蛍の夕べ | 10go9

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そう自分の思い通りにはならない。

そもそも見通しが利かない。

でも振り返ると、あッという間。

人の一生なんて長いようで、短い。

 

そろそろ蛍の季節。

子供の頃、よくホタル狩りをした。

家のすぐ脇を小川が流れていて、それが清流。

今でいう天然水。

水源は赤松の台地に降った雨。

それが谷に注ぎ、また地下水となって湧き、

それがまた奥の池、中の池、口の池となって、

人里の田畑を潤した。

 

ホタル草というのがあって、それをホタル籠に入れ、

獲ってきたホタルをそれに入れて、軒端に吊しておくと、

その光に吸い寄せられて、小川のホタルがやって来る。

簾を迂回して部屋に入ってきて、蚊帳に止まって火を灯す。

子供の頃、蚊帳のしわが道に思えて、ホタルの街路灯を辿っ行って、よく幻想的な夢を見た。

 

その話を一寸書いたら、遠いネット仲間からメールをもらった。

「まだ自然界のホタル、見たことないので、見てみたいです」

「自然界って・・? 」

「蛍は子供の頃、東京のホテル椿山荘の ”蛍の夕べ” 以来見たことがないので・・」

トンデモナイものが出てきて、逆にこっちが吃驚。

椿山荘・・? もしかして元は、明治の元勲・山県有朋のあの別邸? 正面玄関を行き交う守衛たち、その縁取りも鮮やかな燕尾服を思い出して、自分には御縁のない世界。

 

昔みたいに飛ばないよ!と言ったのに、その子、来たよ!(笑)

その ”蛍の夕べ” 飛んでくれなかった。

仕方なく川上が開発されていない別の清流へ案内したけどね。

昔みたいにはいかないけど、まぁ、少しはホタルの行き交う谷間。その子も満足してくれたけどね。

その帰り道、茶畑の中でヘットライトが捕らえた、イノシシの親子連れ。

「あれ、見てン!」

と教えてやったら、その子、しがみついてきたよ。

翌朝、軽登山。

吊り橋を渡って、登山道へ。振り返ったら、吊り橋の袂に佇んだまま、その子が付いて来ない。

吊り橋をユサユサと、引き返して、

「ごめんね。」

と謝って、コース変更。

 

今、どこで、どうなふうに生きているのだろう?

色白でスラリとした長身の、可愛い若者だった。