そんなこんなでたどり着きました氷河。
比べるべくもない小さなものでしたが、
これからこの上を歩いていくのだと思うと
私の興奮はいやが上にも高まりました。
先に着いていたガイドをつかまえて
「ここから先はどこから登るの?」
とワクワクと尋ねると、
「ここが終点だよ」
……はい?
「え、だって、氷河の上を歩くんでしょ?」
「氷河の上は歩かないよ。
そう言うツアーもあるけどこれは違うよ」
氷河を歩くツアーじゃなくて、
氷河まで歩くツアー?
話が違うよ~!!
「だって私、氷の上をトレッキングしますねって確認して
このツアーに申し込んだのよ!」
「それは……たぶん相手が間違えたんだと思うな…」
そりゃないでしょ…。
氷の上を歩くのでなければ、ペリト・モレノを訪れた後に
こんな小さな氷河を見に来たりはしなかったでしょう。
フィヨルドクルーズだってノルウェイで何度もやったから、
別にここでやりたいと思ってなかったし。
ガッカリしている私をガイドは慰めてくれましたが、
「氷河の上なんて歩くもんじゃないよ。
この間、氷河の上を歩くツアーに参加したイタリア人の女の子が
滑落して死んじゃったんだよ」
そういう慰め方もどうなの…。
プエルト・ナタレスに戻ってから私は当然ツアー会社に
文句をつけに行きましたが、
昨晩私に間違いを教えた担当者はいませんでした。
受付にいた女性に事情を説明しましたら
彼女はたいそう申し訳ながって謝ってくれて、
心配そうに訊いてきました。
「じゃあ今日のツアーはつまらなかったかしら…?」
「……いや……かなり楽しかったけど……」
ええ、ええ……
クルーズもトレッキングも楽しかったよ…。
ガイドは愉快な奴でいろんな話をしてくれたし、
一緒に行った子とずっと仲良くお喋りしていたし。
パタゴニアの美しい自然を堪能できるツアーでした。
楽しかったとも。
だから別にお金を返せとかそういうことは言わないけど、
間違いは間違いだから、次から気をつけてね!
とお願いして、私は退出したのでした。
それにこういう時、
元はと言えば、スペイン語を話せず英語で話した私が悪い…
と思って弱気になっちゃうんですよね私。
そしてさらに
つづく





