好きなればこそ飽きずに努力する。
それがやがて開花する。
この歳になると、飽きずにやっておけばよかった。
そう思うことが多い。
飽きずに繰り返しやっていると、いつの間にか体が憶える。
子供の頃、漫画の模写が旨かった。友達からよく漫画の写し絵を頼まれた。それで漫画家になろうと思った。
当時漫画黄金期。こづかいを貯めて漫画の教材を買った。
その教材によると、先ずは線(ライン)を引く練習。
ただただ先ずは、線を引け!!
それ以外、高度な技術を教えてくれなかった。
それで騙されたと思って挫折した。
後年、歩き遍路をした。
澄み渡った秋日和。
辿り着いた札所で、小学生たちの写生大会に出会った。
「おはようございます!」
と、気持ちのいい挨拶。膝元の画用紙を見て、その構図の旨さに思わず唸った。小学生にしてこの感性。
「すごいなぁ! よく描けているよ!」
思わず感嘆の声を上げると、
「ありがとうございます!」
と、ニヤリ。
その時思った。
自分も夢を信じて、子供の時から今まで、ずっと線を引いておけば良かった。この歳まで引き続けたのなら、軽やかな線、重い線、スピード感のある線、それこそ感情が乗り移るような線が引けた可能性だってある。
好きなことを根気よく続けていると、自然に体が憶える。
その内、体の中から、観察力、構成力、表現力を獲得していくのかも。目が脳内カメラになってシャッタチャンスを捉え、脳が記憶の貯蔵庫となってアルバムをつくり、その記憶のアルバム、イメージを現実という印画紙に模写、写し絵となって表現する能力を獲得する。
毎日毎日、好きなこと繰り返す。飽きずにコツコツと繰り返す。
雨が降っても風が吹いても、飽きずにコンスタントに繰り返す。
やがて体が憶えてくれる。
子供の時から諦めないで繰り返していると、その道で秀でる。
漫画家のあの量産、もう体からの自動筆記でやっているとしか思えない。あッ! という間に一冊の本が読めてしまうという速読法、あれ、もう脳内カメラで読み取っているという他ない。
子供の時から修練していると、いつかは夢は実現するということなのかもしれない。
爺々、子供の時から飽きずに線を引いていたら、漫画家になっていたかもしれない。
爺々、もう気付くのが遅すぎた!! (笑)