冬4編の新録を行なった理由もきっと理解できるだろう。

 

上映後は、安藤解説員としばし立ち話をした。

いろいろこぼれ話を伺いつつ、激励の言葉も掛けることができた。

あと数週間だが、残りの期間もステキな解説で上映を盛り上げてほしい。

 

 

あまりの余韻にしばらくエントランスで夜景を眺める。

なんだか名残惜しい気持ちになってしまった。

帰りの新幹線までおよそ40分。

今回の小旅行は駅前のアーケードくらいしか観光することができなかった。

松屋の店員(おばちゃん)がとても愛想良かったり、和菓子屋の店員がおまけで1個試食を袋に入れてくれたり、心温まる一幕もあった。

またいつかじっくり観光で訪れたい。

 

planetarian のプラネタリウム特別版。

初回上映の郡山は、客入りも好調だと伺っている。

ただ正直申し上げるならば、もっと盛り上がってもいいように思う。土日満席とか。

理由は一つ。第2、第3の上映館拡大へと続いて欲しいからだ。

何より我が地元、かつplanetarianの聖地である浜松科学館でやらないのはあり得ない。

(同科学館のプラネタリウムは4K上映システムなので、planetarianは上映可能なはず!  デジタルシステムはSKYMAX DSⅡ-R2)

 

planetarian のファンはもちろん、しばらくプラネタリウムを見ていないアニメ好きの方にはぜひ現地に足を運んでいただきたい。

最新のテクノロジーで進化したプラネタリウムは想像以上だ。

とっておきの非日常感を味わえることだろう。